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2024.7.11(木)題詠「窪み」・鑑賞「継」
投稿日 | : 2024/07/05(Fri) 08:50 |
投稿者 | : ひさお |
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参照先
2024.7.11(木)題詠「窪み」・鑑賞「継」
題詠「窪み」
鑑賞「継」
出題者 さららさん
鑑賞「継」
1.主亡き能登の輪島の放置畑天へと咲き継ぐ紅立葵 ひらら
2.継ぐといふ針仕事よしちくちくと裾にあしらふ絹の羅 ウプラ
3.継ぎはぎの衣の母は仕立物弟は針に糸通しやる さらら
4.継ぐならば精神をこそと思えどもメールもラインもこそとも言わず たかし
5.二人子の巣立ちたる家継ぐ者のなきこと自明庭木は繁茂す ひさお
Re: 2024.7.11(木)題詠「窪み」・鑑賞「継」
投稿日 | : 2024/07/11(Thu) 22:38 |
投稿者 | : ウプラ |
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1.主亡き能登の輪島の放置畑天へと咲き継ぐ紅立葵 ひらら
耕作する人が亡くなって荒れたままの放置畑。復興の進まない輪島自体が放置畑のような状態でもあろうか。「紅立葵」が何かを継ぐ孤独な強い意志のように高く伸びている。
2.継ぐといふ針仕事よしちくちくと裾にあしらふ絹の羅 ウプラ
3.継ぎはぎの衣の母は仕立物弟は針に糸通しやる さらら
自分は継ぎはぎの衣服を着て、人に頼まれた着物を仕立てていた母。その母のために傍で弟が針に糸を通してあげていた。貧しい家族の温かな時間。
4.継ぐならば精神をこそと思えどもメールもラインもこそとも言わず たかし
跡を継ぐのなら地位や名誉ではなく、その精神を継ぎたいと思うのだが、あの世からはメールもラインも届かない。勝手に「あの世から」と想像した。二つの「こそ」が違う働き方をしているところがみそ。
5.二人子の巣立ちたる家継ぐ者のなきこと自明庭木は繁茂す ひさお
子供は巣だって離れた土地で暮らしている。この家を継ぐ人がいないことは十分承知している。
いずれは家を覆い尽くすのだろうと庭木を見ている作者を想像した。
Re: 2024.7.11(木)題詠「窪み」・鑑賞「継」
Re: 2024.7.11(木)題詠「窪み」・鑑賞「継」
投稿日 | : 2024/07/11(Thu) 19:40 |
投稿者 | : たかし |
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鑑賞「継」
1.主亡き能登の輪島の放置畑天へと咲き継ぐ紅立葵 ひらら
「主」は亡くなったか地震の後、他の土地へ避難しているのかも。
手入れされずに放置されたままの畑に紅立葵が勢いよく咲いている。
感情のこもった言葉をひとつも入れず、見た事実のみを言ったことでむしろ迫ってくる。
2.継ぐといふ針仕事よしちくちくと裾にあしらふ絹の羅 ウプラ
この「継ぐ」は衣服の破れを繕う「つぎあて」のこと。
しかし最近ではファッションとして破れていなくてもつぎあてをすることがある。
羅は「うすもの」と読むのだろう。
裾に絹の羅を「あしらふ」作者が継いでいるのは実用的な野良着ではなさそうだ。
3.継ぎはぎの衣の母は仕立物弟は針に糸通しやる さらら
昔の母は針仕事をしている姿を見ることが多かった。
この母は自分も継ぎの当たった衣を着ていて、
頼まれた(のであろう)仕立物をしている。(おそらく子供の学資などのために)
針に糸を通すのは目のいい弟が引き受けている。
昭和のよき時代が眼前する歌。
4.継ぐならば精神をこそと思えどもメールもラインもこそとも言わず たかし
5.二人子の巣立ちたる家継ぐ者のなきこと自明庭木は繁茂す ひさお
子供が居ても育った家を継ぐとは限らない。
家を巣立って、それぞれ外に自身の家庭・仕事を持ち、
その地で立派に生活をしていて還ってくることはなさそうだ。
作者は庭に気に入った樹を植えたりして手入れをしているが、
その庭が子供たちに受け継がれることはなさそうだと思っている。
「なきこと自明」は、さっぱりとこだわりを捨てた感じだが、
「庭木は繁茂す」・・やはり一抹の寂しさはあるのである。
Re: 2024.7.11(木)題詠「窪み」・鑑賞「継」
Re: 2024.7.11(木)題詠「窪み」・鑑賞「継」
Re: 2024.7.11(木)題詠「窪み」・鑑賞「継」
投稿日 | : 2024/07/11(Thu) 16:23 |
投稿者 | : ひらら |
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.主亡き能登の輪島の放置畑天へと咲き継ぐ紅立葵 ひらら
2.継ぐといふ針仕事よしちくちくと裾にあしらふ絹の羅 ウプラ
羅は正絹のうすものの生地、夏用生地。薄くて繊細な羅の生地をすそにあしらう、縫ってられる。細い絹針で一目一目ちくちくと。大切なものに丁寧に心込め針仕事をなさってる様子目の当たりに浮かぶ。
3.継ぎはぎの衣の母は仕立物弟は針に糸通しやる さらら
きょうだいの多い作者の母上の姿。仕立て物を預かりなさっている母上は継ぎはきの着物。針仕事の母のお手伝いを弟さんは糸通しをする。糸通し、ありがとうといわれるよりお母さんの側であれこれお喋りできるよろこびも感じられる。私も針仕事の母や祖母の側で話すのは好きだった。
4.継ぐならば精神をこそと思えどもメールもラインもこそとも言わず たかし
精神や趣意を十分理解し継ぐのか大切と思うがメールもラインも思うようにはいえず悶々とさ!ている。「こそと」「こそとも」に悩みが察せられる。
5.二人子の巣立ちたる家継ぐ者のなきこと自明庭木は繁茂す ひさお
二人子を育てるためたてられた家。子どもたちは自立すると家は継がずに各々外で暮らす。思い込め植えた庭木がよく育つ。眺め世話にする作者の胸の内がうかがえ少しさびしい。
Re: 2024.7.11(木)題詠「窪み」・鑑賞「継」
投稿日 | : 2024/07/11(Thu) 15:35 |
投稿者 | : さらら |
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1.主亡き能登の輪島の放置畑天へと咲き継ぐ紅立葵 ひらら
今年は新年早々震災に遭遇した 石川県北部の市、輪島に注目して歌にされた。震災や戦争の荒れ地に健気に天へと届けと紅立葵の清々しい直線。
2.継ぐといふ針仕事よしちくちくと裾にあしらふ絹の羅 ウプラ
女子に生まれ誰もがお人形の服を塗ったり 手提げ袋を作った体験がある そんな特別な時間を愛しく心を和ませる。
3.継ぎはぎの衣の母は仕立物弟は針に糸通しやる さらら
4.継ぐならば精神をこそと思えどもメールもラインもこそとも言わず たかし
何事にも日本伝統の精神を継ぐことが第1と思うがメールやラインは何も触れない。日本の良さが希薄になっていくのが悔やまれる。
5.二人子の巣立ちたる家継ぐ者のなきこと自明庭木は繁茂す ひさお
かっては何代もの家族がにぎやかに暮らしていた。時間の経過に各々家庭事情もあり 今の時世若者は巣立つのが当たり前になっている。老いた親が一人残され 子は己の生活に追われている。庭の樹木は愚痴も言わず移動もせず ただ繫茂していくのである。
Re: 2024.7.11(木)題詠「窪み」・鑑賞「継」
Re: 2024.7.11(木)題詠「窪み」・鑑賞「継」
Re: 2024.7.11(木)題詠「窪み」・鑑賞「継」
投稿日 | : 2024/07/11(Thu) 10:40 |
投稿者 | : ひさお |
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1.主亡き能登の輪島の放置畑天へと咲き継ぐ紅立葵 ひらら
地主が亡くなられた(今回の震災の被災者ではないようだ。)ので、放置されている畑。その畑は段々畑で、かなり高い所にある。その畑に紅立ち葵が毎年咲き継いでいる。まるで天におられる地主を慕っているように思われる。
今年1月の震災被害者の土地に咲く紅立ち葵だったら、「咲き継ぐ」とは表現しないはず。
2.継ぐといふ針仕事よしちくちくと裾にあしらふ絹の羅 ウプラ
羅:薄く織った網のような絹の布。うすぎぬ。
あしらう:@あつかう、応対する。A装飾・料理などをとりあわせる。配合する。
継ぐ:つなぎ合わせる。縫い合わせる
針仕事(手縫い)によって、スカートの裾に薄く織った網のような布飾りを縫い合わせていく。この針仕事はやりがいのある仕事である。
「ちくちく」は針の動く様子の表現で、手縫いの様子をうまく表現している。
3.継ぎはぎの衣の母は仕立物弟は針に糸通しやる さらら
母は仕立物をして家計を助けている。その母の着ている衣服は継ぎはぎである。苦労しておられるのだ。弟が針に糸を通して母を助けている。
苦労している母と、思いやりのある弟の姿が目に見えるようだ。
4.継ぐならば精神をこそと思えどもメールもラインもこそとも言わず たかし
「こそ」のリフレイン。最初の「こそ」は強調の助詞。あとの「こそ」は「こそとも言わず」でまったく何も言わないという意味であるが、「こそ」ということばは「こそこそ」
から転用された言葉であろうか。
何らかの社会的な活動をしている団体の責任ある立場の後継者になってほしいという依頼をメールやラインで受けた。引き継ぐにはその団体をあらしめている精神がどのようなものなのかをしっかり示してもらいと作者は思っている。だが、メールやラインではそのことには一言も触れられていないのでおおいに不満である。
5.二人子の巣立ちたる家継ぐ者のなきこと自明庭木は繁茂す ひさお