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2/7 題詠「黄」、 鑑賞&批評「雪」
投稿日 | : 2019/02/01(Fri) 09:14 |
投稿者 | : フミコ |
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次回 H.31. 2. 7 (木)
鑑賞&批評 「雪」
題詠 「黄」
出題 ひららさん
★ ★ ★ ★ ★
2/ 7 鑑賞&批評 「雪」
1. トラックより訛りのふとき声降り来トンネルの先の吹雪を告ぐる ひらら
2. 長靴を履いて通ったあの道に雪山讃歌の歌声聞いた ひろゆき
3. 先代は雪の馬場にてはしゃぐ犬われはわれなり窓の雪見る フミコ
4. 運転免許取りしは北見「押してよ」と頼めば「これしきの雪に」と笑わる たかし
5. 雪女郎満月のもと子と遊ぶ民話を閉じてくもる窓拭く なか
6. 不意の雪胸にびつしりくつつけて飛ばせる自転車信号待ちに ひさお
Re: 2/14 題詠「黄」
題詠「黄」
Re: 2/7 題詠「黄」、 鑑賞&批評「雪」
投稿日 | : 2019/02/07(Thu) 11:45 |
投稿者 | : フミコ |
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鑑賞&批評 「雪」
1. トラックより訛りのふとき声降り来トンネルの先の吹雪を告ぐる ひらら
片側通行のすれ違いを想像した。
トンネルから出てきた大型トラックの高い運転席から訛りの強い太い声がトンネル向こうの吹雪を知らせてくれた。運転者同士の情報の共有。訛りのある太い声に温かみが洩れる。
訛りのふとき声…聞き慣れない言い方に感じました。
2. 長靴を履いて通ったあの道に雪山讃歌の歌声聞いた ひろゆき
馴染み深い通学道路、あの頃はよく雪が積もって長靴は必需品であった。雪道を行進のように歩いていた時、誰かが歌う雪山賛歌を聞いた。
登山は作者の趣味の一つと記憶している。甘酸っぱい青春の日のキー・
ミュージックなのかもしれませんね。
(上の句は懐古で下の句は時間を隔てた断片なのかも)
3. 先代は雪の馬場にてはしゃぐ犬われはわれなり窓の雪見る フミコ
4. 運転免許取りしは北見「押してよ」と頼めば「これしきの雪に」と笑わる たかし
北海道に駐屯されていた頃の思い出ですね。
運転免許取得のシチュエーションも流石に北海道、試験場も当然ながら雪上でしょう。
「これしき」の程度認識は人により、地方により大きく異なるのが面白いです。
5. 雪女郎満月のもと子と遊ぶ民話を閉じてくもる窓拭く なか
作者は読み聞かせのボランティアをされていると読んだ記憶があります。
お話会のリハーサルでしょうか。レパートリーを増やす。
山形の民話、余呉の妖怪、「雪女郎」は地域にも内容にもいくつもバリエーションがあるようですね。
一区切りつけて温かい部屋の曇った窓を拭く。
白い女の人が立っていそうな窓の外を見る作者の視線。
6. 不意の雪胸にびつしりくつつけて飛ばせる自転車信号待ちに ひさお
はじめは、急に吹き付けてきた雪の中を自転車で飛ばしてきた高校生と信号で隣り合わせた情景かと思いましたが、もしかすると、近くを自転車で通行中の作者かも知れないとも思いました。
胸にびっしり….雪混じりの向かい風の強さとそれを突っ切る自転車の
勢いを感じます。
題詠「黄」
Re: 2/7 題詠「黄」、 鑑賞&批評「雪」
Re: 2/7 題詠「黄」、 鑑賞&批評「雪」
投稿日 | : 2019/02/07(Thu) 11:09 |
投稿者 | : ひさお |
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題詠 雪 批評・感想
1. トラックより訛りのふとき声降り来トンネルの先の吹雪を告ぐる ひらら
3句切れ。ここで切らずに、4句以下へ繋げるようにしたい。
親切なトラックの運転手がおられたようですね。
2. 長靴を履いて通ったあの道に雪山讃歌の歌声聞いた ひろゆき
青春時代の思い出。「雪山賛歌」がよく歌われたのはいつ頃だったか
私は覚えていないが。「あの道」はここでは山道ではないようだ。山道なら
長靴を履いては行かない。それではどのような道か。何回も行き来した道
らしいが、そこから先は残念ながら私にはイメージがわいてこない。
3. 先代は雪の馬場にてはしゃぐ犬われはわれなり窓の雪見る フミコ
私は建部神社の近くで育ったので、たしか神社の境内に馬場(ばんば)という
広場があった。多分昔馬の乗り降りに使った広場ではなかろうか。
この作品の馬場も神社の境内の広場と解釈したい。
先代は元気な方で、雪の積もった馬場に出て犬のようにはしゃいで
いた。しかし作者は共に行動せず、窓の雪を見ていた。先代と一緒に
雪遊びをすべきだと、その時思ったかとうかは不明である。
4. 運転免許取りしは北見「押してよ」と頼めば「これしきの雪に」と笑わる たかし
雪のよく降る北見で運転免許を取った作者。まだ運転技術が未熟
であったとき、雪道でスリップして動けなくなったようだ。それで
助けを求めて笑われた。
意味はよく分かる。全体で36文字。すこし字余りがすぎないか。
北見で運転したことは言わねばならないが、免許取得は割愛できる
ように思われる。
下手な改作
北見では運転未熟「押してよ」と頼み「これしきの雪に」と笑わる
5. 雪女郎満月のもと子と遊ぶ民話を閉じてくもる窓拭く なか
満月の夜、雪の精が子どもと遊ぶという民話。その民話の本を
閉じて、作者は窓を拭いた。
3句切れではなく、「遊ぶ」は連体形で、民話にかかるのだ。
4句までは大変幻想的である。5句の現実が余韻を消して
しまうように思われる。「しばし瞑目」などではどうか。
6. 不意の雪胸にびつしりくつつけて飛ばせる自転車信号待ちに ひさお
鑑賞&批評「雪」
投稿日 | : 2019/02/07(Thu) 11:08 |
投稿者 | : ひろゆき |
参照先 | : |
1. トラックより訛りのふとき声降り来トンネルの先の吹雪を告ぐる ひらら
長距離トラックの運転手だろう、自分の運転して来た道の自然・吹雪を伝えてくれた。訛り、ふとき声をしかと受け止めたその時をうまく詠まれた。トンネルの中の徐行運転の一コマ?。
2. 長靴を履いて通ったあの道に雪山讃歌の歌声聞いた ひろゆき
3. 先代は雪の馬場にてはしゃぐ犬われはわれなり窓の雪見る フミコ
滝廉太郎の「雪」。犬は喜び…。先代を思いながらわれはわれなりと炬燵にいるのではない!激しく降る雪を見、どれほど積もるのだろうと積雪と除雪のことを考えながら見ている。結句、窓に雪見るではどうでしょう。
4. 運転免許取りしは北見「押してよ」と頼めば「これしきの雪に」と笑わる たかし
北海道最北端で運転免許を取り、積雪に発進できず押してよと頼んだら、これぐらいの雪で何言ってると笑われた。
作者がまだ知らない冬季真中の積雪の常態化に対応しての「これしきの雪」の言葉が活きる。
5. 雪女郎満月のもと子と遊ぶ民話を閉じてくもる窓拭く なか
子ども用民話。子どもによく民話を話される作者。部屋の温かに窓がくもり外が見えないので民話をいったん中断して。初句、私にとっては調べなければならない事柄であり、結果としてこの歌の中でどう活きるのか解せない、
6. 不意の雪胸にびつしりくつつけて飛ばせる自転車信号待ちに ひさお
雪がふいに降ってきて思わず急ぎして走ったら胸に雪が溜まっていた。しかし、信号には勝てず…。自転車に乗る女性の気持ちを察する歌。作者も並走されていたのであろう。
題詠「黄」詠草
鑑賞&批評「雪」
投稿日 | : 2019/02/07(Thu) 08:40 |
投稿者 | : たかし |
参照先 | : |
2/ 7 鑑賞&批評 「雪」
1. トラックより訛りのふとき声降り来トンネルの先の吹雪を告ぐる ひらら
この歌の状況、作者がトンネルの手前に差し掛かった時、トンネルを出てきたトラックが作者の横で止まり、運転席の窓から顔を出した運転手が「トンネルの向こうは吹雪だ」と、太い声で教えてくれた。その言葉には訛が強かった。福井訛であろう。
福井訛は私も親しいおじさんが福井に居たので知っているが「・・・のお」と語尾に「のお」を付ける。
親切な行為と、その声の太さとにアンバランスなものを感じて、それ故に作者の心に永く強く、記憶として残っている事柄なのであろう。それが読者にも分かる歌である。
2. 長靴を履いて通ったあの道に雪山讃歌の歌声聞いた ひろゆき
長靴を履いていたのは何時頃のことなのだろう。長靴は子供の頃も履くし、大人になっても履く。私は今も雨の日は長靴を履いて犬の散歩にゆく。
だから、長靴を履いて・・・だけでは何時ごろのことか不明。
「雪山讃歌」という歌の名が出てくる。これは昔はよく流行ったので、ある時代、
昭和の時代を感じる。しかし、そうだとしても漠然としている。
もう少しこの歌の「心」に到達できるヒントとなる言葉が欲しい。
この作者は、明日になってから、この歌はこうこうこういう意味で詠いました・・・と、
いつものように解説をするのだろうが、歌というものはそんなものではないと私は思う。
後から解説を加えて完成させるものではない。三十一文字のみで読者に伝えるもので、
それが不完全で読者に伝わらなかったら、次の機会に作る歌にそのことの反省を活かして改良を加える・・・そのようにして自分の作歌を一歩ずつ前へ進めてゆくもの、と私は「好日」で学びました。
後から自分の歌の「解説」をして満足をしていたら歌の前進はありません。
偉そうなことを言いましたが、自分にも言っております。
3. 先代は雪の馬場にてはしゃぐ犬われはわれなり窓の雪見る フミコ
犬二代。現在の犬は先代の犬のように雪のなかをはしゃぎ回らず、暖かい家の中で、
窓の外の雪を眺めている。その対照的な犬二代の様子を、犬に成り代わって詠った面白さがある。しかし「馬場」があるのが、この作者の個性ですなあ。
4. 運転免許取りしは北見「押してよ」と頼めば「これしきの雪に」と笑わる たかし
5. 雪女郎満月のもと子と遊ぶ民話を閉じてくもる窓拭く なか
こうした歌ではその民話を(雪女郎が)抜け出して、現実と幻との境がつきにくい状況を詠えば成功したと思うのだが、「民話を閉じて」と、はっきりと境をつけて詠っているので、こうした歌の取り得である幻想的なものが消えた。
少なくとも現実の作者が居る状態をも「満月」の下というように、民話のなかの設定と同じにすべきであろう。
6. 不意の雪胸にびつしりくつつけて飛ばせる自転車信号待ちに ひさお
自転車で走ってゆけば降る雪が胸にくっつく。それは分かる。
結句の「信号待ちに」が、言い訳に聞こえるのが弱点。
むしろ、信号で止まったら胸に雪がびっしり付いていた・・・という雪の降る日の「発見」の歌ということにしたらいいように思うが。
Re: 2/7 題詠「黄」、 鑑賞&批評「雪」
題詠「黄」詠草
鑑賞&批評「雪」提出します
投稿日 | : 2019/02/07(Thu) 00:41 |
投稿者 | : なか |
参照先 | : |
1. トラックより訛りのふとき声降り来トンネルの先の吹雪を告ぐる ひらら
降雪時の交通渋滞時の一コマでしょうか。トラックの運転席からの声が乗用車の運転席の作者にこの先の吹雪を告げている。「声降り来」の表現が効いていますね。
2. 長靴を履いて通ったあの道に雪山讃歌の歌声聞いた ひろゆき
「あの道」にはどんな思い出があるのでしょうか。私にはヒントがあるとより歌に思いが寄せられます。というより、私にイメージ力がないのでしょう。雪山讃歌の作詞者は、滋賀県にゆかりのある、第一次南極観測隊の副隊長兼越冬隊長の西堀栄三郎氏なのですね。
3. 先代は雪の馬場にてはしゃぐ犬われはわれなり窓の雪見る フミコ
「われ」とは愛犬のことでしょうか。ならば愛犬はきっと、「童謡じゃないけど、犬は『喜び庭駆けまわる』ばかりじゃないよ」なんて思っていると歌だと思いました。
4. 運転免許取りしは北見「押してよ」と頼めば「これしきの雪に」と笑わる たかし
北海道の降雪に対する、地元の方との感覚の違いが歌の中のやり取りで感じられます。「これしきの雪に」と言われても……という作者の思いが感じられます。
5. 雪女郎満月のもと子と遊ぶ民話を閉じてくもる窓拭く なか
よろしくお願いいたします。
6. 不意の雪胸にびつしりくつつけて飛ばせる自転車信号待ちに ひさお
雪が降り、急いで帰ろうにも信号は赤。色彩を取り入れた表現と、「不意の雪」が風に乗って流れるように吹雪く様子と自転車の走る速度といった、動きのある表現のバランスが整っている歌ですね。