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12/5 題詠「和」・鑑賞&批評「聖」
投稿日 | : 2019/11/29(Fri) 08:55 |
投稿者 | : フミコ |
参照先 | : |
★ ★ ★ ★ ★ ★
12/ 5 (木)
鑑賞&批評 「聖」
題詠 「和」
出題 たかしさん
※ ※ ※ ※ ※ ※
批評 詠草一覧 「聖」
1. 幾度の断捨離の手をくぐり抜け棚に居座る聖書一冊 フミコ
2. あれはたしか18のイブ聖一という名の男子にふられたわたし ゆき
3. 数人の男性聖歌隊のミサ曲の荘厳なひびきバチカンにあびる さらら
4. 洗礼を来月受ける三男よ名に聖(セント)など付くのだろうか たかし
5. 八百万(やおよろず)の神と住まへば一億が使徒のごとくにイブ(聖夜)の夜を酌む 蔦の道
6. 妖怪の美女の出でくる鏡花作「高野聖」 わが身は果てむ ひさお
7. 凍裂の悲鳴ぱしぴし雪掘りの聖護院蕪ひび割れ走る ひらら
聖護院蕪ー(しょうごいんかぶ)
Re: 12/5 題詠「和」・鑑賞&批評「聖」
投稿日 | : 2019/12/05(Thu) 10:02 |
投稿者 | : ひさお |
参照先 | : |
1. 幾度の断捨離の手をくぐり抜け棚に居座る聖書一冊 フミコ
思い切って断捨離をしても、どうしても捨てられない物がかなり残る。
それが聖書だったのですね。
私も読まないけれども、聖書は処分できない。気持ちは分かります。
「手をくぐり抜け」のところにかなり工夫の跡が見受けられる。
2. あれはたしか18のイブ聖一という名の男子にふられたわたし ゆき
イブに聖一を持ってきたところが面白い。
「いう名の男子に」は「いう男の子に」としてはどうか。「名」はいらないと思う。
また「男子」というのはいかにも堅い感じがする。
3. 数人の男性聖歌隊のミサ曲の荘厳なひびきバチカンにあびる さらら
バチカンへ行って、実際にミサ曲を聞いた人でないと詠めない。
「バチカンにあびる」がいい。たしかに教会の演奏はすごく響きますね。
4. 洗礼を来月受ける三男よ名に聖(セント)など付くのだろうか たかし
洗礼を受けられるのですか。一般的には洗礼を受けると、聖人にちなんだ
洗礼名(聖名・霊名)を受けるらしい。
5. 八百万(やおよろず)の神と住まへば一億が使徒のごとくにイブ(聖夜)の夜を酌む 蔦の道
日本人のことを詠っている。
一神教は少なく、めいめいが自分にふさわしい神を信心している。だからイブの夜は、
それぞれが使徒のつもりで酒あるいはお茶を酌み交わしお祝いする。
使徒はキリスト教徒の概念ではないのかという疑問が生じた。
酌むというのは酒をのむだけではなくお茶にも通用する言葉なので妥当。
6. 妖怪の美女の出でくる鏡花作「高野聖」 わが身は果てむ ひさお
7. 凍裂の悲鳴ぱしぴし雪掘りの聖護院蕪ひび割れ走る ひらら
聖護院蕪ー(しょうごいんかぶ)
雪の積もっている畑の聖護院蕪を、収穫するため引き抜くと「ばしびし」と
音をたてて蕪がひび割れする。これが凍裂で蕪の悲鳴のようだ。
おいしい千枚漬けも厳しい状況を経てつくられるようですね。
「ばしびし」がいい。凍裂から始まって、引き締まった作品になっている。
Re: 12/5 題詠「和」・鑑賞&批評「聖」
投稿日 | : 2019/12/05(Thu) 10:02 |
投稿者 | : フミコ |
参照先 | : |
1. 幾度の断捨離の手をくぐり抜け棚に居座る聖書一冊 フミコ
2. あれはたしか18のイブ聖一という名の男子にふられたわたし ゆき
若さにとっては、何かが始まる予感、期待が高まるイヴの夜。
皮肉にも「聖」の字を名に持つ人に振られてしまった。
これは忘れられない。
でも、この出来過ぎた運命予告のようなシチュエーションはのちのち、思い出す度に笑えたのではないでしょうか。
3. 数人の男性聖歌隊のミサ曲の荘厳なひびきバチカンにあびる さらら
バチカンの名が神々しい。
クリスチャンにとっては聖地ともいえる総本山での体験は、作者が信者であるなしに関わらず得難い思い出となりましょう。
4. 洗礼を来月受ける三男よ名に聖(セント)など付くのだろうか たかし
洗礼名に「聖」はつかないと思いますけれど、敬虔な信者をつらぬき、一生を信仰のため、人々への愛のために身を捧げれば自ずから聖人と呼ばれ、聖の文字をその名に冠る事になる筈。
苦しみ多い自己研鑽と人間愛、イエズスとともにある人生をえらばれたのですね。素晴らしいです。
5. 八百万(やおよろず)の神と住まへば一億が使徒のごとくにイブ(聖夜)の夜を酌む 蔦の道
「一億が使徒のごとく」、「八百万の神と住む」極辛口の風刺と皮肉で、危機感と信仰心薄い民族を切って捨てる。
選ばれた言葉のマジックで歌に格調が備わっているのが恐ろしい。
6. 妖怪の美女の出でくる鏡花作「高野聖」 わが身は果てむ ひさお
妖怪の美女というあたり、鳥肌たつような美しさを感じさせる
わが身は捕り殺されるのだろうか。
泉 鏡花…名前だけしか知らないのでAmazonへ注文した。
漫画も出ているけれど先ずは書籍を読んでみる。「歌行灯・高野聖」
漢字にはフリガナ付、表現も昔風でなかなか読み進まない。
感想は一先ず読み終えてから。 すみません。
7. 凍裂の悲鳴ぱしぴし雪掘りの聖護院蕪ひび割れ走る ひらら
聖護院蕪ー(しょうごいんかぶ)
「凍裂の悲鳴」すごい表現。さすが底冷えの、京都人。写生のきわみ。
掘り出されて外気にさらされた蕪の真っ白い肌が冷気に裂けて今にも血を噴き出しそうな臨場感がある。「ぱしぴし」のオノマトペにもありきたりのピシパシではないところに緊張感がみなぎる。鮮度一級、おいしそう。
Re: 12/5 題詠「和」・鑑賞&批評「聖」
投稿日 | : 2019/12/05(Thu) 10:01 |
投稿者 | : ひらら |
参照先 | : |
題詠「和」詠草
白和えに菊菜と柿とひじきの具友禅和えと末の娘名付く ひらら
フミコさんへ
詠草が途中切れ 前のを消してください。
Re: 12/5 題詠「和」・鑑賞&批評「聖」
Re: 12/5 題詠「和」
Re: 12/5 題詠「和」・鑑賞&批評「聖」
Re: 12/5 題詠「和」・鑑賞&批評「聖」
投稿日 | : 2019/12/05(Thu) 09:22 |
投稿者 | : 蔦の道 |
参照先 | : |
もう書いていいのかしらん? 間違ったら消します。
批評 詠草一覧 「聖」
1. 幾度の断捨離の手をくぐり抜け棚に居座る聖書一冊 フミコ
断捨離と言うのですから、生粋のキリスト教徒ではない。しかし、何故か捨てられない聖書一冊には、作者なりの大切な物語が詰まっていたのです。その思い出は苦いものであれ甘いものであれ作者が生きてきた道程でした。作者が手放せなかったのか?聖書の中の思い出が作者から離れがたかったのか?
聖書の中の思い出の意思と引力ですな。
2. あれはたしか18のイブ聖一という名の男子にふられたわたし ゆき
ふふふふ。恋の終わりとイブの夜とキリスト教徒のような名前の子と、舞台設計が楽しい。
3. 数人の男性聖歌隊のミサ曲の荘厳なひびきバチカンにあびる さらら
作者はバチカン市国を旅していて、聖歌隊の場面に遭遇したのだと思う。礼拝堂に反響するミサ曲の荘厳さを全身に浴びて感動したのでしょうね。ただ、語順をもっと整頓するといいかもしれない。
4. 洗礼を来月受ける三男よ名に聖(セント)など付くのだろうか たかし
作者の赤ちゃんかと勘違い。大人になっても洗礼ができるのですね。信者には名誉で嬉しいことなのだと思う。
5. 八百万(やおよろず)の神と住まへば一億が使徒のごとくにイブ(聖夜)の夜を酌む 蔦の道
6. 妖怪の美女の出でくる鏡花作「高野聖」 わが身は果てむ ひさお
高野聖の本は読んだことはないが、「美女の妖怪」が出るのですから、ひさおさんは食べられちゃったんでしょうね。「わが身は果てむ」の言葉に満足感が噴き出ています。
7. 凍裂の悲鳴ぱしぴし雪掘りの聖護院蕪ひび割れ走る ひらら
聖護院蕪ー(しょうごいんかぶ)
ぱしぴしのオノマトペがいいなあ。凍裂という言葉を知りませんでした。
雪の中から掘り出した途端ピシひび割れが走ると読めますが、実際は凍った土の中でひび割れは成っていて、掘り出した蕪にその証拠が見られたのだと思います。
ゆえに、ひび割れておりと完了させたほうがいい。雪堀のの言葉も落ち着かない。雪中の聖護院蕪ひび割れていづ、じゃないかなあ?