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2021.12.23(木)題詠「新生」 鑑賞&批評「落葉」
投稿日 | : 2021/12/17(Fri) 11:02 |
投稿者 | : ウプラ |
参照先 | : |
2021.12.23(木)
題詠 「新生」
鑑賞&批評 「落葉」
出題当番 ひららさん
1. 一夜にて銀杏の落ち葉はどつさりと歩道にたまる 景色変はりたり ひさお
2. 振り向くにひとの気配なく乾反りいる朴落葉ひとつ足元にあり ひらら
3. 硬柔を臨機に分けし管理部長自ら言うな濡れ落葉などと フミコ
(高島市民病院)
4. 鳥へ鳥落葉へ落葉風へ風 見えぬわたしとしばらくゐたい ウプラ
5. 散り残る銀杏は小人の三角帽子金に光りつ落ち葉のうえに さらら
6. ガサゴソと森の落葉を踏みてゆくジングルベルの歌口ずさみ たかし
Re: 2021.12.23(木)題詠「新生」 鑑賞&批評「落葉」
Re: 2021.12.23(木)題詠「新生」 鑑賞&批評「落葉」
投稿日 | : 2021/12/23(Thu) 10:10 |
投稿者 | : ひさお |
参照先 | : |
1. 一夜にて銀杏の落ち葉はどつさりと歩道にたまる 景色変はりたり ひさお
2. 振り向くにひとの気配なく乾反りいる朴落葉ひとつ足元にあり ひらら
人通りの少ない静かな道を一人で歩いている光景が目に浮かぶ。
足元でかさっという音がした。後ろにだれかが来たように思い、
振り向いたが誰もいなかった。朴の干からびて反り返った落ち葉があるだけ。
3. 硬柔を臨機に分けし管理部長自ら言うな濡れ落葉などと フミコ
(高島市民病院)
管理部長は定年に近い年齢であろうか。親しい作者と会話していると、つい
自分はぬれ落ち葉だと卑下される。立派な方なので、そんなことを言わないように
してほしい。「硬軟を臨機に分けし」とは、業務は厳しくしっかりやるが、人情味の
あるやさしい人のこと。「わけし」と過去形になっているのは問題。「分くる」、「分ける」ではないか。
4. 鳥へ鳥落葉へ落葉風へ風 見えぬわたしとしばらくゐたい ウプラ
鳥には鳥が寄り添い、落葉には落ち葉が、風には風が寄り添って、この世に孤独なものはない。
私には姿は見えないが心の中に心象風景としての自分が存在する。その心の中の自分と
しばらく対話をしながら寂しい心を癒したい。それができるから私も孤独ではない。
5. 散り残る銀杏は小人の三角帽子金に光りつ落ち葉のうえに さらら
「散り残る銀杏」は、もう少なくなったがまだ散らないで木に残っている銀杏の葉
ではなく、散ってしまったが、まだその場に残っている銀杏の葉であろう。
ただこの解釈はちょっと苦しい。
それを小人の三角帽子と表現した。たいへんメルフェンチックな表現である。
「金に光りつ」は、散り残っている銀杏の葉つまり三角帽子が金色に光った。
「落葉の上に」とは、銀杏の葉がほかの落ち葉の上に乗っていることを示す。
6. ガサゴソと森の落葉を踏みてゆくジングルベルの歌口ずさみ たかし
森の中を一人でゆったりした気持ちで歩いている。わりあい平坦なところで、比較的頻繁に
出入りしている森のように思われる。クリスマスの近いころのようだ。
Re: 2021.12.23(木)題詠「新生」 鑑賞&批評「落葉」
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