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3/19 題詠「二十歳」・鑑賞&批評「あかんぼ」
投稿日 | : 2020/03/13(Fri) 09:03 |
投稿者 | : フミコ |
参照先 | : |
♪ 次回・「たどたど」スケジュール ♪
R・02.03.19 (木)
題詠 「二十歳」
鑑賞&批評 「あかんぼ」
出題当番 ひさお さん
鑑賞詠草
1. 「もうあかんぼくは!君だけ逃げてくれ」叫んだときにはっと眼が覚む たかし
2. いろいろな彩を仕込んでかき混ぜていいとこ取りのあかんぼが欲し 蔦の道
3. 夢心地覚まさなあかんぼんやりと流れる雲を眺めたりして ひさお
4. あかんぼの弟背に仰け反(のけぞ)りぬ歌い尽きたりあやし果てたり ひらら
5. あかんぼのこの世に生まれし瞬間を暗き廊下でただひとり待つ ひろゆき
6. 枝を跳び瓦を走る猿の背に決して落ちないあかんぼがいた フミコ
7. 大好きな歌手の新譜のジャケットになめくじのあかんぼがいて薄目で見てる ゆき
8. これやこの甲斐の日暮れの桃の花 あかんぼおーつとうるんでしまふ ウプラ
9. 「みずかがみ」土鍋で炊くとき母の声あかんぼ泣いても蓋をとるなと さらら
Re: 3/19・鑑賞&批評「あかんぼ」
投稿日 | : 2020/03/19(Thu) 16:30 |
投稿者 | : フミコ |
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1. 「もうあかんぼくは!君だけ逃げてくれ」叫んだときにはっと眼が覚む たかし
何だかわからないが緊急事態が発生。
作者の持てる全知全能を傾けて対処したが遂に絶体絶命の瀬戸際。
こんな時だからこそ人間性は出る。
自が命を捨てても親友の救命を叫ぶ。
夢でよかったです。将来は天国行の切符が手に入ったような夢です。
2. いろいろな彩を仕込んでかき混ぜていいとこ取りのあかんぼが欲し 蔦の道
すべての親の夢かもしれない。
神も倫理もわきまえない傲慢不遜な望みでもあるような。
親をはるかに凌ぐ万能の錯覚を持ったあかんぼが現れるかも。
クローン研究の先の先 実現する可能性はゼロではない気が……
あなおそろしや〜
3. 夢心地覚まさなあかんぼんやりと流れる雲を眺めたりして ひさお
お題分割句またがり詠方…免許皆伝、師範代。
作者の心を陶酔させている何か、外装ボンヤリ、内心コロナ(太陽の..).
…あかん..と思う現実との境界線上を彷徨っているような。
春ですねぇ。 脱力感というより楽しんでいる感じがします。
4. あかんぼの弟背に仰け反(のけぞ)りぬ歌い尽きたりあやし果てたり ひらら
やさしいお姉ちゃん像がうかぶ。
作者の感じは多分小学校2.3,4年ぐらい。
下の句、歌い尽きたり、あやし果てたり…一生懸命の子守にもかかわらず、
むずかったり仰け反ったり、万策尽きて途方に暮れる幼いおねえちゃんの、今にもこぼれそうな涙が膨らんで見えて来る。
5. あかんぼのこの世に生まれし瞬間を暗き廊下でただひとり待つ ひろゆき
作者が赤ちゃんの父親なのか爺サマなのかで鑑賞がかわると思いますが、私は、
新婚の核家族だろうと読みました。
夜間の静まりかえった廊下に置かれた椅子に一人待つ夫には分娩室の中から僅かに洩れて来る音に耳を澄まして期待と不安が行ったり来たり。
看護師は出入りの度に一声かけることを申し合わせしているほど、待っている夫やパパは頼りなく、緊張と心配で疲労して見えます。
6. 枝を跳び瓦を走る猿の背に決して落ちないあかんぼがいた フミコ
7. 大好きな歌手の新譜のジャケットになめくじのあかんぼがいて薄目で見てる ゆき
ナメクジは新譜とリンクしていない事を祈る
ジャケットが気に入って買う人もいるしその反対もいる。
何かの暗喩かもしれないし.....こういうの好きな人も確かに居るなと思います。歌手の名前が書いてあると面白いし、想像も広がると思いました。
8. これやこの甲斐の日暮れの桃の花 あかんぼおーつとうるんでしまふ ウプラ
うつくしい上の句。
下の句で上の句の桃源郷を現実に戻している。
言葉とは裏腹に作者は夢見ごこちを抜け出したくはないままになっている。
行きつ戻りつ、しばらくは束の間のゆったりもったり揺蕩ってくださいませ。
9. 「みずかがみ」土鍋で炊くとき母の声あかんぼ泣いても蓋をとるなと さらら
「みずかがみ」は滋賀の推奨米。
新米を土鍋で炊いている。
いい香り。お母さんの教えがよみがえる香り。
結句は字足らずでも「蓋とるな」ぐらいが母の声に合うのかなと思いました。
Re: 3/19 題詠「二十歳」・鑑賞&批評「あかんぼ」
Re: 3/19 題詠「二十歳」・鑑賞&批評「あかんぼ」
投稿日 | : 2020/03/19(Thu) 12:08 |
投稿者 | : さらら |
参照先 | : |
。最近の諸々の薄気味悪い状況を眠っているときに襲われる危機 夢で良かった。
2. いろいろな彩を仕込んでかき混ぜていいとこ取りのあかんぼが欲し 蔦の道
十二単のように彩なす才能を混合させ 完成度の高い赤んぼが欲しいものよ。。
3. 夢心地覚まさなあかんぼんやりと流れる雲を眺めたりして ひさお
人は終を迎えるまで夢をもって生きるもの。夢心地をひと時でも味わえる感性素敵です。
4. あかんぼの弟背に仰け反(のけぞ)りぬ歌い尽きたりあやし果てたり ひらら
産めよ増やせの戦時中どこのうちにも見られる日常。私も10歳下の弟をおんぶしてまりつきをしていました。その写真を見ては恩を覚える弟より酔っ払い昨夜も長い電話がありました。
5. あかんぼのこの世に生まれし瞬間を暗き廊下でただひとり待つ ひろゆき
初産の辛苦は女性には忘れがたい大事件 男性は何も手を出せず無事に生まれることを祈るのみ 生死は予告なく迎える故 ただ一人暗い廊下で待つ 父親になる心定めを思う。
6. 枝を跳び瓦を走る猿の背に決して落ちないあかんぼがいた フミコ
坂本の泰門庵に伺っているとき猿の大群が屋根や大樹に暴れている。奥様が高い声で長い棒で振り払っておられるのを目撃した。どんな時も子猿は親から離れない。親子の絆が硬い。
7. 大好きな歌手の新譜のジャケットになめくじのあかんぼがいて薄目で見てる ゆき
大きなナメクジだったら怖いけど小さな赤んぼのナメクジとの出会い。互いに薄目で見合っていてこんな取り合わせは珍しい。ともに今生きている春の到来と音楽を聴こう。
8. これやこの甲斐の日暮れの桃の花 あかんぼおーつとうるんでしまふ ウプラ
日暮れの桃の花 蕾の一つが愛おしくうるんで見える。しばらくそこに佇む。
9. 「みずかがみ」土鍋で炊くとき母の声あかんぼ泣いても蓋をとるなと さらら
Re: 3/19 題詠「二十歳」・鑑賞&批評「あかんぼ」
題詠「二十歳」
Re: 3/19 題詠「二十歳」・鑑賞&批評「あかんぼ」
投稿日 | : 2020/03/19(Thu) 10:28 |
投稿者 | : ひさお |
参照先 | : |
蔦の道さんへ
すばらしい作品と、的確な講評。去ってしまわれるのは実に寂しい。
ちょっとした心の迷いであって、すぐに思い直していただければ
大変うれしく思います。ですからお別れとは考えていません。
Re: 3/19 題詠「二十歳」・鑑賞&批評「あかんぼ」
Re: 3/19 題詠「二十歳」・鑑賞&批評「あかんぼ」
Re: 3/19 題詠「二十歳」・鑑賞&批評「あかんぼ」
投稿日 | : 2020/03/19(Thu) 10:16 |
投稿者 | : ひさお |
参照先 | : |
1. 「もうあかんぼくは!君だけ逃げてくれ」叫んだときにはっと眼が覚む たかし
あかんぼを「あかん」と「ぼ」に分けた苦心作。
かなり追い詰められたようだが、眼が覚めてよかった。
2. いろいろな彩を仕込んでかき混ぜていいとこ取りのあかんぼが欲し 蔦の道
あかんぼもいいとこ取りできるなら楽しくて癒されていいですね。
「いろいろな彩を仕込んでかき混ぜて」は染物の工程であろう。気に入った
色がでるまで試行錯誤される。いいとこ取りの説明にそれをもってきたのは巧である。
3. 夢心地覚まさなあかんぼんやりと流れる雲を眺めたりして ひさお
4. あかんぼの弟背に仰け反(のけぞ)りぬ歌い尽きたりあやし果てたり ひらら
弟を背負って子守りしたときの思い出。子守歌をうたい、いろんな「あやし」を
してみても、あかんぼは仰け反って泣きわめく。もう手に負えない。
だいぶ年齢差のある姉弟のようだ。苦労した経験。
5. あかんぼのこの世に生まれし瞬間を暗き廊下でただひとり待つ ひろゆき
産院で、待ちに待った子の出産を待っている父親。まだ明けきらない暗い
廊下で、ただひとり。
「生まれし」は「生れし(あれし)」とする方が、字余りにならず引き締まるように
思う、
6. 枝を跳び瓦を走る猿の背に決して落ちないあかんぼがいた フミコ
躍動する猿。その親の背に必死でしがみついている子ザル。「枝を跳び瓦を
走る」の具体によって動物園では見られない迫力が感じられる。
7. 大好きな歌手の新譜のジャケットになめくじのあかんぼがいて薄目で見てる ゆき
新譜のジャケットのなめくじ。めずらしい。それもなめくじのあかんぼで薄目を
あけているように見えたらしい。なめくじの薄目とは面白い。
8. これやこの甲斐の日暮れの桃の花 あかんぼおーつとうるんでしまふ ウプラ
あかんぼを「あかんと」「ぼ」に分けた苦心作。
蝉丸の「これやこの行くも帰るも・・・・」の和歌を踏まえている。
甲斐には桃畑が多い。夕方その桃畑を目にした。これが有名な桃の花かと
感激。長年見たいと思っていた光景。感極まって目がうるんできた。
9. 「みずかがみ」土鍋で炊くとき母の声あかんぼ泣いても蓋をとるなと さらら
「みずかがみ」とは米の品種名。今滋賀県で売り出し中。
「はじめちょろちょろ・・・・・・あかごないてもふたとるな」という母親の教えを実行。
Re: 3/19 題詠「二十歳」・鑑賞&批評「あかんぼ」
鑑賞&批評「あかんぼ」
投稿日 | : 2020/03/19(Thu) 10:14 |
投稿者 | : ひろゆき |
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1. 「もうあかんぼくは!君だけ逃げてくれ」叫んだときにはっと眼が覚む たかし
窮地に追い込まれ、自分の体力なきを悟りして友に告げる。自分の声に呼び起された様子を詠う。
2. いろいろな彩を仕込んでかき混ぜていいとこ取りのあかんぼが欲し 蔦の道
才を彩と歌い、幅広く対応、活躍できるエキスを取り込んだ赤んぼが欲しいと。具体的で超突的である。
3. 夢心地覚まさなあかんぼんやりと流れる雲を眺めたりして ひさお
雲の形やは背景の空の色が余程気に入ったのであろうか、それとも宝くじの高額当選があったのか。時間の経つのを忘れて眺めてい、気が付いたら相当時間が経過していた。自分を取り戻さなければと。
4. あかんぼの弟背に仰け反(のけぞ)りぬ歌い尽きたりあやし果てたり ひらら
兄弟二人のうち構って貰えない弟がご機嫌を損ね、ぐずりだし手の施しようがなくなつて、疲れてしまった。もうどうでもいいわ!って感じ。子守は疲れる。
5. あかんぼのこの世に生まれし瞬間を暗き廊下でただひとり待つ ひろゆき
6. 枝を跳び瓦を走る猿の背に決して落ちないあかんぼがいた フミコ
木の実がなくなって人家の間を走り回る。人にも追いかけられて親は素早い動作で走るが抱きついたあかんぼは落ちない。下句から落ちる赤んぼもいるのだなぁと。落ちたら立ち止まるのだろうかと推測にあれやこれやと多数。
7. 大好きな歌手の新譜のジャケットになめくじのあかんぼがいて薄目で見てる ゆき
湿気が強かったのか新譜のジャケットになめくじとは。薄めを開けていると観察の微細なこと。ほかされはしないぞと。
8. これやこの甲斐の日暮れの桃の花 あかんぼおーつとうるんでしまふ ウプラ
数多くの桃の花が咲き、見た花にはのすでに小さな実を付けていたのか。たった一つそのかわいらしさに目が潤んでしまう。
9. 「みずかがみ」土鍋で炊くとき母の声あかんぼ泣いても蓋をとるなと さらら
土鍋でご飯を炊いているときは、たとえ赤子が泣いて居ようと噴く泡をなくすために蓋をとると炊きあがりが不味くなるからという古いことわざが近江に、あるいは近江米の炊き方にあるのだろう。
Re: 3/19 題詠「二十歳」・鑑賞&批評「あかんぼ」
Re: 3/19 題詠「二十歳」・鑑賞&批評「あかんぼ」
投稿日 | : 2020/03/19(Thu) 07:46 |
投稿者 | : 蔦の道 |
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鑑賞詠草 あかんぼ
1. 「もうあかんぼくは!君だけ逃げてくれ」叫んだときにはっと眼が覚む たかし
関西なので、「あかん」をきっと使うだろうと思いました。
騎士道精神の発露に使われましたな。
2. いろいろな彩を仕込んでかき混ぜていいとこ取りのあかんぼが欲し 蔦の道
3. 夢心地覚まさなあかんぼんやりと流れる雲を眺めたりして ひさお
プロポーズしてウイと言われての夢心地かもしれない。
宝くじが当たって夢心地かもしれん。
男性の心理が女性と違って面白いと思った。
なかなか現実に降りてこない。戻れない男性心理が少年の様に可愛い。
4. あかんぼの弟背に仰け反(のけぞ)りぬ歌い尽きたりあやし果てたり ひらら
背・・せなと解釈。
子守女ではなくとも、昔は小さなお姉ちゃんの背中にあかんぼうが背負われているのはざらでした。あかんぼうを背負いながら石けりをしてかくれんぼをして。
日が沈むまで遊びました。懐かしい。
下の句で良く言葉を選んで工夫している。
リフレインの弾みが楽しい。
5. あかんぼのこの世に生まれし瞬間を暗き廊下でただひとり待つ ひろゆき
今は出産の立ち合いで、妻の手を握ってはげますお父ちゃんがざらです。
妻のいきみに同調して、真っ赤になった挙句失神したり・・。
昔は、産室の外でひっそりと待っていたのですね。
父親になるドラマがよく描かれていると思う。
6. 枝を跳び瓦を走る猿の背に決して落ちないあかんぼがいた フミコ
動物の親子の絆は強固なんだなあと思います。背中にしがみ付いているだけで振り落とされない一体感。人間には無理だなあ。
落としたり置き去りにしたり果ては殺しちゃうんだから。
7. 大好きな歌手の新譜のジャケットになめくじのあかんぼがいて薄目で見てる ゆき
薄目って・・オカルトっぽい怖さです。
見てる・・「見ている」と正しく表記したいが人それぞれの好みの問題なのかな?・・ちまたの「ら抜き言葉」にも抵抗がある。
8. これやこの甲斐の日暮れの桃の花 あかんぼおーつとうるんでしまふ ウプラ
こちらも「あかん」を使いこなしている。
「あかん」は、なんと便利な言葉でしょうね。
9. 「みずかがみ」土鍋で炊くとき母の声あかんぼ泣いても蓋をとるなと さらら
滋賀のお米の「みずかがみ」美しい命名だなあ。お米も瑞々しく美味しそうと想像が出来ます。「赤子泣くとも蓋取るな」は、火で焚いていたころの呪文でしたね。最後の「と」は説明っぽくなります。
「とるなよ」と、命令形にしたらどうかしら?
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これをもって、わたくしの担当義務を果たしました。
いろいろと有難うございました。
皆様ご機嫌よぅ。
Re: 3/19 題詠「二十歳」・鑑賞&批評「あかんぼ」