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投稿日 | : 2024/10/03(Thu) 16:56 |
投稿者 | : 選者・北原千代・辰巳友佳子・水沢 郁 |
参照先 | : |
特選4
冬のさくら
原馬正文(湖南市)
さくらの樹は
ねじれている
見返り美人のように
ねじれている
さくらの樹は 杉の高木のように
天空へ 真っ直ぐ伸びようとはしない
ねじれてどこが悪いんだ と言うように
奔放に ねじれている
どうしてこんなにも
ねじれているのか?
叩きつける 豪雨のせいか?
吹きつける 寒波のせいか?
さくらの樹は 自らの意志で
ねじれている
そうでなければ こんなにも堂々と
ねじれる訳がない
ねじれることで
どんな強風にも 負けない
どんな風雪にも 耐えられる
どっしりと 頑丈な幹に成ったのだ
さくらの樹は 待っている
ひび割れた 苔むした幹で 待っている
無数の枝を 四方八方に振り上げて
折れ曲がり 伸び上がり 待っている
吹雪に晒された
あばただらけの樹皮で
しみだらけの枝々を 櫓に組んで
舞台が開くときを 待っている
樹液の結晶を 吹き出し
無数の春光を 滝のように降らすときを
竜巻のように 大空に舞い上がるときを
寒風に耐えながら ひたすら 待っている