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2021.07.22(木)題詠「花火」 鑑賞&批評「電子辞書」
投稿日 | : 2021/07/16(Fri) 10:25 |
投稿者 | : ウプラ |
参照先 | : |
2021.07.22(木)
題詠 「花火」
鑑賞&批評 「電子辞書」
出題当番 たかしさん
1.子の学資と和裁に励みし母の机に電子辞書なく分厚き辞典 さらら
2.完璧なる電子辞書出るを待つうちにスマホの検索で足りると悟る たかし
3.歌会に電子辞書引き草花の図を速やかに見せてくれるなり ひさお
4.伴侶なる電子辞書を忘れし会心強き君(きみ)スマホのアプリ ひらら
5.祝詞書く夫に贈りし電子辞書机上右角新しきまんま フミコ
6.魯迅(ルーシュン)を読み終はりたる電子辞書に眼映れり微熱をもてり ウプラ
Re: 2021.07.22(木)題詠「花火」 鑑賞&批評「電子辞書」
投稿日 | : 2021/07/23(Fri) 23:22 |
投稿者 | : ウプラ |
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こんばんは。
皆さん、ご批評ありがとうございました。
魯迅はひょんなことから興味をもって、最近になって読み始めました。実際読んだのは本でしたが、『阿Q正伝』と『狂人日記』は使っている電子辞書にも入っています。
読んでみると、苦しいように人間臭くて熱っぽい。ほとんど身体にくる感じで、引き込まれます。そんな感じを歌にしてみました。
ルー・シュンは中国語読みだと思います。響きが美しいですね。『村芝居』という短編(これがとてもいいのです)には「シュンちゃん」と呼ばれている箇所もあります(竹内 好 訳)。
難解ということは全くありません。
仕事が忙しくて、思うように読書の時間を取れなかったので、今は読みたいものが沢山あります。若い頃より理解できることが多いような気がします。でもすぐに忘れてしまうのね、とほほ。
Re: 2021.07.22(木)題詠「花火」 鑑賞&批評「電子辞書」
投稿日 | : 2021/07/22(Thu) 23:42 |
投稿者 | : ひらら |
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1.子の学資と和裁に励みし母の机に電子辞書なく分厚き辞典 さらら
歌詠みのお母様。辞書を傍らに何時も和裁ひ励んでられた。電子辞書のない時代の 分厚い辞書を作者も何時もみながら成長されたのでしよう。子らへの学資のためと働きと歌詠みとを両立されていた姿は忘れることの無い作者でしょう。
2.完璧なる電子辞書出るを待つうちにスマホの検索で足りると悟る たかし
電子辞書には調べたい事の殆どが網羅されているがそれ以上の調べ物がスマホで間に合う。に 気付いた作者。うーんと悟ったのである。
3.歌会に電子辞書引き草花の図を速やかに見せてくれるなり ひさお
電子辞書は言葉の辞書 字引のみならず百科事典 植物図鑑まで役立つ。何時もに何にでもさっと役立ってくれる。
寂しいときの慰めにいい。
4.伴侶なる電子辞書を忘れし会心強き君(きみ)スマホのアプリ ひらら
5.祝詞書く夫に贈りし電子辞書机上右角新しきまんま フミコ
ご主人にプレゼントした電子辞書が新しいままつかわれずそのままにある。「机上右角」の具体がぐっとくる。
「祝詞」は のりと 神様にいのる言葉と、祝辞 お祝いの意を述べることば。の 二通りの意味がある。「のりと」は神職のご主人様はプロの言葉。「祝辞」のために贈られたのかしらと思ったりしました。「まんま」の撥音便か作者の胸の内をちらと垣間見るようです。
6.魯迅(ルーシュン)を読み終はりたる電子辞書に眼映れり微熱をもてり ウプラ
難解な魯迅(ルーシュン)を電子辞書と引き合わせながら読み上げた作者。電子辞書の画面に潤むような眼がねつをもつように映っている。4.5句の描写が巧みです。
Re: 2021.07.22(木)題詠「花火」 鑑賞&批評「電子辞書」
Re: 2021.07.22(木)題詠「花火」 鑑賞&批評「電子辞書」
Re: 2021.07.22(木)題詠「花火」 鑑賞&批評「電子辞書」
Re: 2021.07.22(木)題詠「花火」 鑑賞&批評「電子辞書」
投稿日 | : 2021/07/22(Thu) 21:03 |
投稿者 | : ウプラ |
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1.子の学資と和裁に励みし母の机に電子辞書なく分厚き辞典 さらら
沢山の辞書が入っている電子辞書は小さくて大変便利だが、昔辞書といえば分厚くて重いものだと決まっていた。ぶ厚い辞書の置いてあった机、そんな風景の記憶に母をしのぶ。
2.完璧なる電子辞書出るを待つうちにスマホの検索で足りると悟る たかし
電子辞書を買おうと詳細を調べてみたが、この機能があればあの機能がない、あの機能があればその機能がないと一長一短。自分の望む完璧バージョンの発売を待ち、ずっと買うのを控えていたが、最近になりスマホの検索でこと足りると理解するに至った。
「悟る」には、ただ「気づく」とは少し異なる納得感がある。それまでの迷いの時間が「悟る」を引き出したのだろう。自然で説得力のある「悟る」だと思った。
スマホの情報量、すごいですね。
3.歌会に電子辞書引き草花の図を速やかに見せてくれるなり ひさお
歌会のときに、知らない草花の図をさっと電子辞書で見せてくれる人、その速やかさに心を動かされている。「くれるなり」の「なり」は断定の助動詞。「くれる」と感じる作者の心の在り方に強く焦点が当たる。
4.伴侶なる電子辞書を忘れし会心強き君(きみ)スマホのアプリ ひらら
歌会にいつも持って行く電子辞書を忘れたが、スマホの辞書アプリが役に立って全く困らなかった。心強き君、スマホの辞書アプリよ。というところでしょうか。
伴侶の電子辞書にとって、スマホは新しく現れた強力なライバルになりそう。
5.祝詞書く夫に贈りし電子辞書机上右角新しきまんま フミコ
最後の「まんま」に、不満とも言えない不満、寂しさとも言えない寂しさ、風が頭をはたくような「お馬鹿さん」「勉強せえ」という雰囲気をのせた。「まま」と「まんま」では歌の雰囲気が変わる。その言葉選びが丁寧だと思った。
使われれば嬉しいのだが、使われなくてもいいのである。水を飲ませることはできない。
「机上右角」の硬質さと「まんま」の柔らかさの対照も歯切れが良い。
6.魯迅(ルーシュン)を読み終はりたる電子辞書に眼映れり微熱をもてり ウプラ
Re: 2021.07.22(木)題詠「花火」 鑑賞&批評「電子辞書」
投稿日 | : 2021/07/22(Thu) 19:24 |
投稿者 | : たかし |
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鑑賞&批評 「電子辞書」
1.子の学資と和裁に励みし母の机に電子辞書なく分厚き辞典 さらら
作者のお母さんが子育てに学資を稼いでおられたころは、今から50年以上前で、その頃には電子辞書はなく、机の上には分厚い辞書が置かれていた。
作者のお母さん(鵜飼寿恵さん)は古くからの好日の歌人で、歌作りに辞書を常に利用されていたのだ。それを幼かった作者は目にしていた…。
ひさおさんが書いているが「学資にと」がいいと思う。
2.完璧なる電子辞書出るを待つうちにスマホの検索で足りると悟る たかし
3.歌会に電子辞書引き草花の図を速やかに見せてくれるなり ひさお
電子辞書を常に傍に置き利用している作者なので「速やかに」調べものが出来るのだ。
「草花の図」で、この速やかに見せてくれる人を想像した。
4.伴侶なる電子辞書を忘れし会心強き君(きみ)スマホのアプリ ひらら
調べものに常時利用しているので作者にとっては「伴侶」のような存在の電子辞書。しかし、今日は忘れてきた。
そのとき「君」がスマホで調べものを代わりにしてくれた…
「スマホのアプリ」とあるが「アプリ」が必要かどうかと思った。
5.祝詞書く夫に贈りし電子辞書机上右角新しきまんま フミコ
どうも使われていないようだ。一度も・・・
「机上右角」が状況を語っていて、とてもいい。面白い。
6.魯迅(ルーシュン)を読み終はりたる電子辞書に眼映れり微熱をもてり ウプラ
電子辞書で魯迅(の小説)を読んだ。
読み終わって、現実の世界に戻って、画面を見ると自分の眼が映っている。
小説の世界に没頭していたのが、現実の世界に戻った感じを「眼映れり」としたとおもぅ。
魯迅は私も好きな作家です。
今の共産党一党独裁の中国でも魯迅は敬されているようだということを最近知りました。
Re: 2021.07.22(木)題詠「花火」 鑑賞&批評「電子辞書」
投稿日 | : 2021/07/22(Thu) 14:42 |
投稿者 | : フミコ |
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鑑賞&批評 「電子辞書」
1.子の学資と和裁に励みし母の机に電子辞書なく分厚き辞典 さらら
この歌の「和裁に励みし母」は作者の母上か作者自身か、どちらとも言えますね。
今や和裁は特技中の特技となっている。
作者がその技を生かして奮闘された時代もその能力は引っ張りだこだったと思います。
分厚き辞典は別の能力の高さも物語っていて、座右の友としてきっと心強い存在だったことでしょう。
2.完璧なる電子辞書出るを待つうちにスマホの検索で足りると悟る たかし
日進月歩はIDの時代にますます加速を見せて、店舗には行く度に新型というのが並んでいて目移りがする。
それを見込んで購入する時期を睨んでいる間に「なぁんだ、スマホが働いてくれるじゃないかと。
何かにつけてありますね、こういう事。
3.歌会に電子辞書引き草花の図を速やかに見せてくれるなり ひさお
いらっしゃいますね、こういう方。
ありがたいことです。
そのスピードに生き甲斐を感じておられるのかと思う程です
4.伴侶なる電子辞書を忘れし会心強き君(きみ)スマホのアプリ ひらら
「心強き君」とはスマホのアプリそのものですね。
全く同感です。
5.祝詞書く夫に贈りし電子辞書机上右角新しきまんま フミコ
6.魯迅(ルーシュン)を読み終はりたる電子辞書に眼映れり微熱をもてり
ウプラ
中国の近現代史を考えるうえでなくてはならない偉人の一人として中国では今でも高い人気を誇っていると言われている魯迅。
魯迅ゆかりの内山書店が東京に、魯迅の子孫によって開かれたというニュースを読んだ気がします。
下の句に作者の受けた読後の興奮や衝撃が投影されている感が溢れていると感じました。
Re: 2021.07.22(木)題詠「花火」 鑑賞&批評「電子辞書」
投稿日 | : 2021/07/22(Thu) 10:47 |
投稿者 | : さらら |
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1.子の学資と和裁に励みし母の机に電子辞書なく分厚き辞典 さらら
2.完璧なる電子辞書出るを待つうちにスマホの検索で足りると悟る たかし
年々新しい電子辞書が出るのでまだまだと待つている間に不要に スマホがすべての事に応えてくれる。実に重宝なもの いつもそばにないと不自由で落ち着かない。
3.歌会に電子辞書引き草花の図を速やかに見せてくれるなり ひさお
大きな辞典がすっぽり入る電子辞書 花の写真も音楽も流れるこんなすごいものを人間は創る何でも教えてくれるので有難い。
4.伴侶なる電子辞書を忘れし会心強き君(きみ)スマホのアプリ ひらら
擬人化で伴侶 心強き君と日常にひと時も離れられない貴重な存在を歌にされた。
5.祝詞書く夫に贈りし電子辞書机上右角新しきまんま フミコ
身に余る辞書 結局己の甲斐性の丈で用をなすのが常である我々の日常をとらえた。
6.魯迅(ルーシュン)を読み終はりたる電子辞書に眼映れり微熱をもてり ウプラ
電子辞書を傍らに難解なルーシュンを読破された。結句が最高 読破の作者の興奮冷めやらぬ状態の具体がいいですね。
Re: 2021.07.22(木)題詠「花火」 鑑賞&批評「電子辞書」
Re: 2021.07.22(木)題詠「花火」 鑑賞&批評「電子辞書」
Re: 2021.07.22(木)題詠「花火」 鑑賞&批評「電子辞書」
投稿日 | : 2021/07/22(Thu) 10:14 |
投稿者 | : ひさお |
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1.子の学資と和裁に励みし母の机に電子辞書なく分厚き辞典 さらら
お母さんの時代はまだ電子辞書は一般に普及していなかったのだろう。
「分厚き辞典」をいつも活用されていたのだ。
「子の学資と」は「子の学資にと」ではないか。
2.完璧なる電子辞書出るを待つうちにスマホの検索で足りると悟る たかし
スマホをすばやく操作できる人にとって、電子辞書は不要であろうと思う。
「完璧なる電子辞書」とはいかなるものだろうか。
電子辞書も開発された当初は頼りないものであったのだろう。そのうちに改良される
であろうと、作者は先を読んでいたのである。
3.歌会に電子辞書引き草花の図を速やかに見せてくれるなり ひさお
4.伴侶なる電子辞書を忘れし会心強き君(きみ)スマホのアプリ ひらら
作者はいつの歌会にも電子辞書を携えているが、あるとき忘れたこと
があった。そのとき、スマホで調べてくれた人がいて助けられた。
3句切れで4句以下との繋がりに問題があるように思う。
「歌会に伴侶の電子辞書忘る」ではどうであろうか。ここできれても、以下の繋がりに
問題はない。
「スマホのアプリ」というのも違和感のある表現だ。
「スマホの操作」とか「スマホの検索」などではどうであろうか。
5.祝詞書く夫に贈りし電子辞書机上右角新しきまんま フミコ
のりとを書かれる夫には辞書は必要ないみたいですね。
作者の思いやりをありがたいと思っておられるので、電子辞書は
いつもの机上右上角にきちんと置かれている。具体的な場所が効いている。
6.魯迅(ルーシュン)を読み終はりたる電子辞書に眼映れり微熱をもてり ウプラ
電子辞書で魯迅のことを調べた。説明文を読み終えると、自分の眼が電子辞書に
映っていて熱っぽくなっている。Lu Xunをルーシュンと読むのですか。
作者は魯迅のファンに違いない。
Re: 2021.07.22(木)題詠「花火」 鑑賞&批評「電子辞書」
Re: 2021.07.22(木)題詠「花火」 鑑賞&批評「電子辞書」
投稿日 | : 2021/07/22(Thu) 09:07 |
投稿者 | : フミコ |
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気の合わぬ姑の好みし手花火の落葉松落葉松そのまま古りぬ フミコ
(線香花火の爆ぜる様から落葉松を連想し、昔からそう呼ばれている)
Re: 2021.07.22(木)題詠「花火」 鑑賞&批評「電子辞書」