入選５

著莪と花鋏　　��山清子（長浜市）

一
　背戸の木の下　著莪の花
　群れて咲いてる　白むらさきの
　花をチョキチョキ　チョッキンと
　音もときめく　花鋏
　裏に咲くには　惜しい花
　身捨ててしまうにゃ　惜しい花
　伊万里の壺に　活けましょう

　ちょっと待ってね　花鋏
　わたしゃ野に咲く　著莪の花
　著莪の気持の　都々逸を
　知らなきゃ聞かせて　あげましょう

♪あやめに倣うて咲いては見ても
　　所詮野の花著莪は著莪♪

二
　お部屋に活けて　くれたとて
　著莪は野の花　運命にゃ勝てぬ
　どうかこのまま　裏山で
　咲かせて命の　終るまで

　そんな都々逸　馬鹿みたい
　手折らにゃいられぬ　美しさ
　伊万里の壺に　活けました

　泣いているのか　著莪の花
　背戸の華やぎ　見せぬまま
　ずんずん萎れて　いくばかり
　活けて悲しい　花鋏

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