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2021.10.21(木)題詠「一貫」 鑑賞&批評「灰」
投稿日 | : 2021/10/15(Fri) 10:38 |
投稿者 | : ウプラ |
参照先 | : |
2021.10.21(木)
題詠 「一貫」
鑑賞&批評 「灰」
出題当番 ひららさん
1.灰となりしわれを撒く場所、赤坂山、武奈ヶ岳、裏の栗の木のした たかし
2.挙げるなら小さな罪は限りなし灰色の身を労りてをり ひさお
3.個性なり灰汁もよきかな諭されぬ傷痕のごとし時折疼く ひらら
(灰汁ーあく)
4.御札灰五メートル上げどんど焼き近接団地は御利益まみれ フミコ
5.灰色のあの町この町みな暮れて しまつた ぬかるみに足を突っ込む ウプラ
6.鮫皮の軍靴履きて無残な死哀号の叔父の灰色半生 さらら
Re: 2021.10.21(木)題詠「一貫」 鑑賞&批評「灰」
投稿日 | : 2021/10/22(Fri) 09:22 |
投稿者 | : たかし |
参照先 | : |
1.灰となりしわれを撒く場所、赤坂山、武奈ヶ岳、裏の栗の木のした たかし
私はけっこう冷淡な批評をしてしまって申し訳なく思っておりますが、
みなさんからは私の歌に温かい批評をいただきました。ありがとうございます。
自分が死んで火葬場で焼いてもらうと灰と骨になりますが、
その灰を(骨を砕いてもいい)好きな山の上に撒いて欲しい・・・という気持は以前から持っていました。
この頃は、切実にそう思っており、なにか紙に書いて残して置かねば…と思ってもいます。
赤坂山は、子供の頃からよく登った大好きな山。
武奈ヶ岳は、大人になってから一番気に入ってよく登った山。
そして今住んでいる家の裏手に私が植えた栗の木の辺りにも撒いて・と。
まあ、欲張らずに三カ所くらいでいいかな、と思っています。
高倉健の映画で、船で沖へ出て、妻(田中裕子)の遺灰を海に撒く、というのがありましたが、
私は山家の育ちなので、やっぱり、秋には団栗の実や、枯葉がかさこそと落ち、春には緑の芽が吹いてくる山がよいなあと。
Re: 2021.10.21(木)題詠「一貫」 鑑賞&批評「灰」
投稿日 | : 2021/10/22(Fri) 01:27 |
投稿者 | : ウプラ |
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皆さん、ありがとうございました。「しまつた」だけの歌でございました。
「灰色に」のつもりでしたが「灰色の」になってしまっている。
推敲する前の案を間違えて貼り付けた???のだろうか。わからないけど、そうとしか考えられない。
私はいつもホントに素直に歌をつくるのですが、そのようにみえないらしい。
かなり変人なのかもしれないと最近思い始めました。もう遅い
Re: 2021.10.21(木)題詠「一貫」 鑑賞&批評「灰」
投稿日 | : 2021/10/21(Thu) 22:52 |
投稿者 | : たかし |
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鑑賞&批評 「灰」
1.灰となりしわれを撒く場所、赤坂山、武奈ヶ岳、裏の栗の木のした たかし
2.挙げるなら小さな罪は限りなし灰色の身を労りてをり ひさお
罪を犯したので白でなく黒である。
しかしその罪が、世の中の常識から見て、犯罪と呼べるほどのものでなく、ごくごく小さい罪である。
作者自身が、自分は罪を犯したと感じているだけの、小さな罪。
だから「黒」とせず「灰色の」としている。ここが先ずなかなかいい。
そしてそういう灰色の身であるが、自分の身であれば労らねばならない。
「挙げるなら」から入ってゆくところ、自然である。
3.個性なり灰汁もよきかな諭されぬ傷痕のごとし時折疼く ひらら
(灰汁ーあく)
この歌、上句→下句という順で読むと、諭されたことで「傷ついた」みたいに感じられる。
もしかすると「灰汁が強い」などと言われて傷ついたことがあった作者だが、
「灰汁も個性で大事だよ」と、誰かに諭されて、その傷は癒された・・・ということではないのか・・・などと思いました。
4.御札灰五メートル上げどんど焼き近接団地は御利益まみれ フミコ
神社なので、人々の祈りのこもった尊いお札が大量にある。
それをどんど焼きに焼く。灰が5メートルも上がる。
近接団地は、その煙に(御利益に)まみれるのである。
素晴らしい。
5.灰色のあの町この町みな暮れて しまつた ぬかるみに足を突っ込む ウプラ
ぬかるみに足を突っ込んだのは、日が暮れて暗くて、まわりが見えなかったから・・・と読んだ。
「灰色のあの町この町」だが、この町は憂鬱そうな町である。
「灰色にあの町この町」だと、日が暮れたから・・となるが、
そんなに素直な歌い方はしない作者であると思いつつ。
6.鮫皮の軍靴履きて無残な死哀号の叔父の灰色半生 さらら
軍靴を履いて亡くなられたのだから戦死された叔父さんが居る。
その軍靴は鮫の皮で出来ていた。
私は鮫皮と聞くとお洒落なものに思った。
しかし軍靴というのは過酷な使用に耐えるべきものなので、本当に鮫皮の軍靴があったのか、とも思った。歌に詠われているのであったのだと思うが、
また「哀号」というと朝鮮語で悲しみに泣き叫ぶ意味の言葉。
叔父さんは朝鮮で戦死されたのか。
または、この叔父さんは子供の作者に向って、
自分が朝鮮半島へ行って覚えた言葉「哀号」を、口癖のように言っていたので、
作者はこの叔父さんのことは「哀号の叔父さん」と呼んでいたのか。
その叔父さんの半生は灰色のものであったという。
「無惨な」というので、作者はどういう風に亡くなられたのかを知っていたのだと思う。
また「哀号の」を私の思いだけでコメントしたが、作者は別の意味でもってこの言葉を使ったのかも知れない。
この歌の本当のところは読みきれなかった。
Re: 2021.10.21(木)題詠「一貫」 鑑賞&批評「灰」
投稿日 | : 2021/10/21(Thu) 21:50 |
投稿者 | : ひらら |
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1.灰となりしわれを撒く場所、赤坂山、武奈ヶ岳、裏の栗の木のした たかし
死後、自分の遺灰を撒く場所を名山の赤坂山、武奈ヶ岳など思い巡らせる日々。そしてやはり 家の裏の栗の木の下にこころが決まる。ここが一番思いがやすらぎそう。栗の木は日常よくお世話されている。
2.挙げるなら小さな罪は限りなし灰色の身を労りてをり ひさお
高齢になり来し方をふりかえつてみると 上の句の通り限りなしである。が、これからの行く末はそれを労りながら過ごしていくという。人生訓のように読めるが 歌として佳作と思います。
3.個性なり灰汁もよきかな諭されぬ傷痕のごとし時折疼く ひらら
(灰汁ーあく)
4.御札灰五メートル上げどんど焼き近接団地は御利益まみれ フミコ
日吉神社 恒例のどんど焼き。近所の団地に灰の舞い落ちるのを気にしてられるが これはご利益いっぱいの灰なのですよと語りかけてられる。恐縮と思いつつ 神社の神様が団地よりいにしえから鎮座されてますもの。
5.灰色のあの町この町みな暮れて しまつた ぬかるみに足を突っ込む ウプラ
あの町この町 おもわずハミングしている。灰色の町 は 薄暗い それとも町の雰囲気 様子かしら。しまった よりの下句 笑ってしまった こういうことあるある。リアル。
6.鮫皮の軍靴履きて無残な死哀号の叔父の灰色半生 さらら
戦死された叔父上への歌。
戦地では靴も無く代用品の鮫皮の軍靴で戦い無惨な亡くなり方をされた。叔父上の半生は灰色であった。
哀号 人の死を悲しみ悼み大声で泣き叫ぶこと。朝鮮のお葬式の様子を 子どもの頃7.8歳迄に聞いたことがあり作者の叔父上の死とが重ならなくむつかしいです。
Re: 2021.10.21(木)題詠「一貫」 鑑賞&批評「灰」
投稿日 | : 2021/10/21(Thu) 21:47 |
投稿者 | : さらら |
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1.灰となりしわれを撒く場所、赤坂山、武奈ヶ岳、裏の栗の木のした たかし
いま生かされている我々は誰もが寿命が来たら灰となる。撒く場所を思案するが一体どこに撒かれるのだろうか?
2.挙げるなら小さな罪は限りなし灰色の身を労りてをり ひさお
長く生きるほど罪は加算されていく 忘却のお陰で身軽く日々老いていく灰色に 彩り褪せていく身体を愛しく丁寧に生きている。
3.個性なり灰汁もよきかな諭されぬ傷痕のごとし時折疼く ひらら
(灰汁ーあく)
着物の染色 また人の性質や文章に感じる強すぎるなじみにくい癖や個性の灰汁もよろしいと教えられたが傷痕のごと深く胸底にうずくという。
4.御札灰五メートル上げどんど焼き近接団地は御利益まみれ フミコ
御札の数多のどんど焼きに巡りの団地は御利益に満ち溢れているようです。
5.灰色のあの町この町みな暮れて しまつた ぬかるみに足を突っ込む ウプラ
サンセットの薄暗くなった街を歩いている 道のようすがはっきりせず ぬかるみに足をとられしまった あれ〜大失敗。
6.鮫皮の軍靴履きて無残な死哀号の叔父の灰色半生 さらら
Re: 2021.10.21(木)題詠「一貫」 鑑賞&批評「灰」
Re: 2021.10.21(木)題詠「一貫」 鑑賞&批評「灰」
投稿日 | : 2021/10/21(Thu) 20:43 |
投稿者 | : ウプラ |
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1.灰となりしわれを撒く場所、赤坂山、武奈ヶ岳、裏の栗の木のした たかし
生前、悲喜こもごもにその前に立った様子が感じられて「裏の栗の木の下」がいいですね。「赤坂山、武奈ヶ岳」と好きな場所の名をあげて、(それから家の)「裏の栗の木の下」と身を寄せていく感じ。四句八音の揺曳感がまことに好い。
「灰となりしわれを撒く場所」という文語は少し変な気がする。現代語のなら「灰になった私を撒く場所」でいいと思うが、古語の場合ほとんど「おのれ死なむ後にはこの所をば寺を建て給へ」のようになるらしい。そうすると「灰とならむわが撒かれたき赤坂山、武奈ヶ岳、裏の栗の木のした」となるのかしら。
確信がもてないので、どなたか詳しい人に確かめてください。
2.挙げるなら小さな罪は限りなし灰色の身を労りてをり ひさお
「小さな罪は限りなし」・・しみじみ良いなぁと思う。なしてしまった罪、なしたかもしれない罪に目をつぶらないところが信用できる。そんな自分の体は、清廉潔白の白ではなくて「灰色」なのだという。ぐっと来るではないか。
一首がすべて喩でできていて、それでもなお、わかりやすい。
3.個性なり灰汁もよきかな諭されぬ傷痕のごとし時折疼く ひらら
(灰汁ーあく)
人に傷つけられた私の心には、思い出すと今でも疼く傷痕のようなものが残っている。(鬱屈する思いを自分では解決できず)人に相談すると「それはその人の個性というもので、悪意ではなく灰汁なのでしょう。灰汁もまた良いではありませんか」と諭された。
と解釈した。
脛にあまたの疵をもつ?筆者としてはドキッとしてしまった。しかしまあ、本人が気づかないだけで誰にでも灰汁はあるんだけどな、とも思った(スンマセン)。ホントに傷ついたなら「灰汁」ではすまないだろう。
4.御札灰五メートル上げどんど焼き近接団地は御利益まみれ フミコ
家業(といってはバチが当たる・・何といえばいいのだろう)の神社のどんど焼きがよく燃えて、その灰が景気よく5メートルも上がってしまった。近くの団地は灰まみれだ。心苦しい。しかし、やらないわけにはいかないどんど焼き。皆さま、その灰には御利益があるということになっていますからおゆるしくださいませ。まあそうはいってもご迷惑ですよねぇ、とやっぱり心苦しい私なのである。この心理、わかる気がする。
5.灰色のあの町この町みな暮れて しまつた ぬかるみに足を突っ込む ウプラ
6.鮫皮の軍靴履きて無残な死哀号の叔父の灰色半生 さらら
「哀号」・・悲しんで泣くこと。
悲しんで泣くことの多かった叔父の灰色の半生。その半生のまま、兵隊にとられ鮫皮の軍靴を履いて無惨に死んでしまった。
この解釈で良いのだろうか。「哀号の叔父」がうまく理解できない。「叔父の哀号の」なら「半生」にかかっていく。
筆舌に尽くしがたい苦労をされたのだろう、と読んでおこう。
Re: 2021.10.21(木)題詠「一貫」 鑑賞&批評「灰」
投稿日 | : 2021/10/21(Thu) 18:49 |
投稿者 | : フミコ |
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6.鮫皮の軍靴履きて無残な死哀号の叔父の灰色半生 さらら
ウバザメの皮は薬品をかけると牛皮のような硬くてしっかりした弾力を持つらしい。そんな手間暇かけた高級な軍靴を履けるのは多分、将校以上ではないかと推測する。「アイゴー」と言うのは死者を悼み泣く朝鮮の風習。どのような無残な死に見舞われたのかは想像の域を出ないが、中国戦線においてではないか。
さららさん:ごめんなさい
。
今、読み返したら、6番の歌:鑑賞文がコピー・ミスで、抜けていました。気が付かなくて..
Re: 2021.10.21(木)題詠「一貫」 鑑賞&批評「灰」
Re: 2021.10.21(木)題詠「一貫」 鑑賞&批評「灰」
投稿日 | : 2021/10/21(Thu) 13:31 |
投稿者 | : フミコ |
参照先 | : |
1.灰となりしわれを撒く場所、赤坂山、武奈ヶ岳、裏の栗の木のした たかし
作者の望みは樹木葬。
体力気力充実の時間に死後安住の場所をあれこれ空想的模索。
真剣に楽しめる一人の時間。
お茶がおいしい。
2.挙げるなら小さな罪は限りなし灰色の身を労りてをり ひさお
上の句と下の句のニュアンスを微妙に変えて来るあたり、人生も達人の域かも。
生きている限り人は何某かの罪を生み出し続けているのではないかと思う。
時効、忘却、廃棄、うやむやetc…
しみじみと肯ける歌。
3.個性なり灰汁もよきかな諭されぬ傷痕のごとし時折疼く ひらら
(灰汁ーあく)
たしか作者のお舅さんは西陣の染色職人さんだったと読んでいました。
灰汁染めの寂びと枯れたような粋な染めは静かながら強い個性を引き立てる。
諭して下さったのはお舅さんでしょうね。
「時折疼く」…忘れがたい痛い想い出が時折顔をだすのでしょうか。
4.御札灰五メートル上げどんど焼き近接団地は御利益まみれ フミコ
5.灰色のあの町この町みな暮れて しまつた ぬかるみに足を突っ込む ウプラ
上の句は浮かび来る、過ぎ越し人生の断片的絵巻と読みました。
あれこれ茫々と浸っているうちに自分では「思い出すまい」と決めている禁断領域に入りこんでしまった。
初句に「灰色の」とあるので、単純な逢魔が刻の話ではないと思いました。ふと、作者の立ち位置が気になりました。あの町、この街の日暮れが見渡せるところ、高い山とかこころの中とか。
Re: 2021.10.21(木)題詠「一貫」 鑑賞&批評「灰」
投稿日 | : 2021/10/21(Thu) 13:29 |
投稿者 | : ひさお |
参照先 | : |
1.灰となりしわれを撒く場所、赤坂山、武奈ヶ岳、裏の栗の木のした たかし
赤坂山は、滋賀県高島市と福井県三方郡美浜町の境界にある山である。 関西百名山の一つであり、「花の山」として多くの登山客が訪れる...-Wikipedia
標高823.8m 花の山と言われている。(ツツジ、スミレ、カタクリなどが自生)
比良山の最高峰武奈ケ岳の標高は1214m。
それらの山には栗の木があるようだ。散骨の許可を得ているのかどうか。
ともかく美しい、静かな山中に遺灰を撒いてもらいたいという望みは理解できる。
栗の木には作者の特別の拘りがあるようだ。
2.挙げるなら小さな罪は限りなし灰色の身を労りてをり ひさお
3.個性なり灰汁もよきかな諭されぬ傷痕のごとし時折疼く ひらら
(灰汁ーあく)
灰汁:人の性質や文章などに感じられる、強すぎてなじみにくい癖や個性
諭す:言い聞かせて納得させる。おしえみちびく。
作者は自分の個性の強さを肯定し、いやではないと思っているが、ときどき
これではまずいと落ち込むような感じになることがある。
「諭されぬ傷痕」:これまで人から言い聞かせてもらったことへの反発が
心にわだかまりとなっているということだろうか。分かり難い。
4.御札灰五メートル上げどんど焼き近接団地は御利益まみれ フミコ
正月の神社でのどんど焼き。1月15(小正月)に古いお札、門松、しめ縄など
を燃やす。書初めを燃やして書道の上達を願うということもある。この灰を家
の周囲に撒くと魔除けになると言われている。
作者のところでは今でも賑やかにどんど焼きをやっているようだ。
近接団地の住人はあまり関与していないだろう。しかし高く舞い上がった灰
が団地にも多く飛んでゆくので、「御利益まみれ」とおどけてみせた。
5.灰色のあの町この町みな暮れて しまつた ぬかるみに足を突っ込む ウプラ
「しまった」に工夫が見られる。暮れてしまった。ぬかるみに足を突っ込みしまった
とくやしがっている。
童謡のようでおもしろい作品だが、「灰」には苦労した作品のようだ。
6.鮫皮の軍靴履きて無残な死哀号の叔父の灰色半生 さらら
軍靴は牛革で作られるのが一般的である。、ネットで調べたところ日本では
物資不足で1942年ごろからさめの皮で軍靴を作った。これは水をよく通し、
戦場では滑ったらしい。
作者の叔父さんはそのさめ皮の軍靴を履いて戦死されたようだ。若くして
戦死。まさに灰色の人生だった。親族の嘆き・悲しみは察するにあまりある。
Re: 2021.10.21(木)題詠「一貫」 鑑賞&批評「灰」
Re: 2021.10.21(木)題詠「一貫」 鑑賞&批評「灰」
Re: 2021.10.21(木)題詠「一貫」 鑑賞&批評「灰」
Re: 2021.10.21(木)題詠「一貫」 鑑賞&批評「灰」