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11/1 題詠「現」& 鑑賞&批評「隠」
投稿日 | : 2018/10/26(Fri) 10:19 |
投稿者 | : フミコ |
参照先 | : |
11/1 鑑賞&批評 「隠」、
1. 拘置所を逃げてかくれず堂堂と「日本一周」を隠れ蓑とせり ひさお
2. 化粧塩忍び庖丁隠し味はは(姑)の面たつ歳晩の厨 ひらら
3. 体育系つぎつぎ現る暴力に隠れし蜜は何処にありや ひろゆき
4. 大杉に隠れて知れず弱弱しき松現れぬ台風一過 フミコ
5. 隠れ家に子らと住みたる二年間アル中の夫を逃れ働く さらら
6. 橋の上より覗く深淵あおみどりいろの底には何か隠れん たかし
7. 牛たちの桃色乳房みすずかる信濃の霧に隠れてしまふ のりこ
Re: 11/1 題詠「現」& 鑑賞&批評「隠」
投稿日 | : 2018/11/01(Thu) 20:03 |
投稿者 | : たかし |
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11/1 鑑賞&批評 「隠」
1. 拘置所を逃げてかくれず堂堂と「日本一周」を隠れ蓑とせり ひさお
最近の事件なのでよく覚えています。自転車で日本一周をしている人間に成りきっていた。
第2句「かくれず」第5句「隠れ蓑とせり」と、仮名と漢字の違いはあるが「隠れ」を二度使ったのは、ちょっと苦しい感じ。第2句の方は変更可能に思えます。
2. 化粧塩忍び庖丁隠し味はは(姑)の面たつ歳晩の厨 ひらら
どれも料理の奥深い技をあらわした言葉。これだけの言葉を並べた上句だけで歌が60パーセント出来たような感じ。下句もそつなくまとめられていると思った。
3. 体育系つぎつぎ現る暴力に隠れし蜜は何処にありや ひろゆき
これも最近のテレビのワイドショーや新聞紙面を賑わせた話題。
体育会系が相次いで話題になりました。そこで作者は、こんなに次々に事件が起こるのは、その陰に何か甘い蜜があるのではないか・・・と考えたようです。
個性的なところへ話の結末を持っていって、身に引きつけたという点は良いと思いますが、上句の言葉の順序は、
「体育系の暴力つぎつぎ現るる・・・」として下句「隠れし・・・」に続けるのが繋がりがいいと私は思ったので、余計な改作を書いてしまいました。
4. 大杉に隠れて知れず弱弱しき松現れぬ台風一過 フミコ
いままで大きな杉の木に隠れていて見えなかった松(弱々しい)が、姿を現した。
これは多分、その大杉が台風で倒れたことを意味しているのだと思います。
この松が弱々しいのは、大杉の陰になって、あまり陽の光を浴びていないので病弱な子供のような姿なのかな、と思います。
第二句の「知れず」が、作者の意図からすると「いたる」くらいの方が分かる。
5. 隠れ家に子らと住みたる二年間アル中の夫を逃れ働く さらら
なんだかすごい経験をお持ちなのですね。でも真実のことだったと思います。「隠れ家」がインパクトがありますね。そして結句「逃れ働く」この「働く」に、作者の強さが見えます。肯定します。
6. 橋の上より覗く深淵あおみどりいろの底には何か隠れん たかし
7. 牛たちの桃色乳房みすずかる信濃の霧に隠れてしまふ のりこ
「桃色乳房」に惹かれました。「みすずかる」これは信濃に掛かる枕詞だそうで、私は一度も使ったことがありませんが、美しい言葉ですね。
結句の「隠れてしまふ」が、結びを急いだ感じで惜しい。隠しておこう」とか、作者はいろいろ考えた末のことだとは思いますが・・・
Re: 11/1 題詠「現」& 鑑賞&批評「隠」
投稿日 | : 2018/11/01(Thu) 17:22 |
投稿者 | : ひらら |
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題詠「現」
声がするよみがえりたるわれ現(うつつ)酸素テントに寄る顔おぼろ ひらら
Re: 11/1 題詠「現」& 鑑賞&批評「隠」
投稿日 | : 2018/11/01(Thu) 16:58 |
投稿者 | : さらら |
参照先 | : |
1. 拘置所を逃げてかくれず堂堂と「日本一周」を隠れ蓑とせり ひさお
犯人のしたたかなる行動に 人間も色々の種類があるものと呆れておられる。
日本一周の「 」は不要では?
2. 化粧塩忍び庖丁隠し味はは(姑)の面たつ歳晩の厨 ひらら
お料理の化粧塩魚を焼くとき焼き上がりを美しく焦げないようにする尾や鰭にまぶす塩
年の暮れのおせち料理をする頃となり料理法と母上を回顧される。
3. 体育系つぎつぎ現る暴力に隠れし蜜は何処にありや ひろゆき
隠れし蜜の真実は何処にあるのかと今の時世の連鎖の暴力と事の重大に思いを馳せる。
4. 大杉に隠れて知れず弱弱しき松現れぬ台風一過 フミコ
弱弱しい松は大杉に隠され誰にも知れず台風に耐えていた。
表れぬは現れない 現れずと解釈しました.
5. 隠れ家に子らと住みたる二年間アル中の夫を逃れ働く さらら
6. 橋の上より覗く深淵あおみどりいろの底には何か隠れん たかし
深淵の語彙に引き込まれ底には何か隠れんで問いかけ空想をさせる歌
人の心象にも重ねられる。
7. 牛たちの桃色乳房みすずかる信濃の霧に隠れてしまふ のりこ
広々とした野原に牛の桃色乳房のみずみずしさ。信濃の霧が隠してしまう残念。
隠れたために一層美しかった。
Re: 11/1 題詠「現」& 鑑賞&批評「隠」
投稿日 | : 2018/11/01(Thu) 16:13 |
投稿者 | : さらら |
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連盟の会長当たり迷う吾に伊藤師ゆめに現れ諭す さらら
Re: 11/1 題詠「現」& 鑑賞&批評「隠」
投稿日 | : 2018/11/01(Thu) 15:29 |
投稿者 | : たかし |
参照先 | : |
題詠「現」
尖端は何処にありやなど思わず「現代短歌新聞」を読む
Re: 11/1 題詠「現」& 鑑賞&批評「隠」
投稿日 | : 2018/11/01(Thu) 15:13 |
投稿者 | : ひさお |
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題詠 現
一合の晩酌にして効きたるや夢現なり秋の深まる ひさお
Re: 11/1 題詠「現」& 鑑賞&批評「隠」
投稿日 | : 2018/11/01(Thu) 15:10 |
投稿者 | : ひさお |
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題詠 隠 感想・批評
1. 拘置所を逃げてかくれず堂堂と「日本一周」を隠れ蓑とせり ひさお
2. 化粧塩忍び庖丁隠し味はは(姑)の面たつ歳晩の厨 ひらら
大晦日にお節料理を作りながら姑から教わったように、魚には化粧塩
をしてきれいに焼き、煮物には食べやすいように、あるいは火のとおり
やすいように材料の裏に切れ目を入れ、また隠し味を忘れぬようにしている。
これらの姑の教えをそのまま実行しつつ姑を偲んでいる。
「ははの面たつ」は気になる。「はは浮かびくる」など他の表現はないでしうか。
3. 体育系つぎつぎ現る暴力に隠れし蜜は何処にありや ひろゆき
体操やレスリングなど多くのスポーツ団体で暴力問題が起きている。
タイムリーな時事詠である。
「隠れし蜜は」というのは、暴力の起きる裏にはなにか旨い物
が隠されていると作者は睨んでいる。どのようなものであろうか。
そんなものがあるだろうか。私は疑問に思う。「隠れし味は何処にありや」
という表現からは、暴力問題の起きることに対し、作者はそれほど深刻に
考えているようではなく、批判もあまり強くないように感じられる。
4. 大杉に隠れて知れず弱弱しき松現れぬ台風一過 フミコ
神社の境内の台風被害のことであろう。普段は大きな杉の木の
陰に隠れていて見えなかった松の木。日陰にあるため弱弱しい。
それが台風一過見えるようになってしまった。大杉が風で傾いた
か、倒れたのであろう。弱弱しい松は倒れなかった。
姿・形は立派でも案外災害(苦難)に弱く、弱弱しそうでも耐え抜く。
人間界にも当てはまりそう。
5. 隠れ家に子らと住みたる二年間アル中の夫を逃れ働く さらら
作者の意外な体験談。二年間も隠れ家すまいをされたとは。
結句の「働く」は不要なように思われる。
夫から逃れたということを言うことで十分であろう。
働いて生活費を稼いだことは、別に詠えばよいと思う。
6. 橋の上より覗く深淵あおみどりいろの底には何か隠れん たかし
初句は七音。三句と四句は句またがり。作者の好む複雑な構成
である。橋の上から見下ろす深淵はきれいなあおみどり色。思わず
見とれるほど美しい。それを見ていると、その底に何が隠れているの
だろうと、作者は興味深々。しばしあれこれと考えてしまう。
面白い短歌である。
7. 牛たちの桃色乳房みすずかる信濃の霧に隠れてしまふ のりこ
「みすずかる」はすがすがしい感じのする枕詞だ。
「桃色乳房」という艶めかしい感じも「みすずかる」で作品全体
をすがすがしくしている。「隠れてしまふ」と現在形にしているので、
作者が今その現場にいることが分かる。
信濃、乳牛、霧の三点セットが効いている。
Re: 11/1 題詠「現」& 鑑賞&批評「隠」
投稿日 | : 2018/11/01(Thu) 12:31 |
投稿者 | : なか |
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題詠「現」
〈月末の現状報告メールにて〉余白にきみの言葉足さぬか なか
Re: 11/1 題詠「現」& 鑑賞&批評「隠」
投稿日 | : 2018/11/01(Thu) 09:46 |
投稿者 | : ひろゆき |
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題詠「現」
ハロウィン物まね下手な日本に現れ襲う晦日の祭事
鑑賞&批評「隠」
投稿日 | : 2018/11/01(Thu) 09:32 |
投稿者 | : フミコ |
参照先 | : |
鑑賞&批評 「隠」、
1. 拘置所を逃げてかくれず堂堂と「日本一周」を隠れ蓑とせり ひさお
当に人心をつき、意表をついた優秀な隠れ蓑でした。
あれだけ堂々とやられると多くの人が騙されました。
明るい笑顔には微塵も暗い渦中の人などと思いつかせない、新手の逃亡劇と思わせました。人は外見に騙されやすいものだという事の好例でしたね。
2. 化粧塩忍び庖丁隠し味はは(姑)の面たつ歳晩の厨 ひらら
お姑さんはお料理上手なお方。
おせちもすべて手作りされる大晦日。
きっと、作者も薫陶を受けられて美味しい自慢料理をお持ちなのでしょう。
忍び包丁…美しい言葉、初めて知りました。
隠し味とのかぶりを避けた配慮も感じる。
3. 体育系つぎつぎ現る暴力に隠れし蜜は何処にありや ひろゆき
ほんの少し前、世間を騒がせ、あちらからももこちらからも噴出したスポーツ界の不祥事。
一体、誰が甘い蜜を吸っているというのか。
スポーツ本来の健康で明るい筈の世界に暗雲を投げかけた事件。
ファンは一日も早く真実が解明され、健全な状態に戻ることを望んでいる。
4. 大杉に隠れて知れず弱弱しき松現れぬ台風一過 フミコ
5. 隠れ家に子らと住みたる二年間アル中の夫を逃れ働く さらら
以前、雪しまく中を行く列車の中から、お子達を連れての逃避行の不安、決意をもって自分に鞭打つ女の強さ切なさをさらりと詠っておられたのを思い出しました。
いざとなると女性は強い。よく頑張られましたね。他人には計り知れないご苦労、心労、乗り越えられた今、作者の中には誰にも負けない力が鎮まっていることでしょう。
さながら経過報告のように無感情に詠われていることで、痛みが一層胸を打つ。
6. 橋の上より覗く深淵あおみどりいろの底には何か隠れん たかし
大きな池にかかっている橋だと思う。
流れのない底しれない緑、生命が住んでいるとも思えないようなよどみ。
じっと覗き込んでいるうちに何だろう、何かが隠れているような気がしてくる。
何かの揺れが水面をよぎったのだろうか。
7. 牛たちの桃色乳房みすずかる信濃の霧に隠れてしまふ のりこ
みすずかる…という枕詞初めて知りました。
何やら謎めいて美しい言葉、信濃という霧の向こうの定かではない風景に想像を導くような。
牛達の桃色乳房という艶めかしいような妖しさも。
(桃色)という漢字…何かピンクとは違う不思議な肉感的な雰囲気を感じるのは何故か?
Re: 11/1 題詠「隠」& 鑑賞&批評「隠」
投稿日 | : 2018/11/01(Thu) 09:24 |
投稿者 | : ひろゆき |
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1. 拘置所を逃げてかくれず堂堂と「日本一周」を隠れ蓑とせり ひさお
かくれという言葉を二度使い、上手く短歌にされた。逃げてかくれずと隠れずを仮名にされ、結句での隠れ蓑が良い。
字句解釈通り。脱走犯は知恵者で接見者をおくり、脱走した。道中、同道者を持ちしていかにも「日本一周」らしく。
2. 化粧塩忍び庖丁隠し味はは(姑)の面たつ歳晩の厨 ひらら
晩年の姑さんの料理法を思い出し、その時々の表情まで浮かぶという。化粧塩や隠れ包丁の料理に舌鼓を打たれたこ
とだろう。「日本料理の美と味」を現在のひららさんの料理法へ、そして子へと。
3. 体育系つぎつぎ現る暴力に隠れし蜜は何処にありや ひろゆき
あまりに多すぎて
4. 大杉に隠れて知れず弱弱しき松現れぬ台風一過 フミコ
台風が次々と日本列島を通過した後の景。大杉に囲まれて松の損傷が見えなかったが、その後を点検
したら、あちこちに松の枝が折れ、倒れしていたのだろう。強いと思っていたが松が弱弱しく立ちいて。
5. 隠れ家に子らと住みたる二年間アル中の夫を逃れ働く さらら
アル中という言葉はよく聞く。苦労、苦悩された日々が浮かぶ。作者の苦悩、別居への子らへの理解、そして
労働。でももう遠い昔のことだから短歌にもされたのだろうと思う。母は強しされど父は弱し。
6. 橋の上より覗く深淵あおみどりいろの底には何か隠れん たかし
琵琶湖に架かる橋上からだろうか。結句”何か隠れん≠ェ作者の探索心を膨らませている。また歌を大き
くしていると思う。「何が」であれば自己の好奇心の範囲となり、深淵もあちこちで見る様とも重なって。
7. 牛たちの桃色乳房みすずかる信濃の霧に隠れてしまふ のりこ
乳牛を飼育する長野県の牛舎の描写。飼育される数十頭の乳牛の乳房に焦点を当てて詠まれた歌。深い霧が覆う山ふもとの飼育場であろう。緑の中、集まる乳牛の壮観そして乳房の桃色を対比しながら霧がそれを隠してしまうと詠う。
詠草「現」
投稿日 | : 2018/11/01(Thu) 05:56 |
投稿者 | : フミコ |
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足音に水面を揺らし現れる宮の鯉たちボスは10年 フミコ
Re: 11/1 題詠「現」& 鑑賞&批評「隠」
投稿日 | : 2018/10/26(Fri) 10:24 |
投稿者 | : フミコ |
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次回、 H.30.11. 1 (木)
鑑賞&批評 「隠」
題詠 「現」
出題 なかさん
みなさま;よろしくお願いいたします。