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2021.06.17(木)題詠「ソフト」 鑑賞&批評「紫陽花」
投稿日 | : 2021/06/11(Fri) 17:22 |
投稿者 | : ウプラ |
参照先 | : |
2021.06.17(木)
題詠 「ソフト」
鑑賞&批評 「紫陽花」
出題当番 ひさおさん
鑑賞&批評 「紫陽花」
1 紫陽花の一株づつを植え足して十年十色(といろ)なのに みな白 フミコ
2 はにかめる少女のやうに薄紅の萼紫陽花はほころび始む ひさお
3 誕生日に娘のくれし額あじさい地植え六年目も日ごと咲きつぐ さらら
4 紫陽花の朽葉色の束侘ぶごとく菊も過ぎしと花背の媼 ひらら
5 紫陽花のようには変身かなわぬも結句はこちらに変えてください たかし
6 紫陽花のみづみづとまた密密と翅を持たないものの重さに ウプラ
Re: 2021.06.17(木)題詠「ソフト」 鑑賞&批評「紫陽花」
投稿日 | : 2021/06/20(Sun) 22:11 |
投稿者 | : ウプラ |
参照先 | : |
「佇つ」はムードが出やすくて、下手に使うとあまくなるので、その辺は要注意だと思います。
また、「日」と「陽」の使い方も迷いますが、私は今のところ「日」で統一しています。
Re: 2021.06.17(木)題詠「ソフト」 鑑賞&批評「紫陽花」
投稿日 | : 2021/06/20(Sun) 21:53 |
投稿者 | : たかし |
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「佇つ」について、
これは、こういうこと(有名歌人が使っている・・・」があるだろうと思いながら書いたコメントでした。
それで「自分であればこのようには使いたくない」という、限定した言い方のつもりでしたが、やはり差し障りが出てくる。
ただ、ひさおさんの挙げた河野裕子の
▲育つほどいよいよ父に似てきたるもの言はず傍へに佇つ気配まで
これは「傍へに」がその前にあり、いかにも「佇む」が似合います。
これは河野裕子の作品だから、というのでは決してありません。
似合うかどうか、ということです。
しかし、似合ったとしても「自分では使いたくない」ということは変りません。
今月号(6月号)の表紙の裏側(表紙2)の下段「米田登「語感」より、
を読むと、桜木という言葉についてのことが書かれています。
そして、今月号の各人の作品中に「桜木」を使った歌があります。
これはもう、そういったことを楽しんで読むしかないと思いました。
Re: 2021.06.17(木)題詠「ソフト」 鑑賞&批評「紫陽花」
投稿日 | : 2021/06/20(Sun) 21:50 |
投稿者 | : ウプラ |
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「・・・「佇」をたつと読ませて、意図的に使うことがあるのではないか。それが知りたい。」(ひさお)
こんばんは、ひさおさんのコメント、
ここですぐに例をあげることはできませんが、「佇つ」は比較的よく見る当て字で、意図的に使うことはけっこうありますよね。
河野裕子さんの作品は、無言で寄り添うようなニュアンスが出るのでやっぱり「佇つ」がいいですよね。。「立つ」では出ないところ。
たかしさん、どうですか。
Re: 2021.06.17(木)題詠「ソフト」 鑑賞&批評「紫陽花」
投稿日 | : 2021/06/20(Sun) 20:34 |
投稿者 | : ひさお |
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ちょっと休憩 佇 について
この「佇」の字は、読み方としては
佇「ちょ」、佇む「たたずむ」等と読めますが、当て字的に「佇つ」を「たつ」と読んでいるのがあります。
作者も「たつ」として使っているのではないかと思います。
この「佇つ」の語、自分であればこのようには使いたくない。
ウプラさんの作品に対するたかしさんのコメントです。
私もこのコメントに異議はありません。
たまたま河野裕子の作品に次のようなものがあります。
育つほどいよいよ父に似てきたるもの言はず傍へに佇つ気配まで
『体力』の中の作品。私は『たとへば君』に載っていたものを見た。
この作品でも「佇つ」は「たつ」と読ませている。
「立」ではなくて「佇」とした意図があるように思える。
もしそうだとしたら「佇」をたつと読ませて、意図的に使うことがあるのではないか。それが知りたい。
Re: 2021.06.17(木)題詠「ソフト」 鑑賞&批評「紫陽花」
投稿日 | : 2021/06/19(Sat) 18:43 |
投稿者 | : ウプラ |
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こんばんは
たかしさん、ありがとうございました。俄然、「翅をもたないものの重さに」が良いように思えてきました。歌の世界が少しひろがるような気がします。多分「翅を持つものの軽さ」も歌の後ろに生まれるのでしょうね。
このあと、紫陽花が「重たいねぇ」なんて囁き合っている歌もできそうです。
「佇つ」はご指摘の通りだと思います。そういう読ませ方をしないようにいつも気をつけてきたのに、どこか緩んでいるかもしれない。気をつけなくっちゃね。
ありがとうございました。
ところでひららさんの「侘ぶ」はニンベンですよ。
ひららさん、今回の歌の自解をしてくださると嬉しいです。
Re: 2021.06.17(木)題詠「ソフト」 鑑賞&批評「紫陽花」
投稿日 | : 2021/06/19(Sat) 08:03 |
投稿者 | : たかし |
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6 紫陽花のみづみづとまた密密と翅を持たないものの重さに ウプラ
ウプラさん、この歌の最初は、
〇紫陽花のみづみづとまた密密と地に佇つのみのものの重さに
であって、どちらにしようか今も迷っている・・とのこと。
私の感じを言いますと、どちらもあまり勢いよく羽ばたいてはいないが(作品として)、好みとしては「翅をもたない・・・」の方です。
そして、この「地に佇つのみの・・・」
の方ですが、この「佇つ」の語、自分であればこのようには使いたくない。
この「佇」の字は、読み方としては
佇「ちょ」、佇む「たたずむ」等と読めますが、当て字的に「佇つ」を「たつ」と読んでいるのがあります。
作者も「たつ」として使っているのではないかと思います。
Re: 2021.06.17(木)題詠「ソフト」 鑑賞&批評「紫陽花」
投稿日 | : 2021/06/18(Fri) 17:23 |
投稿者 | : ウプラ |
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こんにちは
皆さん、歌評をありがとうございました。
〇紫陽花のみづみづとまた密密と地に佇つのみのものの重さに
迷って「翅を持たないものの重さに」にしたのですが、どちらにしようか今も迷っています。
今回は前もって週明けに、おおよその歌評をまとめておいたのですが、それですっかり安心してしまい、昨夜8時半頃気がついて、それからてんてこまいでした
Re: 2021.06.17(木)題詠「ソフト」 鑑賞&批評「紫陽花」
投稿日 | : 2021/06/17(Thu) 20:59 |
投稿者 | : ウプラ |
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1 紫陽花の一株づつを植え足して十年十色(といろ) なのに みな白 フミコ
十年間毎年1株ずつ、色ちがいの紫陽花を植えたはずなのに、咲いた花を見ると全部白い。あの色この色と迷いつつ植えてきたのに、これって何なのよ。
というところでしょうか。
土壌のペーハーや日照などが影響しているのかもしれませんね。植物の微妙なところ。
若干の失望感や不満足を「なのに みな白」の1字空きの間(ま)で表して軽妙、絶妙。
2 はにかめる少女のやうに薄紅の萼紫陽花はほこ ろび始む ひさお
薄紅の萼紫陽花がはにかむ少女のように初々しく咲き始めた。
萼紫陽花は紫陽花の原種で、紫陽花よりも楚楚とした軽い感じがするので確かに「はにかむ少女」のようです。ひさおさんの花の歌は優しくて繊細。
「くれないの」にしたい気がする。個人的には音的に。
3 誕生日に娘のくれし額あじさい地植え六年目も 日ごと咲きつぐ さらら
鉢植えから地に移して6年、さぞ立派な額あじさいに育っていることでしょう。娘がプレゼントしてくれた花がこんなに立派に育ってくれて、嬉しくてなんだか自慢の紫陽花ですね。
「地植え六年日ごと咲きつぐ」でいいかな。
4 紫陽花の朽葉色の束侘ぶごとく菊も過ぎしと花 背の媼 ひらら
切り取った末枯れた紫陽花の束を手に、その朽葉色の寂寞に心を寄せるように、菊の季節も過ぎたわねぇ、と言った花背の媼よ。
すでに季節は冬。夏の紫陽花、秋の菊、過ぎた花の季節と人生の季節が重なる。
「菊も過ぎしと花背の媼」がすごく良い。静かに華やかな滅び。美しく決まった体言止めだと思う。
前半の力を抜いてすっきりさせると「菊も過ぎしと花背の媼」がより前に出てくれる気がする(贅沢ですが)。
5 紫陽花のようには変身かなわぬも結句はこちら に変えてください たかし
それほど変わり映えしたわけでもありませんが、それでも結句はこちらに変えていただきたいのであります。よろしくお願いいたします。
他の人からみたらほとんど違わないのだろうが、自分としては、変更したい結句なのですね。よくわかります。上句の文語が下句の口語に変わるところ、ぐじぐじと涙ぐましくもやや可笑しい歌づくりの一コマの感じに貢献している。
「変えておきます」もよかったですよ。
6 紫陽花のみづみづとまた密密と翅を持たないも のの重さに ウプラ
Re: 2021.06.17(木)題詠「ソフト」 鑑賞&批評「紫陽花」
投稿日 | : 2021/06/17(Thu) 17:14 |
投稿者 | : たかし |
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鑑賞&批評 「紫陽花」
1 紫陽花の一株づつを植え足して十年十色(といろ)なのに みな白 フミコ
一株ずつ違う色の紫陽花を植えた筈だが、十年経ったら全部が白い色になってしまった。
土の為せる業であろうか。しかしそのようなことに余り頓着しない作者である。「あらま、」という感じで見ている。
2 はにかめる少女のやうに薄紅の萼紫陽花はほころび始む ひさお
薄い紅色の額アジサイが咲こうとしている。いかにも恥じらう少女のような風情だと見る。娘さんを持つ作者。娘を見るようなやさしさがある。
3 誕生日に娘のくれし額あじさい地植え六年目も日ごと咲きつぐ さらら
娘さんが誕生日にと呉れた額アジサイを植えた。花が咲くとそれを呉れた娘さんの心を思う。
うれしい花である。
4 紫陽花の朽葉色の束侘ぶごとく菊も過ぎしと花背の媼 ひらら
この「詫ぶごとく」は、どういう意味なのだろうと考えた。
花脊の媼が「詫びるごとく」に作者に差し出したのが「紫陽花の朽葉色の束」で、
「菊も過ぎ」たのでこんなものしかありませんが・・・というように読んだ。
アジサイの花が終わっても、散ったり落ちたりせずに木に残っているものを束ねたのが「朽葉色の束」なのであろう。
言葉として「詫ぶごとく」は「詫びるごと」がいいのではないか。
5 紫陽花のようには変身かなわぬも結句はこちらに変えてください たかし
6 紫陽花のみづみづとまた密密と翅を持たないものの重さに ウプラ
紫陽花の花はぼったりと重たげである。
「みづみづとまた密密と」は、紫陽花の花に眼を近づけて見た感じである。
下句「翅を持たないものの重さに」は、紫陽花の花のぼったりとした重たい感じからのものであろう。
もしも紫陽花が翅を持って空を飛んだら・・・作者の空想範囲は広い。
Re: 2021.06.17(木)題詠「ソフト」 鑑賞&批評「紫陽花」
Re: 2021.06.17(木)題詠「ソフト」 鑑賞&批評「紫陽花」
投稿日 | : 2021/06/17(Thu) 15:16 |
投稿者 | : さらら |
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1 紫陽花の一株づつを植え足して十年十色(といろ)なのに みな白 フミコ
白色のふうわり丸いあじさいの花 清らかさに足を止め見入ってしまう
2 はにかめる少女のやうに薄紅の萼紫陽花はほころび始む ひさお
萼片 花の外側にあって花弁を囲む部分をよく観察され 薄紅は紫と違い乙女の可憐さ
多種多様な紫陽花に出会える六月 日本は四季があり人々は歌を詠む遺伝子を備える。
3 誕生日に娘のくれし額あじさい地植え六年目も日ごと咲きつぐ さらら
4 紫陽花の朽葉色の束侘ぶごとく菊も過ぎしと花背の媼 ひらら
朽葉色 赤みを帯びた黄色 秋に用いる。菊も過ぎた花背の媼が侘びる如く呟く。
5 紫陽花のようには変身かなわぬも結句はこちらに変えてください たかし
紫陽花のように変身は無理難題 結句はこちらにと容易に変えがたい
6 紫陽花のみづみづとまた密密と翅を持たないものの重さに ウプラ
翅をもたないものの重さに 結句に導く上句の冴えわたる具象に感動しました。
Re: 2021.06.17(木)題詠「ソフト」 鑑賞&批評「紫陽花」
投稿日 | : 2021/06/17(Thu) 15:07 |
投稿者 | : ひらら |
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1 紫陽花の一株づつを植え足して十年十色(といろ)なのに みな白 フミコ
一株 十年 十色の数字が効いている。毎年植え足す プラスプラスの行動の後 すべて白。七色を楽しんでいたであろうに 落胆さ残念さ マイナス感がよく伝わる。
2 はにかめる少女のやうに薄紅の萼紫陽花はほころび始む ひさお
毎日萼紫陽花咲くのを楽しみに見てられてやっとほころび初めた喜びの歌。繊細な感覚がにじんでいる。
3 誕生日に娘のくれし額あじさい地植え六年目も日ごと咲きつぐ さらら
プレゼントの鉢植えの額紫陽花を地に下ろして六年毎年見事な花を付ける。葉を覆うばかりであろう。「も日」はいるかしら。省くと字数もあうが。
4 紫陽花の朽葉色の束侘ぶごとく菊も過ぎしと花背の媼 ひらら
5 紫陽花のようには変身かなわぬも結句はこちらに変えてください たかし
推敲中のこころもち。七化けのようにピシッとはいかぬのか。結句はいかに納まりましたか?
6 紫陽花のみづみづとまた密密と翅を持たないものの重さに ウプラ
「みづみづ」「密密」の繰り返しに 朝露か五月雨をしとどのみずみずしい大きな花まりのあじさい、その上 重いのである。飛べないほどに。茎のしなりまで描いている。「密密」が今のご時世をちょっといい得ていそう。
Re: 2021.06.17(木)題詠「ソフト」 鑑賞&批評「紫陽花」
Re: 2021.06.17(木)題詠「ソフト」 鑑賞&批評「紫陽花」
Re: 2021.06.17(木)題詠「ソフト」 鑑賞&批評「紫陽花」