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2023.03.30 (木)題詠「忘」・ 鑑賞「すみれ・菫」
投稿日 : 2023/03/24(Fri) 09:17
投稿者 フミコ
参照先
  
2023.03.30 (木) 題詠「忘 」・鑑賞「すみれ・菫」

 題詠  「忘」
 鑑賞  「すみれ・菫」
 出題   ウプラさん


 鑑賞「すみれ、菫」

1. 暖かい雨に三月暮れてゆく菫のなかの小さな海も  ウプラ

2. 酒蔵に横たう樽が部屋となりままごとの馳走はすみれたんぽぽ  さらら

3. 名の通り匂うか鼻を近づける匂いすみれは椿の根方  たかし

4. 水ぬるみすみれたんぽぽ咲き出せば耐へたる冬は既に遠くに  ひさお

5. 去年(こぞ)咲きし叡山菫の株ありぬ枯れ葉をかぶせ峰道くだる  ひらら

6. 階の石の破れ目に一茎の菫は咲みぬ置かれし場所か  フミコ
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Re: 2023.03.30 (木)題詠「忘」・ 鑑賞「すみれ・菫」
投稿日 : 2023/03/30(Thu) 22:50
投稿者 ひらら
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鑑賞「すみれ、菫」

1. 暖かい雨に三月暮れてゆく菫のなかの小さな海も  ウプラ
 菫の花のなかの水滴〜のなかの小さな海も、ようやくあたたかくなった三月の日が暮れていく。三月、雨からの菫
、小さな海もへの焦点の絞り方、詩がある。

2. 酒蔵に横たう樽が部屋となりままごとの馳走はすみれたんぽぽ  さらら
 作者の幼い頃の思い出のシーンではないかしら。私も近くの造り酒屋の庭でこのように遊んだ思い出がある。ご馳走のすみれたんぽぽに実感がある。

3. 名の通り匂うか鼻を近づける匂いすみれは椿の根方  たかし
 匂い菫は香りがいい。好奇心探求心、大の作者は名前のとおりどんなかなと屈み込んで顔を菫に近付けている。実景だろうが、椿の根方の設定も好ましいと思う。

4. 水ぬるみすみれたんぽぽ咲き出せば耐へたる冬は既に遠くに  ひさお
 耐えたる冬
自然界の野花の菫たんぽぽも人も作者も皆きびしい冬を耐えようやく水のぬるむ春を迎えた。結句にほんわかとするよろこびを感じる。


5. 去年(こぞ)咲きし叡山菫の株ありぬ枯れ葉をかぶせ峰道くだる  ひらら

6. 階の石の破れ目に一茎の菫は咲みぬ置かれし場所か  フミコ
 置かれた場所に咲きなさい の、渡辺和子著の本がテーマのよう。石やコンクリートの破れ目に健気に生えている草や花には、胸に迫るものがあり自身はげまされてきた。菫はこのような所によく咲いている。
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Re: 2023.03.30 (木)題詠「忘」・ 鑑賞「すみれ・菫」
投稿日 : 2023/03/30(Thu) 21:41
投稿者 フミコ
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 鑑賞「すみれ、菫」

1. 暖かい雨に三月暮れてゆく菫のなかの小さな海も  ウプラ
一雨ごとに春は温かさを増し、身も心も緩やかに解放される。
老身にも何とはなしの希望に満たされる季節の訪れ。
下句、身巡りの小さな変化を詩ごころでとらえるとこういう表現になるのか
何度も読み返したくなるけれど、その度に違う感想の言葉が浮んできました。

2. 酒蔵に横たう樽が部屋となりままごとの馳走はすみれたんぽぽ  さらら
大きな作り酒屋さんの庭には今季使われない大きな木の樽がごろんと転がされている風景を今でも目にすることがある。
こどもなら立って出入り出来る高さ(直径)のものもある。
ママゴトなら立派な一戸建て一部屋に見立てられる。
そこでオママゴトをさせてもらえたなんて素晴らしい思い出。
今ではもう、「むかしばなし」の世界でしょうね。

3. 名の通り匂うか鼻を近づける匂いすみれは椿の根方  たかし
好奇心とロマン溢れる若々しい感性で詠まれた歌。
椿は見るけれど椿の根方には目の行かない私などは土に顔を近づけるのも躊躇ったりする。
匂い菫ってどんな匂いがするのでしょうか。
移ろう季節を匂いで体感する…素敵ですね。

4. 水ぬるみすみれたんぽ咲き出せば耐へたる冬は既に遠くに  ひさお
きびしい寒さを野に耐えて、羽を広げるようにスミレやタンポポがいっせいに咲き出した。
始め、この「耐えていた」のはスミレ、タンポポかと思いましたが、いや、これは苦しい時を越えてきた作者の思いをすみれたんぽぽが代弁しているようにも感じました。

5. 去年(こぞ)咲きし叡山菫の株ありぬ枯れ葉をかぶせ峰道くだる  ひらら
作者はトレッキングの趣味をお持ちで毎年比叡山を歩き、去年この辺で見つけた叡山菫の株が今年も元気に育っているのを見つけて愛しさをもつ作者像が浮ぶ。
枯れ葉のおふとんをそっと被せた行為が優しい。

6. 階の石の破れ目に一茎の菫は咲みぬ置かれし場所か  フミコ
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Re: 2023.03.30 (木)題詠「忘」・ 鑑賞「すみれ・菫」
投稿日 : 2023/03/30(Thu) 21:36
投稿者 ウプラ
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「忘れずよまた忘れずよ」夕暮れを千年前のこゑは過ぎたり
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Re: 2023.03.30 (木)題詠「忘」・ 鑑賞「すみれ・菫」
投稿日 : 2023/03/30(Thu) 21:30
投稿者 ウプラ
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次回のお題は
「道路」
でお願いします。
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Re: 2023.03.30 (木)題詠「忘」・ 鑑賞「すみれ・菫」
投稿日 : 2023/03/30(Thu) 21:13
投稿者 ウプラ
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1. 暖かい雨に三月暮れてゆく菫のなかの小さな海も  ウプラ

2. 酒蔵に横たう樽が部屋となりままごとの馳走はすみれたんぽぽ  さらら
造り酒屋の酒蔵に転がっている樽を部屋に見立てて、幼な子がおままごとをして遊んでいる。すみれやたんぽぽが今日のご馳走である。盛り付けた器は瓶の蓋などかもしれないと想像して懐かしさを感じた。作者自身の子供時代の思い出かもしれない。
少しだけ推敲して「樽を部屋として」でいかがでしょうか。

3. 名の通り匂うか鼻を近づける匂いすみれは椿の根方  たかし
その名の通りよい匂いがするかどうか、「匂いすみれ」に鼻をちかづけてみる。それは椿の樹の根元に咲いている。
すでに花の終わった椿だろうが、やはり「椿」の花の存在感を、作者の意図より強く感じてしまった。

4. 水ぬるみすみれたんぽぽ咲き出せば耐へたる冬は既に遠くに  ひさお
「耐へたる冬」を過ごしたのは、すみれたんぽぽなのか、作者なのか、そこに謎があって読者への問いかけがある。
「耐へたる冬は既に遠くに」・・・作者のことと読んだ。心も季節もしみじみと春である。
好きなタイプの歌だが、「出せば」の因果関係が若干気になった。

5. 去年(こぞ)咲きし叡山菫の株ありぬ枯れ葉をかぶせ峰道くだる  ひらら
葉だけを見て「叡山菫」だと判る。冬の寒さで傷まないように、春には花をつけるようにと、枯れ葉をかぶせて峰道(尾根道?)を下った。植物好きの優しい気持ちが伝わる。一首に流れる時間が長いので「去年(こぞ)咲きし」と書かない方法はないだろうか。「冬の陽に」とかなんとか。

6. 階の石の破れ目に一茎の菫は咲みぬ置かれし場所か  フミコ
石の割れ目に一本の菫が咲いている。植物にとって過酷な生育環境ゆえに一層健気である。「置かれし場所か」は『置かれた場所で咲きなさい』という書名から得たものだろうか。「偉いぞ、頑張れよ」というエールが聞こえる。
「石の破れ目に」は「石の破れに」が良いように思う。
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Re: 2023.03.30 (木)題詠「忘」・ 鑑賞「すみれ・菫」
投稿日 : 2023/03/30(Thu) 20:20
投稿者 たかし
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 鑑賞「すみれ、菫」
1. 暖かい雨に三月暮れてゆく菫のなかの小さな海も  ウプラ
 菫の花は近寄って見ると、けっこう青が濃い。花の形状は複雑だ。作者は日頃から菫の花をしっかりよく見ている人。
 「菫のなかの小さな海」という表現が上句とよく合っていて詩情を醸す。最後の「も」がよく効いた。

2. 酒蔵に横たう樽が部屋となりままごとの馳走はすみれたんぽぽ  さらら
 醸造所にあるような空の酒樽は、ままごとの部屋に充分の大きさだろう。
 「ままごとの馳走はすみれたんぽぽ」遠い子供の頃が浮かんでくる。私にも浮かぶ。
 作者の幼い日の実際であろう。実感がある。

3. 名の通り匂うか鼻を近づける匂いすみれは椿の根方  たかし

4. 水ぬるみすみれたんぽぽ咲き出せば耐へたる冬は既に遠くに  ひさお
 すみれやたんぽぽが咲き出すとき、冬は遠く過ぎ去っている。
 その冬を「耐へたる冬は」と詠う。作者のひさおさんもやはり寒い冬の季節は耐えていたことが判る。
 上句は言葉の並び順など、平凡な感じだが、この「耐へたる」が入っていることで歌が締まった。

5. 去年(こぞ)咲きし叡山菫の株ありぬ枯れ葉をかぶせ峰道くだる  ひらら
 何故、作者は枯れ葉をかぶせたか。そこがこの歌を解く鍵。
 季節はおそらく冬であろう。冬の寒さから菫の株を守ってやろうという作者の気持ちが見える。
 「叡山菫」であり「峰道」なので、比叡山と判る。
 「叡山菫」という固有種があるのだろうか。

6. 階の石の破れ目に一茎の菫は咲みぬ置かれし場所か  フミコ
 「咲く」と言わず、「咲(え)みぬ」と言う。また「置かれし場所か」とも言う。
 擬人化して菫を見ている。
 この階(きざはし)は、寺社の石段。その石の破れ目にひと株の菫が生えて小さな花を咲かせている。
「おお、おお、お前はそこに置かれたのかい」と話しかけている。
 「置かれし」・・・生きていく場所を其処と、運命的に定められた…というような見方、考え方である。菫を擬人化して見たことで、人生を達観して生きている作者が見える。
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Re: 2023.03.30 (木)題詠「忘」・ 鑑賞「すみれ・菫」
投稿日 : 2023/03/30(Thu) 20:17
投稿者 さらら
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1. 暖かい雨に三月暮れてゆく菫のなかの小さな海も  ウプラ
三月尽に降る雨は暖かく厳しく寒かった冬を流していく。
すみれに溜まった小さな海は 春の陽気へと移ろっている。

2. 酒蔵に横たう樽が部屋となりままごとの馳走はすみれたんぽぽ  さらら

3. 名の通り匂うか鼻を近づける匂いすみれは椿の根方  たかし
多忙な日常にふと立ち止まり 匂いスミレの香を嗅ぎ対話する歌人

4. 水ぬるみすみれたんぽぽ咲き出せば耐へたる冬は既に遠くに  ひさお
今を共生する万物の動植物 四季の移り変わりの春を迎える。辛苦の寒さは過ぎ去ると 何もなかったように平生にいる不思議さ。

5. 去年(こぞ)咲きし叡山菫の株ありぬ枯れ葉をかぶせ峰道くだる  ひらら
数センチの丈のすみれをこよなく愛しむ行為が 歌にあふれてとても優しく温かい空気感です。

6. 階の石の破れ目に一茎の菫は咲みぬ置かれし場所か  フミコ
石の破れ目に可憐なすみれ 頑張ってるねと声をかけてしまう。
人も植物も逆境にあるものへ声援を送りたくなる。
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Re: 2023.03.30 (木)題詠「忘」・ 鑑賞「すみれ・菫」
投稿日 : 2023/03/30(Thu) 19:39
投稿者 さらら
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公園のぎっしり咲き満つ白桜見入りて忘れる明朝のパン
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Re: 2023.03.30 (木)題詠「忘」・ 鑑賞「すみれ・菫」
投稿日 : 2023/03/30(Thu) 18:24
投稿者 たかし
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忘れたら沈んで二度とは浮かばない言葉書き付けるレシートの裏  たかし
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Re: 2023.03.30 (木)題詠「忘」・ 鑑賞「すみれ・菫」
投稿日 : 2023/03/30(Thu) 14:28
投稿者 ひらら
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 蒔き忘れし勿忘草の種袋瑠璃色に咲む抽斗しの隅    ひらら
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Re: 2023.03.30 (木)題詠「忘」・ 鑑賞「すみれ・菫」
投稿日 : 2023/03/30(Thu) 10:31
投稿者 ひさお
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忘れたる鞄野洲駅に保管中これがわかりて結果良好  ひさお
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Re: 2023.03.30 (木)題詠「忘」・ 鑑賞「すみれ・菫」
投稿日 : 2023/03/30(Thu) 10:27
投稿者 ひさお
参照先

今回は私の力不足で、どうしてもう歌意を読み取ることのできない作品が複数あり、時間をかけても、解決しそうにないため、未解決のままにしましたことをお詫びいたします。

1. 暖かい雨に三月暮れてゆく菫のなかの小さな海も  ウプラ
三月も終わろうとしている頃、暖かい雨が降っていて、菫も雨に濡れている。小さな菫の花の中に雨水が溜まっているが、それを「小さな海」と表現した。その小さな海でも季節が変わろうとしているのだ。「小さな海」という飛躍が面白い。


2. 酒蔵に横たう樽が部屋となりままごとの馳走はすみれたんぽぽ  さらら
酒蔵に置いてある空の酒樽を部屋としてままごとをしている。ごちそうはすみれとたんぽぽである。ということなのだろうか。
横たう樽とは??  横たわっている樽であろうか。酒蔵でままごとをするであろうか??

3. 名の通り匂うか鼻を近づける匂いすみれは椿の根方  たかし
匂いすみれという花があるらしい。鼻を近づけてその名のとおりよく匂うか確かめた。
それは椿の根方であった。
匂いすみれに鼻を近づけるという作者の行為と、椿の根方に匂いすみれがあるということとが同じようなウエイトを持っているようで、言いたいことがぼやけているように思う。

4. 水ぬるみすみれたんぽぽ咲き出せば耐へたる冬は既に遠くに  ひさお

5. 去年(こぞ)咲きし叡山菫の株ありぬ枯れ葉をかぶせ峰道くだる  ひらら
峰道を歩いて下っていると、去年咲いていた叡山菫の株を見つけた。今は枯れているが、今年も咲いてくれるよう、まわりの枯れ葉をかぶせて、叡山菫を保護した。
叡山菫に対する特別の気持ちがよく表れている。

6. 階の石の破れ目に一茎の菫は咲みぬ置かれし場所か  フミコ
石段の壊れているところがあって、そこに一茎の菫が咲いている。ちょうどそこへ置かれているのだろうか。思わぬところに咲いている菫をみつけた驚き。
「置かれし場所か」の真意が分かりにくい。菫が地に生えているのか、鉢植えなのかは見ればわかるので。
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