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3/12 題詠「あかんぼ」・鑑賞「かたき」
投稿日 : 2020/03/06(Fri) 09:32
投稿者 フミコ
参照先
♪ 次回・「たどたど」スケジュール ♪ 

R・02.03.12  (木)

詠草   「あかんぼ」
鑑賞&批評「かたき」
出題  ウプラ さん

◎ 「かたき」 詠草一覧 

1. 句仇と呼ばれて嬉し会心の枯木灘一句かたきへ放つ  ウプラ

2. 焼き冷ましの餅のかたきも健啖に平らげしは二十歳頃までの歯よ  たかし

3. 匕首を腰だめにして突いてくる敵(かたき)討ちなら業物(わざもの)でこよ 蔦の道

4. 絶対に妻を殴ったりせぬといふかたき決心或ることののち  ひさお

5. 鍬を打ちかたきカタキと杉菜掘る根の土払い畑を均す   ひらら

6. 本を読むかたきとるがに懸命に学生時代の悲しき記憶  ひろゆき

7. 息子(こ)を奪いし憎っくきかたきとよぶ我とたった二人の姑の臨終   フミコ  

8. 肩を叩かれながらジッと見る娘がくれたのは「かたき券」   ゆき

9. かたきやとかって悩みし人らいま親交あるを思いて眠る  さらら
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Re: 3/12 題詠「あかんぼ」・鑑賞「かたき」
投稿日 : 2020/03/12(Thu) 21:02
投稿者 ゆき
参照先
1.句仇と呼ばれて嬉し会心の枯木灘一句かたきへ放つ  ウプラ
枯木灘!中上健次!どんな句なんだろう……。強そうです。

2.焼き冷ましの餅のかたきも健啖に平らげしは二十歳頃までの歯よ  たかし
平らげしは「二十歳」の、「は」「はたち」と続くのが気になります。「平らげし二十歳頃までの歯よ」でもいいかもしれません。
こういうふうに「かたき」を詠み込むとは思いつきませんでした。すごいいなあ。

3.匕首を腰だめにして突いてくる敵(かたき)討ちなら業物(わざもの)でこよ 蔦の道
自分と殺り合うのに、匕首ではなく業物で来いという言いぶんが面白いなあと思いました。

4.絶対に妻を殴ったりせぬといふかたき決心或ることののち  ひさお
妻でいらっしゃる方との関係性が推察されて、深みのある歌だと思いました。

5.鍬を打ちかたきカタキと杉菜掘る根の土払い畑を均す   ひらら
春の匂いがしてきそうな歌ですね!
後鳥羽院の歌にも春の夕暮れに田を鋤き返す里人を眺めている歌があります。
いろんなことを思い出してイライラする、みたいな歌でしたけど…。

6.本を読むかたきとるがに懸命に学生時代の悲しき記憶  ひろゆき
学生の頃、本を読む時間が持てなかったのでしょうか。戦時中だったからでしょうか。わたしの親しい方にも、自分はずっと理系で文学がわからないのがコンプレックスだったと、おっしゃっている方がいます。

7.息子(こ)を奪いし憎っくきかたきとよぶ我とたった二人の姑の臨終   フミコ
こだわりのある仲でいらしたのでしょうが、何かこう、人生の深みを感じさせられます。 
 

8.肩を叩かれながらジッと見る娘がくれたのは「かたき券」   ゆき

9.かたきやとかって悩みし人らいま親交あるを思いて眠る  さらら
ご縁って不思議ですよね。眠る際にいろんなことを思いながら眠りにつくことよくあります。なんで今こうして親しい交わりを持っているのか…なにがキッカケになるやらわかりません。
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Re: 3/12 題詠「あかんぼ」・鑑賞「かたき」
投稿日 : 2020/03/12(Thu) 20:46
投稿者 ウプラ
参照先
1. 句仇と呼ばれて嬉し会心の枯木灘一句かたきへ放つ  ウプラ

2. 焼き冷ましの餅のかたきも健啖に平らげしは二十歳頃までの歯よ  たかし
二十歳くらいまでは何でも食っちまった鋼鉄のごとき歯。「歯」が可笑しくも哀しくも動物的で、そこはかとなく身につまされる。「歯で」「歯や」いろいろニュアンスにヴァリエーションが出て楽しめる素材。「平らげたりしは二十歳までの歯」と「歯」で終わらせる手もあるが、まあいずれ品はない。でもどうせ歯だし。可笑しい。他人事ではない。  
「焼き冷ましの餅」も硬くて不味そうで、こんなものでも空腹な青少年には旨かったのだろう。 具体が活きています。

3. 匕首を腰だめにして突いてくる敵(かたき)討ちなら業物(わざもの)でこよ 蔦の道
ずいぶん自信のありそうな人ですが、ちょっと芝居っぽい。特に結句にその印象が強いです。生身の人間のリアルさよりも、雛型にはめ込んだような・・・「生きているたった一人の私」、という感じが弱い。厳しいようですが、これは巧みな人を待つ罠かもしれないと思いました。
「腰だめ」という言葉を学びました。

4. 絶対に妻を殴ったりせぬといふかたき決心或ることののち  ひさお
人生を最も近く最も長く関係してきた妻、その妻が無言で作者にさせた決意の場面だと想像しました。最後にものをいうのは言葉ではなく<存在>、そんな一瞬のような気がして、はっとさせられます。
「たりせぬという」が間接的で緩いような・・・
「もう二度と妻は殴らぬ(日の暮れの・・・とか)かたき・・・」とすれば直接的になりますが・・・でも殴ったかどうかわからないので保留。

5. 鍬を打ちかたきカタキと杉菜掘る根の土払い畑を均す   ひらら
丁寧に野菜畑の草取り、土均しをしているところ。静かな気持ちで作業しているのですが、杉菜を見つけるとそうはいかないのですね。このあたり共感します。
二つずつ動詞のはいった文が二つ並んで、やや平板というか、散漫な感じを受けました。「畑を均す」まで広げないで「杉菜」に集中させてみてはいかがでしょうか。
「鍬を打ち根の土払い杉菜掘る杉菜はかたきカタキ(仇?)」など。

私も杉菜との闘い35年余、連戦連敗中であります。

6. 本を読むかたきとるがに懸命に学生時代の悲しき記憶  ひろゆき
心の芯にある切ないものを詠われて、心を打たれる。
読みたくても読むことがゆるされなかった学生時代だったのかもしれない。
歌の重点を、結句の「悲しき記憶」の過去から「本を読む」の現在に移したくて、上下を入れ替えてみました。
「学生時代の悲しき記憶 本を読むかたきとるがに懸命に読む」

7. 息子(こ)を奪いし憎っくきかたきとよぶ我とたった二人の姑の臨終   フミコ 
「憎き」を「憎っくき」とオーバーアクションさせることでかすかに可笑しみが出た。姑の嫉妬をおどけたように受け容れた(受け流してあげた)心の強さ、それがこの臨終の歌の隠れた救いになっています。
いろいろ複雑な感情がグルグル回って、バターになってしまった虎のような「憎っくき」が貴重だと思いました。
「と」が近くに二つあって・・・基本的に「の」以外の助詞は重ならない方がよいといわれていますが。
「憎っくきかたきのわたくしと」「憎っくきかたきでありしわれと」「にっくきかたきに見守られ」・・・何か探せそうです。「とよぶ」はどうしても入れたいかな?

8. 肩を叩かれながらジッと見る娘がくれたのは「かたき券」   ゆき
しばらくジッと読んで、ほっほっほっと笑ってしまった。これは娘が「かたたたき券」をくれたのですね。でも、幼さのせいか、慌て者のせいか、愛を込めたのに「かたき券」になってしまった。母が「ン?ナンダ?」とジッと見て、理解しようとしているところ。
一瞬後の弾ける笑いが見えるようです。
「たき」の2文字が抜けて定型が破綻してしまうところも二重に凝っていて、楽しませていただきました。しかし、モンダイ作!!

9. かたきやとかって悩みし人らいま親交あるを思いて眠る  さらら
何だか優しい疲労感があって、人への肯定感を感じさせてくれる作品です。このいい加減さが人の救いかもしれません。 初句の関西弁も良い味だし、何と言っても「思いて眠る」の結句がゆったりとしていていいなぁと思いました。「よかったな」とか「やれやれ」とか「ちょぼちょぼや」とか、読者の思いが遊べる隙間、ゆるみ、とでもいうようなものがあって好きです。
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Re: 3/12 題詠「あかんぼ」・鑑賞「かたき」
投稿日 : 2020/03/12(Thu) 20:40
投稿者 ゆき
参照先
大好きな歌手の新譜のジャケットになめくじのあかんぼがいて薄目で見てる
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Re: 3/12 題詠「あかんぼ」・鑑賞「かたき」
投稿日 : 2020/03/12(Thu) 20:35
投稿者 ウプラ
参照先
詠草「あかんぼ」
これやこの甲斐の日暮れの桃の花 あかんぼおーつとうるんでしまふ
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Re: 3/12 題詠「あかんぼ」・鑑賞「かたき」
投稿日 : 2020/03/12(Thu) 20:34
投稿者 ウプラ
参照先
来週のお題
二十歳
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Re: 3/12 題詠「あかんぼ」・鑑賞「かたき」
投稿日 : 2020/03/12(Thu) 19:35
投稿者 たかし
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1. 句仇と呼ばれて嬉し会心の枯木灘一句かたきへ放つ  ウプラ
 句仇と呼ばれて作者は嬉しい。
 その相手は相当の技量の持ち主であるから。
 その相手へ放つようにして提出した一句は「枯木灘」の句である。
 この枯木灘というのは、中上健次の小説のことであろうか。
 それとも、吉野熊野国立公園の岩石の海岸のことであろうか。
 一句、ということから考えると、私は後者の方に思えた。
 寄る港のない海岸を枯木というらしい。その灘である。
 「会心」の語もよく、一首全体にカ行音(9つ)が鏤められていて、
 スカッとした読後感。

2. 焼き冷ましの餅のかたきも健啖に平らげしは二十歳頃までの歯よ  たかし

3. 匕首を腰だめにして突いてくる敵(かたき)討ちなら業物(わざもの)でこよ 蔦の道
 敵(かたき)と狙われている作者。
 相手は匕首で突きかかってきた。
 この状況を考えると、「業物で来よ」と言う側(作者)は侍である。
 そして、そのように言われる相手側も、元は侍であったと考える。
 しかし、今、その相手は刀ではなく、匕首で敵討ちを遂げようとしている。
 何故か?これは長い長い間、敵を探しもとめ続けて、路銀もなにもかもが無くなり、
 自分自身が生きてゆくために、渡世人の中に身を落としてしまっているのかと思われる。
 つまり博打打ちをしている。
 しかし、敵討ちを忘れたわけではなく、
 今、目の前に見つけた長年の仇敵に突きかかっていった。
 そのことを、敵である作者は「敵討ちなら業物で来よ」と、
 あざけるように言ったものと、私は考えた。
 さて、この果たし合いの結果は?物語的な興味が身上。

4. 絶対に妻を殴ったりせぬといふかたき決心或ることののち  ひさお
 こういう風に詠われると、では、「或ること」の前には、一度くらいは
 妻を殴ったことがあるのか、と、考える読者もいるだろう。
 しかし、そうではないと思う。
 最初からこの「かたき決心」があったのではなく、
 或ることののちにこの決心を固めるに至ったという歌なのだと思う。
 その「或ること」は、言われていないので読者がそれぞれ考えるしかないのだが、
 それを考えさせることが余韻と言える。 

5. 鍬を打ちかたきカタキと杉菜掘る根の土払い畑を均す   ひらら
 杉菜は根絶することが難しいのだろう。
 この歌の「かたきカタキ」は、土が硬いというのと、根絶できない杉菜を
 「仇(かたき)」だと言っているのと両方に掛けているようである。
 この歌「掘る」があるので、初句の「鍬を打ち」は「鍬を持ち」でよいと思う。
 植物に詳しい作者らしい歌。

6. 本を読むかたきとるがに懸命に学生時代の悲しき記憶  ひろゆき
 かたきをとるように本を読んだと・・・学生時代よほど作者は勉強家であったようだ。
 ただ、何故それが「悲しき」記憶となるのか。
 もしかしたら自分から進んで本を読んだのではなく、何かの必要に迫られてのことであったのか?
 どちらにしても、それだけ本を読まれたことは、作者の血となり肉となっている筈。
 だから「悲しき」などと言わない方がいいように思います。

7. 息子(こ)を奪いし憎っくきかたきとよぶ我とたった二人の姑の臨終   フミコ
 姑さんから見れば、嫁(作者)というのは、自分から愛する息子(の心)を、
 奪った憎いかたきのような者。
 この姑さんは、自分の心に正直で、作者のことを憎い敵を見るように見、
 そのように言葉でも言われていたのでしょうか。
 今から思えば、客観的に見れば、笑えそうになることも、その時には、
 やはり、緊迫した間柄であったのかも。
 そんな姑さんであったが、命の終わるときを看取るのは、嫁である作者ひとりであった。
 愛憎を越えた深いものが感じられる。
 全てを言っていないので余韻がある。

8. 肩を叩かれながらジッと見る娘がくれたのは「かたき券」   ゆき
 「肩たたき券」、よく幼稚園や小学校低学年の子供が母の日とか、父の日とかに
 くれるものだと思う。(私はどうも記憶がない)
 それで、肩を叩いてもらいながら、ふと娘さんがくれたその券をよく見ると、
 「かたき券」と書いてある。面白いね。幼い子の表情まで見えてくるようだ。
 上句は破調で始まっているが、気にならなかった。

9. かたきやとかって悩みし人らいま親交あるを思いて眠る  さらら
 昔は(作者が若き頃)敵やと思いこんだ人達がいる。
 それは、作者に、その意に反したことばかりをさせたり、求めてきたりするから。
 そんな人達とも、今は親しく交流している。
 そのことを、不思議なことのように思いながら、作者は幸せな眠りにつく。
 よく作者を表わしている歌。
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題詠「あかんぼ」
投稿日 : 2020/03/12(Thu) 15:44
投稿者 ひろゆき
参照先
あかんぼのこの世に生まれし瞬間を暗き廊下でただひとり待つ
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鑑賞「かたき」
投稿日 : 2020/03/12(Thu) 15:40
投稿者 ひろゆき
参照先
1. 句仇と呼ばれて嬉し会心の枯木灘一句かたきへ放つ  ウプラ
俳諧での敵と呼ばれることにうれしさを感じ枯木にまつわる難しい一句を贈った。どうだこの句は!と。
2. 焼き冷ましの餅のかたきも健啖に平らげしは二十歳頃までの歯よ  たかし
焼いた後しばらく経つと硬くなる。それをものともせずに食したのは20歳頃までの健歯。今はとてもできないと歳重ね来てというところでしょうか。実際はもう一度あたためて柔らかくしてという動作が面倒くさい?若い歯の丈夫な時は誰にもあったような回顧とも。
3. 匕首を腰だめにして突いてくる敵(かたき)討ちなら業物(わざもの)でこよ 蔦の道
同じなら最高級の名工が作った匕首で来い、でなけれ返り討ちになるぞ、そんな容易い相手ではないぞと。
4. 絶対に妻を殴ったりせぬといふかたき決心或ることののち  ひさお
結句、或ることの後とあってひょっとすると妻の逆襲またはひどい結果が残ってからなどいろいろ推測できる。多分連れ合いさんが体力的に弱られてからであろうとも推測。
5. 鍬を打ちかたきカタキと杉菜掘る根の土払い畑を均す   ひらら
かたきカタキは硬きかたきのほうが表意が分かりやすいのでは。(私だけか)下句でいかに深く掘らねばならなかったかを均すで表意されている。
6. 本を読むかたきとるがに懸命に学生時代の悲しき記憶  ひろゆき

7. 息子(こ)を奪いし憎っくきかたきとよぶ我とたった二人の姑の臨終   フミコ  
相当激しい歌ですねぇ。息子を奪いしは俗にいう子を姑が可愛がり自分の側近にしてわれから離した。でも姑の臨終には私しかいなかった。ひょっとしてあなたには世話にならないと言いながら。
8. 肩を叩かれながらジッと見る娘がくれたのは「かたき券」   ゆき
たのしいうた、かわいい娘さん。かたき券がこの歌の重心となっている。次もこの券を使ってねと差し出して。
9. かたきやとかって悩みし人らいま親交あるを思いて眠る  さらら
若い頃あるいは学生時代かたきだと思っていた人も今は親交あること、交友があることを思い眠りにつく、つける安らかさを思う。回想的。
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Re: 3/12 題詠「あかんぼ」・鑑賞「かたき」
投稿日 : 2020/03/12(Thu) 14:15
投稿者 さらら
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フミさん カムバック良かったです。どうぞよろしくお願いします

みづかがみ をみずかがみに訂正
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Re: 3/12 題詠「あかんぼ」・鑑賞「かたき」
投稿日 : 2020/03/12(Thu) 13:56
投稿者 さらら
参照先
。句会の和やかな場面 気に入る枯木灘の一句を言い放つ小気味よい一瞬。

2. 焼き冷ましの餅のかたきも健啖に平らげしは二十歳頃までの歯よ  たかし
健啖は盛んに食べること二十歳は重なり削除されては。

3. 匕首を腰だめにして突いてくる敵(かたき)討ちなら業物(わざもの)でこよ 蔦の道
面倒な労力より かたき討ちなら業物でこい。頭を使いなさい。

4. 絶対に妻を殴ったりせぬといふかたき決心或ることののち  ひさお
殴るなど全くタブーと決めているが ある時あることののちは敵と強く心に決める。

5. 鍬を打ちかたきカタキと杉菜掘る根の土払い畑を均す   ひらら
働きの体験うたは人の心に確り届き 潔い行為に共感をよぶ。

6. 本を読むかたきとるがに懸命に学生時代の悲しき記憶  ひろゆき
戦時中は本など読む時間はなく 田畑で働き妹弟の子守り親の手伝いなど頑張りました。
サンデイマイニチの今日思い存分読書ができる。まるで敵をとるがに 佳き表現。

7. 息子(こ)を奪いし憎っくきかたきとよぶ我とたった二人の姑の臨終   フミコ  
息子と姑と作者の三角関係 なんとも複雑怪奇な関り 時間の経過で終の姑を
心静かに二人の行う告別の儀。

8. 肩を叩かれながらジッと見る娘がくれたのは「かたき券」   ゆき
肩たたき券が かたき券にぎょぎょと驚く母親。成長する子どもとの豊かな時間
生きている楽しい今を大切に。

9. かたきやとかって悩みし人らいま親交あるを思いて眠る  さらら
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 題詠「あかんぼ」」
投稿日 : 2020/03/12(Thu) 13:27
投稿者 フミコ
参照先
枝を跳び瓦を走る猿の背に決して落ちないあかんぼがいた
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Re: 3/12 題詠「あかんぼ」・鑑賞「かたき」
投稿日 : 2020/03/12(Thu) 13:09
投稿者 さらら
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「みづかがみ」土鍋で炊くとき母の声あかんぼ泣いても蓋をとるなと
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鑑賞「かたき」
投稿日 : 2020/03/12(Thu) 13:00
投稿者 フミコ
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1. 句仇と呼ばれて嬉し会心の枯木灘一句かたきへ放つ  ウプラ
作者が日頃から一目置いている先輩もしくはライバルから「句仇」と呼ばれた。
相手も作者を十分意識している証拠である。
…嬉し…正直で好感がもてる。作者の、相手に対する敬意もにじむ。
嬉しさついでに「こんなんも出来ましたよ」と会心の一句を発表した。
…かたきへ放つ…作者と句がたきとの緊張感と親愛感あふれるいい感じの関係が浮かび上がる。
&#65375;「枯れ木灘&#65376;…ネットで読んでみたが屈折した内容に挫折して作者の放った矢の効果にまで想像が及びませんでした。

2. 焼き冷ましの餅のかたきも健啖に平らげしは二十歳頃までの歯よ  たかし
昔のおやつの定番。おいしかった。
硬くなったお餅をかじるには元気な歯が不可欠。
でも、当時、老人たちも焼いて砂糖醤油をからめて竹の皮に包んだお餅を懐に入れて体温に温まったお餅を長い時間かけて口中に楽しんでいました。
古き良き、物は無くても豊かな気持ちのよみがえる歌です。

3. 匕首を腰だめにして突いてくる敵(かたき)討ちなら業物(わざもの)でこよ 蔦の道
匕首を腰だめにして突くというのは効率の悪いかたき討ちのやり方だと思う。
刃渡り2,30pなら相手に深手を負わせるまでに返り討ちに会ってしまいそうですね。
「業物の力を借りなければ私を突くことは出来ないよ」と言っているのですね。
時代劇によくある場面のようでもあり、また、誰かを巻き込んだ心理的葛藤場面のようでもあり、私には確たるシーンがうかびませんでした。

4. 絶対に妻を殴ったりせぬといふかたき決心或ることののち  ひさお
初句から第4句までは滑らかに夫の心情が詠われていますが、結句「あることののち」で急展開があり、読者をはっと引きつける。
その、「あること」は読者のそれぞれにまかされているばかりだが、読む方はそのそれぞれに人生を見つける。
緊張感のある魅力的な構成になっていると思います。

5. 鍬を打ちかたきカタキと杉菜掘る根の土払い畑を均す   ひらら
杉菜の根は手強い。
それに打ち勝って畑を均された。
作者のお疲れは相当だったと思いますが杉菜の方もかぶとを脱いだことでしょう。
「かたきカタキ」のくりかえしが作者の執念を物語っていてエールを送りたくなる。

6. 本を読むかたきとるがに懸命に学生時代の悲しき記憶  ひろゆき
作者にとって今も大切な習慣になっている読書のルーツはここにあったのですね。
何事も無駄にはならないという証ですね。
故に「悲しき記憶」というが何か気になる、宙にういている感じ。(私だけかも)
かたきとるがに…というのは悲壮感が漂いますが作者を追い立てる何かがあったのかもしれません。

7. 息子(こ)を奪いし憎っくきかたきとよぶ我とたった二人の姑の臨終   フミコ  

8. 肩を叩かれながらジッと見る娘がくれたのは「かたき券」   ゆき
「かたき券」というのが笑えますね。
お子さんが年中さんから低学年の頃の出来事か、いやいや、もうすこし大きくなってからのブラック・ユーモアかもしれないと思いました。
一読、ぎょっとするけれど仲のよい親子の姿が浮かびます。

9. かたきやとかって悩みし人らいま親交あるを思いて眠る  さらら
作者の人生にカタキだと思うくらいにに悩んだ人たちと今、親しくお付き合いしていることをあれこれ思いめぐらしているうちに眠りについた。
人と人との出会いの不思議。
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Re: 3/12 題詠「あかんぼ」・鑑賞「かたき」
投稿日 : 2020/03/12(Thu) 10:11
投稿者 ひさお
参照先
夢心地覚まさなあかんぼんやりと流れる雲を眺めたりして  ひさお
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Re: 3/12 題詠「あかんぼ」・鑑賞「かたき」
投稿日 : 2020/03/12(Thu) 10:07
投稿者 ひさお
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1. 句仇と呼ばれて嬉し会心の枯木灘一句かたきへ放つ  ウプラ
作者には句仇と呼んでくれる俳句仲間がいて、その人との俳句の
やりとりを楽しんでいる。
あるとき「枯木灘」の句を作り、会心の作であると自信をもって句仇へ
その作品をぶっつけた。
「枯木灘」については中上健次の小説があるようだが、今回は関係ないと
思われる。和歌山県の海岸に枯木灘というところがある。
枯木灘の句をネットで調べた。
浜木綿に潮風つよき枯木灘     中村苑子
寒雷に起こる全てが枯木灘     花尻万博
くちびるがぶ厚く走る枯木灘     須藤 徹

2. 焼き冷ましの餅のかたきも健啖に平らげしは二十歳頃までの歯よ  たかし
弱くなった「歯」のことを作者は言いたいのである。焼餅は冷えれば固い。今では
歯が悪くなってあまり固いものは食べられなくなった。歯をとおして健啖であった
昔を懐かしんでいる。
「平らげしは二十歳頃までの歯よ」:二十歳をはたちと読んでもかなり字余りに
なる。「歯」はなくてもいいように思う。

3. 匕首を腰だめにして突いてくる敵(かたき)討ちなら業物(わざもの)でこよ 蔦の道
浄瑠璃のシーンであろうか。敵をうつ方が匕首を腰のところに構えて突っかかる。
敵とみなされた側は落ち着いている。敵をうつなら匕首などを使わず、優れた刀工の
鍛えた切れ味するどい刀を使えよと応戦。

4. 絶対に妻を殴ったりせぬといふかたき決心或ることののち  ひさお

5. 鍬を打ちかたきカタキと杉菜掘る根の土払い畑を均す   ひらら
杉菜が畑に生えるとやっかいだ。根こそぎ引っこ抜くこができない。それで
鍬を使って掘り起こす。
「かたきカタキ」と表示を替えて工夫をしている。杉菜を取り除きたい強い
意思が感じられる。

6. 本を読むかたきとるがに懸命に学生時代の悲しき記憶  ひろゆき
学生時代には読みたくても本を読める状況ではなかった。戦後日本が高度
成長時代に入る少し前の苦しかった時代であろうか。その時の敵をとるように
今は読書に励んでいる。
「悲しき記憶」だから、日本の全土にみられる苦しみではなく、作者の個人的な
なにか悲しいことがあったことを想定させる。しかしそのことは読者には分からない。

7. 息子(こ)を奪いし憎っくきかたきとよぶ我とたった二人の姑の臨終   フミコ 
息子を姑に奪われたと作者は感じ、姑をかたきと呼んでいた。息子が作者の
きらっていたおばあちゃん子になったことを言うのか。
その姑が臨終を迎えたとき、そこには作者とその姑の二人だけがいた。
作者の姑への悪しき感情はそのとき解消されたのであろうか。 そこまでは
分からない。

8. 肩を叩かれながらジッと見る娘がくれたのは「かたき券」   ゆき
作者は娘に肩を叩いてもらっている。娘が「かたき券」をくれたので、
これはなんだろうとじっと見ている。「かたき券」とはなにか?

9. かたきやとかって悩みし人らいま親交あるを思いて眠る  さらら
昔はいがみ合って敵と思い悩んでいた人が、何人かいて、今ではその人たちと
親交している。その長い人生のさまざまな人との交流に思いを馳せて、今日は
安らかに眠りにつきましょう。敵と思っていた人たちもそれぞれ長生きしておられる
ようだ。
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