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6/11 題詠「接待」・鑑賞&批評「グレー」
投稿日 | : 2020/06/05(Fri) 08:54 |
投稿者 | : フミコ |
参照先 | : |
♪ 「たどたど」スケジュール ♪
R・02.06.11 (木)
題詠 「接待」
鑑賞&批評 「グレー」
出題当番 ひららさん
鑑賞詠草 「グレー」
1. ギザギザのスプーンを不思議がるほどに食べなくなったグレーぷフル-ツ たかし
2. 黒白を決めかねること世に多し死刑廃止はグレーと思ふ ひさお
3. ワンピースにチャコルグレーを選りしより双子の一人パステルカラー着ず ひらら
4. あと幾年グレーの空が覆いいる日米首脳に交代なければ ひろゆき
5. 背もたれをこぼれて車窓の風まとうグレー・ヘアーはたぶん寝ている フミコ
6. 石積んでゐる子はグレー早死にし賽の河原の日溜まりの猫 ウプラ
7. 日が沈みグレーの庭に友が来て新玉と紅のなでしこ呉れる さらら
Re: 6/11 題詠「接待」・鑑賞&批評「グレー」
投稿日 | : 2020/06/11(Thu) 12:41 |
投稿者 | : フミコ |
参照先 | : |
1. ギザギザのスプーンを不思議がるほどに食べなくなったグレーぷフル-ツ たかし
先に切れ込みのあるグレープフルーツスプーン。
なんでこんなのが家にあるの?と言う位、食べて無いなぁ最近。
そこから先への想像の発展を読者に求めていないと感じる歌。
数多流れ去る日常に埋没する微細な非日常の発掘と捉えました。
グレープのプだけがぷになっているのは何か意図してのことでしょうか。
目に飛び込んでくる文字の意外性を面白いとは感じました。
2. 黒白を決めかねること世に多し死刑廃止はグレーと思ふ ひさお
黒白はっきりしないこと、はっきりさせないことで保たれる関係というのもある世の中。
死刑廃止の賛否。
作者は一概に賛成とも反対とも言えないと思っている。
罪の有無の原点の追及に間違いがあってはいけないのは勿論だが、いずれも人間の考える事なので思えば恐ろしい事です。
3. ワンピースにチャコルグレーを選りしより双子の一人パステルカラー着ず ひらら
双子の1人はある時、ワンピースにチャコール・グレーを選んだ。
それが殊の外お気に入りで、きっと大人びてレディな気分を味わったのでしょう。
それ以来、ロマンティックなパステル・カラーは一切着ない。
自分の個性とか魅力のひとつを発見したのでしょうね。
おしゃれさん。成長のあかし。
4. あと幾年グレーの空が覆いいる日米首脳に交代なければ ひろゆき
蜜月かと思えるような時代をこえて幾星霜。
揺れ動く日米関係。今まさに爆弾トランプの顔色覗い一喜一憂。
安倍首相はあれでなかなか変幻自在の大タコかも。
爽やかな筈の五月の空も国民の眼には颱風前のグレーに見える。
5. 背もたれをこぼれて車窓の風まとうグレー・ヘアーはたぶん寝ている フミコ
6. 石積んでゐる子はグレー早死にし賽の河原の日溜まりの猫 ウプラ
作者の眼裏に潜んでいて時折ひょいとUPしてくる1枚の絵か写真と見た。
それは色褪せたというよりも初めから色が無かった。
永遠に古ぼけないのである。
そこにいる子をじっと見守る猫はなぜか日溜りに居て子とはおおきく
温度差がある。
作者の精神世界のあり様は探索できないが、なにか懐かしい、見たことのある風景のようにも感じる。
7. 日が沈みグレーの庭に友が来て新玉と紅のなでしこ呉れる さらら
上の句、何か心をひかれる感じがします。
グレーの庭というのがありそうでない意味ありげな雰囲気を醸す。
新玉とは採れたての玉ねぎですね。
なにかおおきなはしょりがあるような感じもします。
(夕暮れ時に、いきなり作者の庭に玉ねぎと撫子を持った友が入って来た)という状況説明を歌に昇格させたのが上の句「グレーの庭」だと思いました。
・鑑賞&批評「グレー」
投稿日 | : 2020/06/11(Thu) 12:06 |
投稿者 | : ひろゆき |
参照先 | : |
1. ギザギザのスプーンを不思議がるほどに食べなくなったグレーぷフル-ツ たかし
グレープフルーツをギザギザのスプーンで削り取って食べたのは何時頃のことだっただろう。懐かしい歌。不思議がるほどに “食べなくなった„ とあり、だれが?との疑問。作者自身であれば「不思議なほどに」でしょう。
2. 黒白を決めかねること世に多し死刑廃止はグレーと思ふ ひさお
他者の命を奪った者に対して当事者の命を合法的に奪う。人間が人間の価値判断をすることの是非。作者はそのことにグレーと思うと。上句は一般的ものごと・出来事。“こと„を「人ごと」では如何でしょう。すべては人間が判断していくことです。
3. ワンピースにチャコルグレーを選りしより双子の一人パステルカラー着ず ひらら
ひとりひとり特長を出そうと。濃い系統のチャコールグレーを着だすとパステルカラーの軟らかい色では満足できなくなり、ましてやワンピース、これこそ私と主張。
4. あと幾年グレーの空が覆いいる日米首脳に交代なければ ひろゆき
5. 背もたれをこぼれて車窓の風まとうグレー・ヘアーはたぶん寝ている フミコ
自家用車の後部座席で窓に寄りかかり、開けた窓からの風をうけてまどろむのは作者の父か母。或いは両親。「たぶん寝ている」が良い。室内のバックミラーから見た光景を慈しんでおられる。
6. 石積んでゐる子はグレー早死にし賽の河原の日溜まりの猫 ウプラ
子がかわいがっていた猫が死んだ。幾日もまだ生きたらなかった猫に墓場、石塔を築いている子の感情を推しはかる。動作・表情、そして流れる親子の時間。子の感情・心はグレーに満つと。
7. 日が沈みグレーの庭に友が来て新玉と紅のなでしこ呉れる さらら
少し薄暗くなったころ、友人が今切ってきたと二色のなでしこをくれた。なでしこの生気の満ちた花色を保つのは短時間で、床の間の花瓶に活けて一夕のなごみにと。
Re: 6/11 題詠「接待」・鑑賞&批評「グレー」
Re: 6/11 題詠「接待」・鑑賞&批評「グレー」
投稿日 | : 2020/06/11(Thu) 11:01 |
投稿者 | : ひさお |
参照先 | : |
1. ギザギザのスプーンを不思議がるほどに食べなくなったグレーぷフル-ツ たかし
今ではこのギザギザのスプーンは何に使うのかと不思議に思うほどだ。以前は
グレープフルーツを食べる時に必ず使っていたのだが。近頃はグレープフルーツ
を食べなくなった。
私もむかしはギザギザのスプーンを使っていた。グレープフルーツは今でもほとんど
毎日食べるがスプーンは使わずに食べている。
2. 黒白を決めかねること世に多し死刑廃止はグレーと思ふ ひさお
3. ワンピースにチャコルグレーを選りしより双子の一人パステルカラー着ず ひらら
ワンピースを着るようになり、少し大人になって、色の好みが変わったようだ。
双子でもまったく同じ色を好むのではないようですね。
4. あと幾年グレーの空が覆いいる日米首脳に交代なければ ひろゆき
作者にとっては、現在の日米首脳はどちらもいい指導者とは言えないようだ。
日本の首相は在任期間が史上最長。アメリカの大統領は再選をねらっている。
「あと幾年・・・・覆うのか」と疑問の形にすべきではないか。
5. 背もたれをこぼれて車窓の風まとうグレー・ヘアーはたぶん寝ている フミコ
窓の開けられる電車に乗っている。前の座席の人のグレー・ヘアーが背もたれ
からはみだし、風になびいている。多分眠っているのだ。
窓の開けられる電車はなつかしい。
「グレー・ヘヤーは・・・」「グレー・ヘヤーの人は・・・」の人が省略されて
いるとみなした。
6. 石積んでゐる子はグレー早死にし賽の河原の日溜まりの猫 ウプラ
この作品をどのように読めばいいのか。自信のある読みはできなかった。
賽の河原の日溜まりにいた猫は早くも死んでしまった。
死んだ子が賽の河原で父母の供養のため石を積んでいる。積んでも積んでも
鬼に壊されるので、その子の心は晴れない。癒されていた猫も死んで
しまったので、その子を癒すものがまったくなくなった。
賽の河原にも心を癒すものがあるのだろうか。
作者の言いたいことはなにか。世の中の不遇な状況に置かれている人々への
対応策は、一時的には有効であっても、いつのまにか立ち消えとなってしまう
ことが多い。真の対策のみられない現状を炙り出した。
7. 日が沈みグレーの庭に友が来て新玉と紅のなでしこ呉れる さらら
夕闇の迫ってきた庭に、友人が採れたての玉ねぎと紅のなでしこを持って
きてくれた。
新玉を採れたての玉ねぎと解釈した。地玉なら玉子だが。
グレーの庭というのは適切な表現ではないように思う。題詠だからそのように
したのかもしれない。
Re: 6/11 題詠「接待」・鑑賞&批評「グレー」
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