題詠　　 「格安」　 　　　　　　　　　 　 　　　　　　　　
観賞　　　「春」　 　
出題 　　　ひさおさん　　　　　　

鑑賞　「春」

1. 思春期の象徴と思ひしにきび面近頃とんと見なくなりたり　　ひさお

2. 受話器の奥に春雷長浜の盆梅展へ友は誘える 　　ひらら

3. 老い父の【御杖代】(みつえしろ)たらんと娘の発起六十路の春に免許取得す　　フミコ
　(免許…神官免許・直階)　　

4.　囀づりの金翅雀(ひは)を隠して森は今春満月の下に眠れる 　　ウプラ

5. 舞扇傘に見立てて「春雨」をチントンシャンに足運び初む　　さらら

6. 五年前の立春前に仕込みたる自家製味噌をあさあさ褒める　　たかし

　　　　(2月は全休...WEB歌会定例会のため)

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たかしさん、
(笑)忘れてたって何でわかったのかしら
短歌大会の前任者から引き継いだ出詠者名簿が縦書きのエクセルで、
その名前が時々横になったまま直らないだ！
でも、何とか理解できました。

遅くなってごめんなさい

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ウプラさん、よく忘れずにやってきましたね。ありがとう

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三月は明るいこゑになつてゐる翼のやうな格安チケット

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1. 思春期の象徴と思ひしにきび面近頃とんと見なくなりたり　　ひさお
そういえば、噴きあげるようなにきび面を昔はよく見ました。最近の男の子は眉なんかも整えてきれい。クールでスマートな感じもなかなかです。
「象徴なりしにきび面」で大丈夫と思う。さらっと詠われていて嫌味がない。

2. 受話器の奥に春雷長浜の盆梅展へ友は誘える 　　ひらら
初句４音は個人的には好みですが、枕詞の「さねさし」みたいに問答無用にばしっと決められたらいいですね。そういう意味では「受話器の」はちょっと弱い。「春雷」と「長浜の」の組み合わせはとても魅力的。

3. 老い父の【御杖代】(みつえしろ)たらんと娘の発起六十路の春に免許取得す　　フミコ
　(免許…神官免許・直階)　
【御杖代】という古風な言葉が浮き上がらずに使われていて感嘆。但し書き(免許…神官免許・直階)　はない方がいいように思うがどうだろう。

4.　囀づりの金翅雀(ひは)を隠して森は今春満月の下に眠れる 　　ウプラ

5. 舞扇傘に見立てて「春雨」をチントンシャンに足運び初む　　さらら
「春雨」と「チントンシャン」がいかにもしっとり華やかな日本の春の風情。ちょっとウットリしてしまう。「〈春雨〉の」かなぁ。

6. 五年前の立春前に仕込みたる自家製味噌をあさあさ褒める　　たかし
これはホントに美味しそう。「立春前に」が地味ながら効いていると思う。塩気の角がとれて、胡瓜やエシャレット、葉生姜にも合いますね。ふーふーと息を吹きかけて、幸せそうな朝が目に浮かびます。

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格安の総菜並べる吾の画像に友の返メール願いましては？　さらら

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1. 思春期の象徴と思ひしにきび面近頃とんと見なくなりたり　　ひさお
短歌は驚き　喜び　ため息のどれかに心動かされて作歌する。
にきびの面はなるほど最近お目にかかったことはない驚き発見の歌。
2. 受話器の奥に春雷長浜の盆梅展へ友は誘える 　　ひらら
長浜から歌い始め　受話器の奥に春の雷とされてはどうでしょう。

3. 老い父の【御杖代】(みつえしろ)たらんと娘の発起六十路の春に免許取得す　　フミコ
　(免許…神官免許・直階)　　
人の人生には色々の体験がある。御杖代の語彙は初めて学べこの歌会のお陰様です。

4.　囀づりの金翅雀(ひは)を隠して森は今春満月の下に眠れる 　　ウプラ
一連の歌の中にひときわ目立つ　品格のある春満月に囀りのひはも静かに森に眠らせ存在を消したように静寂なさま。

5. 舞扇傘に見立てて「春雨」をチントンシャンに足運び初む　　さらら

6. 五年前の立春前に仕込みたる自家製味噌をあさあさ褒める　　たかし
自家製のお味噌で夫婦が揃い　朝毎に味噌汁を美味いうまいと言い交す幸せな時間　読者までともに満ち足りた気分となる。

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1. 思春期の象徴と思ひしにきび面近頃とんと見なくなりたり　　ひさお
最近ニキビ面の少年少年いませんね。化粧品、清潔性、栄養状態等関係あるのでしょう。春の題で ニキビ、思春期がおもいうかぶ我々年代を思いました。今の子はニキビでなくアレルギーでこまっているかも？


2. 受話器の奥に春雷長浜の盆梅展へ友は誘える 　　ひらら

3. 老い父の【御杖代】(みつえしろ)たらんと娘の発起六十路の春に免許取得す　　フミコ
　(免許…神官免許・直階)　
　御杖代 ことば初めて知りました。たどたど歌会のおかげです。父上を支えんと60歳にして神職免許をとられたお嬢さま。たいへんなおつとめ、ご活躍頼もしいですね。
おめでとうござます。

4.　囀づりの金翅雀(ひは)を隠して森は今春満月の下に眠れる 　　ウプラ
夜、森、春の満月の夜、ひわ。言葉の構成。読者に届き言葉の奥に景色と物語が広がる。ひわの羽の色、囀ずる声、野鳥図鑑で知りました。

5. 舞扇傘に見立てて「春雨」をチントンシャンに足運び初む　　さらら
舞扇を傘に見立て、春雨を踊っているのは作者。足運びをチントンシャン、舞台の床、一足一足、見えるよう。


6. 五年前の立春前に仕込みたる自家製味噌をあさあさ褒める　　たかし
ご夫婦差し向かいの朝ご飯。ご夫婦二人して五年前仕込んだ手作り味噌。美味しいことでしょう。あさあさ褒める、褒めあっている幸せな景。

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詠草

厄年に聞く寺の格安養寺石段八百喘ぎ詣りし
ひらら
安養寺は立木山安養寺、南郷立木観音のお寺

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鑑賞　「春」
1. 思春期の象徴と思ひしにきび面近頃とんと見なくなりたり　　ひさお
　そう言えばあまり見ない・・・と共感してから、いや待てよ、と思った。
　あまり見ない（ニキビ面を）のは、その年代の人たち（ティーンエージャー）と私が接する機会が少ないためではないか、と思ったからだ。
　数日前、囲碁の仲邑菫女流三段が、棋聖のタイトルを獲得したときのニュースの映像で、顔が大写しになり、そのときにほっぺにニキビの萌芽がありました。
　ああ、そういう時期なんだな、と思った記憶。
　ちょっと横道に逸れましたが・・。

2. 受話器の奥に春雷長浜の盆梅展へ友は誘える 　　ひらら
　作者の友達が盆梅展へ一緒に行かないかと電話で誘った。
　その受話器を通して、向こうで鳴っている春雷の音が聞こえた・・・という歌。
　なかなか詩的な情景です。
　初句「受話器の」が、四音であるところ、ひさおさんも指摘されているが、推敲の余地がありそう。

3. 老い父の【御杖代】(みつえしろ)たらんと娘の発起六十路の春に免許取得す　　フミコ
　(免許…神官免許・直階)　
　「御杖代（みつえしろ）」という言葉があるということをこの歌で知った。
　WEB辞書には「大神・天皇などの御杖となって助けるもの。多く，伊勢神宮の斎宮の称。」とある。
　神官である老いた父の御杖代になろうと、その娘（作者）が一念発起、六十歳の春に神官免許を取得した。
　もうこの事実だけで詩がある。だから事を述べるだけで、叙述的であってもこの歌は成立していると思います。

4.　囀づりの金翅雀(ひは)を隠して森は今春満月の下に眠れる 　　ウプラ
　金翅雀（ひは）は、鶸（かわらひわ）、カナリア、などとある。
　あの黄色いカナリアは森には居ないように思うので、カワラヒワだと思って読む。
　良い声で鳴く。
　その美しい声も隠して、森が眠っている。この歌は森が主役。
　春満月のもとに眠っているのである。美しい光景。さまざまな美しいものを夜の森は隠している・・・。

5. 舞扇傘に見立てて「春雨」をチントンシャンに足運び初む　　さらら
　日本舞踊の練習をしている光景のように思う。
　舞扇を傘に見立てて、春雨という曲に乗って、舞い始める。
　「チントンシャン」が聞こえるような・・・現在進行形。リアルです。

6. 五年前の立春前に仕込みたる自家製味噌をあさあさ褒める　　たかし

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1. 思春期の象徴と思ひしにきび面近頃とんと見なくなりたり　　ひさお
本当に見なくなった。
男性用化粧品の普及もめざましく最近は高校生男子もお肌のお手入れ怠りないようですね。
それに男子の成長の節目の一つがあやふやになったようにも思えます。

2. 受話器の奥に春雷長浜の盆梅展へ友は誘える 　　ひらら
受話器の奥に春雷…素敵なシチュエーション。
何か起こりそうな予感。春の前触れ。
私も一度ですが長浜の盆梅展に行きました。
途方もない時間の蓄積と植物の持つ可能性、温かみが漂う空間に暫し時を忘れたものです。

3. 老い父の御杖代(みつえしろ)たらんと娘は発起六十路の春に免許取得す　　フミコ
　(免許…神主免許・直階)　　

4.　囀づりの金翅雀(ひは)を隠して森は今春満月の下に眠れる 　　ウプラ
　ふと、ブルーシャトウのメロディが過りました。
それよりももっと神秘的な、冷たいくらい静かな光と色が鶸を包んでいる感じ。
賑やかな囀りとは真逆の無音とも思える深夜の森。ちょっと怖い。

5. 舞扇傘に見立てて「春雨」をチントンシャンに足運び初む　　さらら
　　新年の舞い初め。
　　穏やかななかにもきりっとした雰囲気。
　　映像が浮かびます。
　　
6. 五年前の立春前に仕込みたる自家製味噌をあさあさ褒める　　たかし
何にも勝る芳醇な手前味噌にスタートする毎朝。
奥様の愛も隠し味に。
ご夫婦の長くて深い時間の積み重ねはお味噌の味にもしっかりしみ込んで、毎朝のお味噌汁に舌が確認し、お互いに褒めあう。
夫婦円満間違いなし。

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今週の出題
　　　長所　　　　

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丈夫にて縫製もよしユニクロのTシャツ確かに格安と思ふ　　ひさお

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1. 思春期の象徴と思ひしにきび面近頃とんと見なくなりたり　　ひさお

2. 受話器の奥に春雷長浜の盆梅展へ友は誘える 　　ひらら
友が盆梅展へ行こうと誘いの電話をかけてくれた。その電話に春雷が聞こえてくる。
１句から２句までと、３句から５句までがそれぞれ独立しているように感じる。
１句・２句が変則で不安定に思える。
「春雷が受話器の奥に」ではだめだろうか。５句は「友誘いくれ」としたい。

3. 老い父の【御杖代】(みつえしろ)たらんと娘は発起六十路の春に免許取得す　　フミコ
　(免許…神官免許・直階)　　
老年となった神官の父親の杖代わりとなって支えたいと、６０歳の娘さんが
、一念発起して神官免許を取得した。
父親思いの立派な娘さんだ。「御杖代」という言葉を始めて知った。

4. 囀ずりの金翅雀(ひは)を眠らせ森も今春満月の下に眠れる ウプラ
「囀りの金翅雀」：ひわは雀やムクドリなどよりうるさく囀るのであろうか。
　　　　　　　　この表現を用いたところにこの作品の思い入れがある。
　　　　　　　　群れをなしてすむのでかなり賑やかであろう。
春の満月の今夜森は眠っているが、よく囀るひわもその森の中で静かに眠っているのだ。


5. 舞扇傘に見立てて「春雨」をチントンシャンに足運び初む　　さらら
日本舞踊。舞扇を傘に見立てて「春雨」を踊る。爪音にあわせてまず足を運び始めた。
「チントンシャンに」：チントンシャンという爪音にあわせてと解釈した。

6. 五年前の立春前に仕込みたる自家製味噌をあさあさ褒める　　たかし
五年前に仕込んだ自家製の味噌を使った味噌汁を毎朝いただき、「おいしいおいしい」と褒めている。「あさあさ褒める」がいい。

　　　　(2月は全休...WEB歌会定例会のため)

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格安の「南港⇔上海」直行便　人も転がる時化に遭いたり
（東シナ海）

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格安のフードプロセッサー明日届く夏柑の皮うまく刻むか　　たかし

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