参照先

　　２０２５．３．６（木）題詠「やいば・刃」・鑑賞「強欲・ごうよく」
　　題詠「やいば・刃」
　　鑑賞「強欲・ごうよく」
　　出題者　ひららさん

鑑賞「強欲・ごうよく」

　１．とりあへずベニアで補強欲するは台風弱まり逸れてくれること　　ひさお

　２．渡す御強(おこわ)欲を云えばと控えめに伏せる姑にもと頭をさげる人 ひらら

　３．寝坊助で甘つたれです強欲で穴があつたら自滅必滅　　ウプラ

　４．強欲のなんと懐かしい2字の漢字吾の身体に蔓延る根っこ　　さらら

　５．どれもみな強欲の顔トランプの陣に参じるガーファムＣＥО　　たかし

　

編集

都市ガスの青きしづくに刃当つ嫌いな人と会う日の朝

編集

ウプラんの歌が出てないどうしたか真夜書くつもりで寝てしまったか

編集

さららさん元気な姿うれしいが刀ではなく刃（やいば）ですぞよ

編集

刀剣のチャンバラ好きな夫と見し川の字に寝て水戸の黄門　さらら

編集

１．とりあへずベニアで補強欲するは台風弱まり逸れてくれること　　ひさお
台風予報をきき台風が逸れてくれることをいのりながらベニヤ板で家周りを補強している作者の姿が読める。「とりあえず」でじっとしてられない様子が読み取れる。

　２．渡す御強(おこわ)欲を云えばと控えめに伏せる姑にもと頭をさげる人 ひらら

　３．寝坊助で甘つたれです強欲で穴があつたら自滅必滅　　ウプラ
　作者が自身の短所と自認する事柄をあげ「穴があったら」「自滅必滅」強調され言われている。私もそうだわ。


　４．強欲のなんと懐かしい2字の漢字吾の身体に蔓延る根っこ　　さらら

編集

鑑賞「強欲・ごうよく」

　１．とりあへずベニアで補強欲するは台風弱まり逸れてくれること　　ひさお
「とりあえず」簡単に補強しただけなので、大丈夫とは言えず不安。「ベニア」のお手軽な感じの具体が効いている。かなり大きな台風であることが言外に感じられる。

　２．渡す御強(おこわ)欲を云えばと控えめに伏せる姑にもと頭をさげる人 ひらら
作者との関係がイマイチ不明。
知り合いならザックバランに「もっと頂戴」と笑って言うだろうと思う。
ということで、昔の物乞いの人だと推測した。

　３．寝坊助で甘つたれです強欲で穴があつたら自滅必滅　　ウプラ

　４．強欲のなんと懐かしい2字の漢字吾の身体に蔓延る根っこ　　さらら
人間の源には欲望がある。若い頃はそれがもっと強かったけど、なになに、今だって自分の根っこには消えずに残っている、という自己認識と自己開示が爽やか。
「2字の漢字」は「二文字は」でいかがでしょうか。

　５．どれもみな強欲の顔トランプの陣に参じるガーファムＣＥО　　たかし
「ガーファム」とはグーグル、アップルなど巨大IT企業５社の略称。
トランプの就任式だったか、経済、権力というものの顔がテレビ画面にいやというほど現れていた。
「どれもみな」・・「つくづくと」で作者が見えるかも。

編集

鑑賞「強欲・ごうよく」
１．とりあへずベニアで補強欲するは台風弱まり逸れてくれること　　ひさお
　強欲を「補強」と「欲する」に分解して上手い。
べニア板で補強したのはガラス窓かな？
べニアはベニヤの方が社会的に馴染みがあるようです。

２．渡す御強(おこわ)欲を云えばと控えめに伏せる姑にもと頭をさげる人　　ひらら
　強欲を「お強」と「欲を云えば」に分解したのは上手い。
　この歌、一読や二読では歌意が分かりにくい。四回ぐらい読んでようやく分る。
「控えめに」があるので「頭をさげる」は言わなくてもよさそう。
「・・・欲を云えばと控えめに伏せる姑にも欲しいと言う人」と、はっきりした方がよさそう。

３．寝坊助で甘つたれです強欲で穴があつたら自滅必滅　　ウプラ
　「寝坊助で甘ったれで」・・うちの猫のことかと思った。三句の「強欲で」まではふんふんと読んでいたが「穴があったら自滅必滅」この下句、初句からの言葉の流れが結句でガツンと岩に激突した感じ。
「自滅必定」の方がよくないか。音的にも「つ」だとガツンと終わるが、「じょー」だと流れて。

４．強欲のなんと懐かしい2字の漢字吾の身体に蔓延る根っこ　　さらら
　強欲の文字が懐かしい・・え、どういうこと？・・と思ったら、自身のことであり「蔓延る根っこ」が出て来た。
　つまり作者は自分の生きて来た歳月の間に、自分の本質に強欲の気質があることを知った。そこから「蔓延る根っこ」が出た。
　上句の展開は驚きだが、下の句でとてもうまく納めている。今は自分をよくコントロールされている作者であることが分る歌。

５．どれもみな強欲の顔トランプの陣に参じるガーファムＣＥО　　たかし

編集

有次の小出刃一丁渡さるるハマチくらい捌けよと夫　　　　ひらら

「有次」は京都錦通りの刃物屋。（ありつぐ）

編集

五枚刃の剃刀ジレットよく切れる髭なしトランプ髭ありゼレンスキ　　たかし

編集

１．とりあへずベニアで補強欲するは台風弱まり逸れてくれること　　ひさお
歳を重ねると女性はひとを慈しみ　男性は自然の中に植物を育む。台風の来る前の巡りの草花に

　２．渡す御強(おこわ)欲を云えばと控えめに伏せる姑にもと頭をさげる人 ひらら
かつて以前には親戚　近所に物をお裾分けする習いがあった。昭和初期の姑は毅然とした威厳があり若い者は従って口答えはタブーだった。
　
３．寝坊助で甘つたれです強欲で穴があつたら自滅必滅　　ウプラ
ありのままの己れをさらけ出し　素直に自粛　反省の態度が可愛い。
　
４．強欲のなんと懐かしい2字の漢字吾の身体に蔓延る根っこ　　さらら

　５．どれもみな強欲の顔トランプの陣に参じるガーファムＣＥО　　
　最近のテレビでのトランプの取り巻きを　よく直視して歌われた。

　

編集

お題

「屋敷」にてよろしく

編集

発すれば刃となりて突き刺さる声を秘めゐる小さき口元　　ひさお

編集

１．とりあへずベニアで補強欲するは台風弱まり逸れてくれること　　ひさお

２．渡す御強(おこわ)欲を云えばと控えめに伏せる姑にもと頭をさげる人 ひらら
　強欲を「お強」と「欲」でうまくクリアした。
　炊いたお強（おこわ）を知人に手渡した。受け取った人は欲を言えば病気で寝ている姑の分もいただけないかと、遠慮しながら頭を下げつつ言った。
お強を焚いて知人に渡す人と、それをもらう人との関係はあまり遠慮のいらない親密な関係のようである。
一句目はちょっとしんどい。２句目以下はよく分かる。

３．寝坊助で甘つたれです強欲で穴があつたら自滅必滅　　ウプラ
　自分を面白く自虐的に詠った。「穴があったら自滅必滅」とは珍しい表現だと思う。
　穴があったら入りたいということよりもっと強い感じがする。
　自滅は自分から穴に落ちて身を消したい。必滅は自分の意志に関わらず必ず身は消えてなくなるということだろう。

４．強欲のなんと懐かしい2字の漢字吾の身体に蔓延る根っこ　　さらら
　身体に蔓延っている根っこである強欲によって、自分はいつも強欲なことができる人間なのだ。自分自身を何でも実現させる欲の強い人間とみなしている。

５．どれもみな強欲の顔トランプの陣に参じるガーファムＣＥО　　たかし
　トランプ陣営に集まってきたｶﾞｰﾌｧﾑCEO はどの人もみな強欲な顔をしている。富裕層の集まりであるトランプ陣営。強いアメリカを目指すというお偉方を心配しながら揶揄している。

編集