トップページ > 記事閲覧
1月16日・お題「吉」 鑑賞&批評「松」
投稿日 | : 2020/01/10(Fri) 09:44 |
投稿者 | : たかし |
参照先 | : |
次回 2020.01.16(木)
鑑賞&批評「松」
お題・・・「吉」
出題・・ウプラさん(不定期=浮遊体)
※ ※ ※ ※ ※
詠草「松」一覧
1、過呼吸にあへぐをんなに渡されしダンボール臭強き海松茶(みるちや)の袋 蔦の道
2、大方の松坂世代引退しかの本人はしぶとく残る ひさお
3、出征の記念と叔父の植えし松ひび割れる皮小さく剥ぎぬ ひらら
4、大門の傍に古木の松ありて父母ありしころ屋根に枝はる さらら
5、松材は木目(もくめ)よろしく艶あれど反りて暴れて加工し難し たかし
6、近隣のただ一軒の門松に愁心の湧く 父母(ちちはは)在る日 ひろゆき
7、この家の暗き階段夏ふかくひつそりとまた松脂を垂る ウプラ
Re: 1月16日・お題「吉」
Re: 1月16日・お題「吉」 鑑賞&批評「松」
Re: 1月16日・お題「吉」 鑑賞&批評「松」
投稿日 | : 2020/01/16(Thu) 08:30 |
投稿者 | : 蔦の道 |
参照先 | : |
過呼吸にあへぐをんなに渡されしダンボール臭強き海松茶(みるちや)の袋
出征の記念と叔父の植えし松ひび割れる皮小さく剥ぎぬ ひらら
出征の記念に叔父の植えし松・・としたらどうか?
皮を剥いでいるのは作者か?
無事に戻ってきた叔父か?
植えた松はひょろひょろした若木。
戦後80年ならば立派に育っているよね。
無事に戻ってきた時のやや精悍になった若木かなあ?
作者が皮を剥いだならば、叔父を偲んで戦後数年目。
または戦後80年の現在か?
時間軸が分からないので
そこが伝わりにくい。
松の木は亀甲文様にひびが入っているのではないかな?
それを剥がす行為に、なんとなくお題に対するポーズが見える。
近隣のただ一軒の門松に愁心の湧く 父母(ちちはは)在る日 ひろゆき
家ごとの門松も廃れた日本。
両親が健在のころは、どの家も門松を飾っていた・・と、作者は言いたいのかも。
しかしながら「愁心の湧く」の言葉は固い。柔らかく詩的に変えたらいい。
「父母(ちちはは)在る日」 の位置を組み立てなおしたい。
大門の傍に古木の松ありて父母ありしころ屋根に枝はる さらら
大門の言葉で地方の大きな旧家が偲ばれる。
門に渡して立っている{みこし松}とは違う聳える松の木
滅んでゆく日本の良き時代が匂ってくる歌。
屋根に枝を張るほど伸びた松。
松毛虫などの害はどのようにしのいだかが気になる。
追記・・昔ながらの大きな家ならば、大門に植えるのは「みこし松」だろうなあ。これなら門の屋根に松の枝は伸ばして見越し松になる。
門のそばに植えるのは、大木としての松ではないと思い返した。
母屋に枝を張るには遠すぎるからだ。
門のそばに植えた見越し松が枝を伸ばして門の屋根を超えたと考え直した。
松材は木目(もくめ)よろしく艶あれど反りて暴れて加工し難し たかし
松の暴れのさまが元気で見えるようだ。勢いよく一気に詠んだ。
大方の松坂世代引退しかの本人はしぶとく残る ひさお
忘れたころにまた日本に戻ってしぶとく生きているね。西武獲得は終わりの始まりと言われているが、どこまで働けるかなあ。
この家の暗き階段夏ふかくひつそりとまた松脂を垂る
松脂が涙のようで、怨念のようで、古い時代を経た家が浮かび上がる。
「また」は要らない言葉に思う。
Re: 1月16日・お題「吉」 鑑賞&批評「松」
Re: 1月16日・お題「吉」 鑑賞&批評「松」
投稿日 | : 2020/01/16(Thu) 07:49 |
投稿者 | : ひさお |
参照先 | : |
1、過呼吸にあへぐをんなに渡されしダンボール臭強き海松茶(みるちや)の袋 蔦の道
過呼吸になるのは、精神的ストレス、突然の恐怖や強い不安などが原因で、息苦しく
しびれやめまいなどの症状を伴うらしい。
それを落ち着かせるために、紙袋に息を吐いて呼吸を整えるという方法が採られて
いたようだ。現在ではその方法はよくないと言われているらしいが。
その紙袋はダンボール臭が強く、色は海松茶であった。
「あへぐをんな」は作者と思われる。4句が10字になるが、やむを得ない。
海松茶のことと、過呼吸のことを教わりました。
2、大方の松坂世代引退しかの本人はしぶとく残る ひさお
3、出征の記念と叔父の植えし松ひび割れる皮小さく剥ぎぬ ひらら
叔父さんの出征記念だから、ほぼ80年くらい前に植えられた松。外皮に
いくつもひび割れができている。叔父さんのことを思いながら松の木を見て
いて、ひび割れしているところが目につき、その皮をはぎ取り、伯父さんを
しばし偲んだ。
「記念と叔父の」は「記念に叔父の」方がよくないか。丁寧に言えば「記念にと」
である。
4、大門の傍に古木の松ありて父母ありしころ屋根に枝はる さらら
昔の大きな家。その前に大きな門があり、傍に古木の松があった。
その松の枝が家の屋根まで伸びていた。父母のことを思いだしながら、その
松のことも思いだし、懐旧の念に浸っている。
5、松材は木目(もくめ)よろしく艶あれど反りて暴れて加工し難し たかし
リズムがよく整っている。
「反りて暴れて」は実際に松材を加工した経験から学んだことであろう。
反るはよく分かるが、暴れるとはどういうことか分かり難い。
松は脂がよく出るが、そのことと関係あるのかもしれない。
6、近隣のただ一軒の門松に愁心の湧く 父母(ちちはは)在る日 ひろゆき
昭和30年くらいまでは、どの家にも門松が飾られていたが、今ではほとんど
見られない。作者の近隣の一軒では門松を飾られる。それを見ると、父母の
おられた昔のことが物悲しく蘇ってくる。その家では国旗も掲揚されるのかも
「愁心」という熟語は普通の辞書にはない。「愁」は、悲しむ、寂しい思い、心配
などの意味がある。作者には父母の思い出は懐かしいというより、物悲しさに近い
ものらしい。
7、この家の暗き階段夏ふかくひつそりとまた松脂を垂る ウプラ
昔風の頑丈な家を思わせる。幅広の大きな階段。照明はない。毎年真夏になると
階段の松材から脂が垂れる。田舎の一軒家で、物音はほとんどしなく、静まり
かえっている。蒸せるような暑さ。
夏ふかく ひっそりと また このあたりに作者のうまさが出ている。
Re: 1月16日・お題「吉」 鑑賞&批評「松」
Re: 1月16日・お題「吉」 鑑賞&批評「松」
投稿日 | : 2020/01/10(Fri) 19:08 |
投稿者 | : ひさお |
参照先 | : |
次回のお題は「浮遊」でお願いします。
念のため
次回(1月16日)の題は「吉」
次々回(1月23日)の題が「浮遊」となります。
Re: 1月16日・お題「吉」 鑑賞&批評「松」