トップページ > 記事閲覧
1/17 鑑賞「新」、題詠「温」
投稿日 | : 2019/01/11(Fri) 09:48 |
投稿者 | : フミコ |
参照先 | : |
H.31. 1. 17 木)
鑑賞&批評 「新」
題詠 「温」
出題 たかしさん
1/17 鑑賞&批評 「新」
1. おそらくは百年はもつ瓦なれ欠けたるもののみ新しくする たかし
2. 新しき世へ駆け抜けた志士たちに時間(とき)はもうない 未来はわれに なか
3. 新しき年のあけぼの窓に見る山の向かうの天射す光 ひさお
4. 年酒と紀の国御坊の新走り杯に受けいる氏神の苑 ひらら
5. 新年の歌会はじめの卓上に和洋菓並べて声のはつらつ ひろゆき
6. 焼き芋のにおい撒きつつ英字新聞京大前で降りて行きたり フミコ
7. 新年のご用はじめはおにぎり型のロボット掃除機床はい回る さらら
Re: 1/17 鑑賞「新」、題詠「温」
Re: 1/17 鑑賞「新」、題詠「温」
投稿日 | : 2019/01/17(Thu) 11:21 |
投稿者 | : ひさお |
参照先 | : |
題詠 新 批評・感想
1. おそらくは百年はもつ瓦なれ欠けたるもののみ新しくする たかし
屋根瓦の補修をするときの施工方針。
「百年はもつ瓦なれ」は百年もってほしいという願望が含まれている。
淡路の瓦メーカーの人が、数年前に来て、漆喰の補修をしてくれた
とき、ごく普通の瓦で40年はもつとのことでした。
2. 新しき世へ駆け抜けた志士たちに時間(とき)はもうない 未来はわれに なか
志士たちに負けない気概でもって、これからの未来を切り開こうという
たのもしい決心。「未来」には短歌には限定されない、世の諸々のことを
すべて包含している。
気宇壮大であるが、150年以上前の志士を引き合いに出すのは、少し
古すぎるように思う。
3. 新しき年のあけぼの窓に見る山の向かうの天射す光 ひさお
4. 年酒と紀の国御坊の新走り杯に受けいる氏神の苑 ひらら
年酒:ねんしゅ・・・・新年に年始回りの賀客にすすめる酒
新走り:あらばしり・・・・新酒
正月に氏神様の境内で、紀国御坊の新酒を年酒としてありがたく
杯に受けているところですよ。作者の毎年の初詣であろう。
年酒、新走りなど新年らしい用語をうまく駆使している。
5. 新年の歌会はじめの卓上に和洋菓並べて声のはつらつ ひろゆき
新年の歌会だから、和洋のお菓子を用意し、元気に意見交換した。
女性の多い歌会の華やかさを感じさせる。
6. 焼き芋のにおい撒きつつ英字新聞京大前で降りて行きたり フミコ
京都の市バスであろうか。英字新聞を読んでいた人が、焼き芋を
持っていて、京大前で降りて行った。焼き芋の匂いを残して。
あるいは、英字新聞は焼き芋を包んでいた包装紙かもしれない。
7. 新年のご用はじめはおにぎり型のロボット掃除機床はい回る さらら
おにぎり型のロボット掃除機を私は見たことがないが、作者は
それを持っていて、新年の床掃除を始めた。
3句が7字。推敲によって字余りを避けることができると思う。
Re: 1/17 鑑賞「新」、題詠「温」
投稿日 | : 2019/01/17(Thu) 08:33 |
投稿者 | : フミコ |
参照先 | : |
鑑賞&批評 「新」
1. おそらくは百年はもつ瓦なれ欠けたるもののみ新しくする たかし
怪我したこどもを看護するように愛情籠る自力メンテナンスをしばしば歌われる。
百年はもつ瓦…恐らく家もどっしりとがっちりと古式風格をもっていると想像する。合う瓦も手に入りにくいのかも知れない。
ひびが入っていても屋根の上の作者は、しばらく瓦と会話する。
2. 新しき世へ駆け抜けた志士たちに時間(とき)はもうない 未来はわれに なか
志士というと新鮮組、尊皇攘夷の志士..ほかにも…
時間(とき)はもうない.. の、現時点がいつなのか何なのか?
志士とわれとの意思をつなぐものが漠然としていると思いました。
3. 新しき年のあけぼの窓に見る山の向かうの天射す光 ひさお
いかにも元旦の第一声にふさわしい格調高い歌。
作者の背筋も自ずから伸びている。
厳かさに圧倒されて作者の存在がわずかに薄らいで感じられる。
4. 年酒と紀の国御坊の新走り杯に受けいる氏神の苑 ひらら
紀の国御坊が利いていますね。計り知れない由緒を感じます。
粋な氏神様、新走りの一口にほろろん、佳き新年。
5. 新年の歌会はじめの卓上に和洋菓並べて声のはつらつ ひろゆき
「歌会はじめ(始)」というと、先ず浮かぶのが「宮中の…」。
茶菓が出ており、声のはつらつ…宮中のものでないのは分かりますが、紛らわしいと思いました。混乱するのでは?
捩っての歌なら、その語句がほしいと思いました。
6. 焼き芋のにおい撒きつつ英字新聞京大前で降りて行きたり フミコ
7. 新年のご用はじめはおにぎり型のロボット掃除機床はい回る さらら
おにぎり型のロボット掃除機…かわいい、勤勉。
人間どもの新年の団欒をしり目に床を這いまわる。
御用はじめですって! 現代ですねぇ。
Re: 1/17 鑑賞「新」、題詠「温」
Re: 1/17 鑑賞「新」、題詠「温」
題詠「温」提出します
鑑賞「新」提出します
投稿日 | : 2019/01/17(Thu) 00:12 |
投稿者 | : なか |
参照先 | : |
1. おそらくは百年はもつ瓦なれ欠けたるもののみ新しくする たかし
今まで家を守ってきた家の瓦と新しき瓦との融合。家を短歌の世界と例え、伝統と新しい歌で短歌の世界守っていると表現しているように感じました。
2. 新しき世へ駆け抜けた志士たちに時間(とき)はもうない 未来はわれに なか
よろしくお願いいたします。
3. 新しき年のあけぼの窓に見る山の向かうの天射す光 ひさお
今年は元号がかわり、時代の流れが感じられる年。作者が多くの人々にとって新しい年が、素晴らしい年であれと願っていると感じました。
4. 年酒と紀の国御坊の新走り杯に受けいる氏神の苑 ひらら
「年酒」年始の屠蘇。また、年賀の客にすすめる酒で季語は新年。「新走(あらばし)り」は新米で醸造した酒のことで秋の季語。俳句ではないので固執しなくてもよいのかもしれませんが、歌を詠むのなら歌の中に季節の統一感が欲しいです。
5. 新年の歌会はじめの卓上に和洋菓並べて声のはつらつ ひろゆき
たくさんの「和洋菓子並」んでいるという表現にとどめることで、多くの出席者と楽しそうな会話が聞こえてくる様子を読み手に想像させておられる歌。読んでいて温かくなりなす。
6. 焼き芋のにおい撒きつつ英字新聞京大前で降りて行きたり フミコ
「英字新聞」とは京大生の喩でしょうか。学びの難しさに険しい顔の学生も、焼き芋の香りと温かさに、にっこりとした表情をしているのでは、と読みました。冬のバス車中の一コマのほのぼのとした様子を詠まれ、作者の優しさが感じられます。
7. 新年のご用はじめはおにぎり型のロボット掃除機床はい回る さらら
ロボット掃除機に家事の一部分を任せ、手際よく用事をこなしておられる作者の姿が想像できます。結句「床はい回る」と同時に、何か他の表現も考えておられたと思います。違う表現でのこの歌を読んでみたいです。