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4/16 題詠「キャンセル」・鑑賞&批評「夢」
投稿日 | : 2020/04/10(Fri) 09:12 |
投稿者 | : フミコ |
参照先 | : |
♪ 次回・「たどたど」スケジュール ♪
R・02.04.16 (木)
題詠 「キャンセル」
鑑賞&批評 「夢」
出題当番 ウプラさん
鑑賞詠草 「夢」
1. つぎつぎに生まれては消えまた消して今抱く夢は終生の歩み フミコ
2. 落ち着いてるつもりだけれどこのところ夢見が悪いコロナ禍のせい ゆき
3. 明け方の夢の管よりおりてきて昔の犬の鼻濡れてゐる ウプラ
4. 湯上りの2歳児やわき指先でスマホに夢中黙しあやつる さらら
5. 午後おそく開きはじむるユウスゲは伊吹の山の夏の宵の夢 たかし
6. 戦争のことなど何も分からずに兵隊になること夢見ていたり ひさお
7. 夢幾つ放りて征きし特攻生遊就館のセピアの葉書 ひらら
8. 書家の書の「生老病死」写し書き部屋に掲げば夢見のつづく ひろゆき
Re: 4/16 題詠「キャンセル」・鑑賞&批評「夢」
投稿日 | : 2020/04/16(Thu) 13:38 |
投稿者 | : ひさお |
参照先 | : |
1. つぎつぎに生まれては消えまた消して今抱く夢は終生の歩み フミコ
作者はいくつも次々と夢を描ける人。若さがある。うらやましい。
「終生の歩み」とは。終生消すことはないという意味だろうか。
2. 落ち着いてるつもりだけれどこのところ夢見が悪いコロナ禍のせい ゆき
誰でも感染の恐怖を抱いている新型コロナウイルス。率直な気持ちを
述べたものと思う。
「落ち着いてる」というのは話し言葉?
3. 明け方の夢の管よりおりてきて昔の犬の鼻濡れてゐる ウプラ
可愛がっていた犬。夢にその犬が現れて、昔していたように撫でた。鼻が濡れて
いることまで分かったというのは、夢でありながら現実のように感じられる。
「夢の管よりおりてきて」:管から夢がおりてくる。めずらしい表現だ。
管ということでユーチューブ(動画)を連想させる。
4. 湯上りの2歳児やわき指先でスマホに夢中黙しあやつる さらら
「やわき指先」が臨場感があって面白い。触れると画面がどんどん変わる
ので、2歳児も面白くてやめられない。
5. 午後おそく開きはじむるユウスゲは伊吹の山の夏の宵の夢 たかし
伊吹山の3合目のユウスゲ。7月中旬から下旬にかけて夕方咲く。何年か前
滋賀県歌人協会の吟行会があったが、私は残念ながら欠席した。
地元ではユウスゲ祭りが行われるらしい。ユウスゲの咲いている草原を
ネットで見ると黄色のきれいな草原である。実際に見れば暮色の迫る草原
で夢心地になるであろうと思われる。
6. 戦争のことなど何も分からずに兵隊になること夢見ていたり ひさお
7. 夢幾つ放りて征きし特攻生遊就館のセピアの葉書 ひらら
靖国神社の遊就館。その資料の中に特攻生の葉書があり、セピア色に
変色しているのを作者は見た。若くして特攻に散った人たちは、それぞれ
夢をあきらめざるを得なかった。その無念さに思いをいたし、胸が熱くなった。
「夢幾つ放りて征きし」がうまい。
8. 書家の書の「生老病死」写し書き部屋に掲げば夢見のつづく ひろゆき
生老病死と書くことが夢見とつながっているのは何故か。
有名な書家の書を写すということが、普通ではなかなかできないことで、
それを可能ならしめたことが夢のようなのか。
「掲げば」という表現は「掲げれば」とすべきではないか。
Re: 4/16 題詠「キャンセル」・鑑賞&批評「夢」
Re: 4/16 題詠「キャンセル」・鑑賞&批評「夢」
投稿日 | : 2020/04/16(Thu) 10:37 |
投稿者 | : フミコ |
参照先 | : |
鑑賞詠草 「夢」
1. つぎつぎに生まれては消えまた消して今抱く夢は終生の歩み フミコ
2. 落ち着いてるつもりだけれどこのところ夢見が悪いコロナ禍のせい ゆき
このところ悪夢に苛まれている作者?
作者は心のざわめきを意識して鎮めようとしている。
でも、何となく気持ちの浮遊感が拭えないのを取りあえず「コロナ禍」のせいにして安心しようと試みた…が。
3. 明け方の夢の管よりおりてきて昔の犬の鼻濡れてゐる ウプラ
夢の卵がつぎつぎ下りて来る管をお持ちで。
人間の女性は月に1個づつ卵子が送り出されてくる。可能性が尽きるまでは。
夢の管より下りてきたのはひょっとして作者かしらん?
昔飼っていた犬だったのかも。
何のことだかわかりませんがわかっているような気持になる不思議な歌です。
迷いのない明るい感じがします。濡れている犬の鼻の生命感がいいと思います。
4. 湯上りの2歳児やわき指先でスマホに夢中黙しあやつる さらら
湯上りの、まだ湯気の立っているふわふわの指で夢中になってスマホを操っている2歳児。それを作者が黙ってくるくる拭いてあげている。
作者がタオルであちらを拭き、こちらへ向かせ、人形を操っているように見える風景かとも思いました。
操られているのはスマホでもあり、2歳児でもある。
5. 午後おそく開きはじむるユウスゲは伊吹の山の夏の宵の夢 たかし
夜間登山をされた作者の、目と心を虜にしたユウスゲ。
これを見るために登られたのかも。
幻想的な風景を想像しますが、結句が何となく大雑把というか魅力の伝達が
弱く感じられました。
6. 戦争のことなど何も分からずに兵隊になること夢見ていたり ひさお
当時、男子は小学校入学前から将来は強い兵隊さんになるんだと遊びの中でも兵隊ごっこをしたり、女子も欲しがりません、勝つまでは。などとママゴトの中でも言っていたような思い出があります。
中学以上の少年達はとても凛々しく頼もし気に見えたものです。
それも、広島に原爆が落とされ、東京が焼夷弾の雨を受けるまでの儚い余裕だったと思います。
7. 夢幾つ放りて征きし特攻生遊就館のセピアの葉書 ひらら
游就館や無言館を訪れ、そこに残された品々を目にすれば誰も言葉を失う。
セピア色の変色が時間の経過を雄弁に語っているが、いまだ世界に平和は満たず、数えきれない犠牲のなかの特攻生の若きいのちに思いをはせ立ちすくむ作者。
8. 書家の書の「生老病死」写し書き部屋に掲げば夢見のつづく ひろゆき
人として生まれた者の避けることの出来ない4っつの苦しみ苦労を言う仏教用語を額にして日々心の鍛錬を心がけておられるのでしょう。
心澄む境地にたどりつかれているのでしょうか。
結句の「夢見のつづく」という意味は、未だ憧れの夢の中にあって煩悩の雲の中にいるということか、あるいは夢の内容に及ぶものなのか結句が漫然としていると感じます。
Re: 4/16 題詠「キャンセル」・鑑賞&批評「夢」
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