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9/26 題詠「パン」 ・ 鑑賞&批評「夜食」
投稿日 | : 2019/09/20(Fri) 09:42 |
投稿者 | : フミコ |
参照先 | : |
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9/26 (木)
鑑賞&批評 「夜食」
題詠 「パン」
出題 さららさん
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
「夜食」
1. 病室の寝息確かめ記録して 運がよければわれらの夜食 フミコ
2. ぬばたまの夜食む獏よ夢を食む獏は貴女のつがいなのかい ゆき
3. 令和むかえこの酷暑より食事2回に夜食の文字は吾に死語となる さらら
4. 皮をむき小さく切りて病む人と秋の夜食べん梨「新甘泉」 たかし
5. 野獣ども朝に喰はずに昼に喰ふ二食主義者は夜食を重んず ひさお
6. 入院の母に添う夜食卓に器を並べあとを委ね行く ひらら
Re: 9/26 題詠「パン」 ・ 鑑賞&批評「夜食」
Re: 9/26 題詠「パン」 ・ 鑑賞&批評「夜食」
Re: 9/26 題詠「パン」 ・ 鑑賞&批評「夜食」
Re: 9/26 題詠「パン」 ・ 鑑賞&批評「夜食」
投稿日 | : 2019/09/26(Thu) 12:37 |
投稿者 | : ゆき |
参照先 | : |
1. 病室の寝息確かめ記録して 運がよければわれらの夜食 フミコ
病室の患者さんたちがすこやかに眠っていらっしゃれば看護師さん方も夜食を
とれるのですね。
2. ぬばたまの夜食む獏よ夢を食む獏は貴女のつがいなのかい ゆき
3. 令和むかえこの酷暑より食事2回に夜食の文字は吾に死語となる さらら
酷暑が過ぎましたので、ときどきは夜食も召し上がっていただいていると
いいのですが。食欲の秋ですし。
4. 皮をむき小さく切りて病む人と秋の夜食べん梨「新甘泉」 たかし
夜の梨とか夜のりんごって、昼間のものよりも神秘的な響きがあります。
夜の梨のしゃりしゃり言う音がきこえてくるよう。静謐な時間ですね。
5. 野獣ども朝に喰はずに昼に喰ふ二食主義者は夜食を重んず ひさお
野獣どもは、本当の獣のことを指しているのでしょうか。
お昼と夜だけ狩りをするということですよね。
6. 入院の母に添う夜食卓に器を並べあとを委ね行く ひらら
おうちの晩御飯を仕度した後、後片付けはご家族のかたがたにおまかせして
入院中のお母様の付き添いにいかれたのですね。
詠草「パン」
Re: 9/26 題詠「パン」 ・ 鑑賞&批評「夜食」
Re: 9/26 題詠「パン」 ・ 鑑賞&批評「夜食」
投稿日 | : 2019/09/26(Thu) 09:28 |
投稿者 | : ひさお |
参照先 | : |
1. 病室の寝息確かめ記録して 運がよければわれらの夜食 フミコ
家族の人が入院中。複数の家族が付き添っている。病状はよくない
ことが、「運がよければわれらの夜食」でわかる。
看護のプロの作者。モニターに出ている血圧、脈拍、酸素飽和度など
の数値を手帳などに記録していて、寝息の状態にも気を配っている。
「記録して」をモニターの数値を記録すると解釈しました。
2. ぬばたまの夜食む獏よ夢を食む獏は貴女のつがいなのかい ゆき
伝説の獏は夢を食うといわれている。夜を食べる獏もあるのですか。
しかも獏は女性なのだ。
夢を食む獏は悪い夢を食ってくれる。夜を食む獏とは、寝苦しい思いを
しているときにそれを食ってくれるのであろうか。もしそうならどちらの獏も
ときどき出てきてもらいたいものだ。
3. 令和むかえこの酷暑より食事2回に夜食の文字は吾に死語となる さらら
6字、7字、7字、7字、8字。推敲の余地があるのではないか。
酷暑のため悲鳴を上げている様子はわかる。
4. 皮をむき小さく切りて病む人と秋の夜食べん梨「新甘泉」 たかし
病人のために「皮をむき小さく切る」のは作者。現在梨の皮をむき小さく
切っているところ。それを病人と一緒に食べようと考えながら。
(作者はまだ梨の皮をむいたり切ったりはしておらず、そのようにしたいと
考えている段階とも解釈できる。「食べん」の「ん」があるためそのように
なる。まず食べんと詠ってから梨の皮をむくとすれば、現在皮をむいている
ことになる。)
「新甘泉」という梨があるのですね。
5. 野獣ども朝に喰はずに昼に喰ふ二食主義者は夜食を重んず ひさお
6. 入院の母に添う夜食卓に器を並べあとを委ね行く ひらら
入院の母に付き添わねばならない作者。家庭の主婦として夜の食事の
用意はして、食卓に並べ、その後病院へ出かける。
やらねばならぬことはしっかりやるという作者の責任感がよく出ている。
鑑賞&批評「夜食」
投稿日 | : 2019/09/26(Thu) 08:35 |
投稿者 | : フミコ |
参照先 | : |
1. 病室の寝息確かめ記録して 運がよければわれらの夜食 フミコ
2. ぬばたまの夜食む獏よ夢を食む獏は貴女のつがいなのかい ゆき
夜を食む獏というのは初めて読んだ。
夢を食む獏がいるぐらいだから居るのだろうと思う。
おどろおどろしい世界なのか、ファンタスティックな次元なのかは解らないけれど、この歌で作者の立場は人間なのか、見えない存在なのか、私にはこの歌を消化する溶媒触媒がないのだと思います。
3. 令和むかえこの酷暑より食事2回に夜食の文字は吾に死語となる さらら
.様々な食事様式、健康維持のバイブルが溢れている中、1日2食を実行中。
したがって夜食は無縁のものとなった。
生活から抹消されたので「夜食」という言葉自体が死語となった。
作者の強い意思に支えられて良い効果が得られますように。
4. 皮をむき小さく切りて病む人と秋の夜食べん梨「新甘泉」 たかし
体調を崩された奥様と秋の夜長に梨を食べようかというシーンが浮かんだ。
鳥取名産「新甘泉」、甘〜い梨だと読みました。。
食べやすく小さく切って、食欲のない人に少しでも食べてほしいという配慮。
負担をかけないよう言葉少なに、静かに通い合う思いやりの漂う歌だと思いました。
5. 野獣ども朝に喰はずに昼に喰ふ二食主義者は夜食を重んず ひさお
「野獣ども」から入るショッキングな構成。
野獣は、大草原や原始林のホンモノの野獣でもいいし、あるいは、今では希少かと思われたりする個性的な人間かもしれないとも思いました。
もしかするとこれはあまり深く考えないでひゅっと感じたままの解釈ががいいのかも。
食べる話ではないのかもしれない。下の句でなぜかそう思った。
小さな確率として、作者しか知らない作者のある面の比喩かナなどと考えました。下の句、何か哲学めいて秋思に似合っている感じ。
6. 入院の母に添う夜食卓に器を並べあとを委ね行く ひらら
後を委ねられたのはお姑さんでしょうか。
お姑さんなら器並べも委ねられそう。
他の方の気配が感じられないので分かりにくい状況になった気がする。
付き添いに行くためにも残す人たちの食事に配慮している作者の手際よさを感じます。
Re: 題詠「パン」