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1/24 題詠「英」、鑑賞「温」
投稿日 | : 2019/01/18(Fri) 08:59 |
投稿者 | : フミコ |
参照先 | : |
次回 H.31. 1.24 (木)
鑑賞&批評 「温」
題詠 「英」
出題 なかさん
★ ★ ★ ★ ★
1/24 題詠「温」
1. 温泉で肢体を伸ばすバブル世代(ぼくたち)は海の向こうの硝煙知らぬ なか
2. ふところの温かなときそんなことめったになきもあればうれしよ ひさお
3. ひらがなを指に読みゆく小学生石が温いと擦りはじめる (歌碑) ひらら
4. 温かな言葉紡がれ引退す東横綱稀勢の里関 ひろゆき
5. 寒がりのわれに嬉しと「温暖化」 ホール(オゾンホール)の拡大知りて慄く フミコ
6. 温かな出窓に並ぶシクラメンオリヅルランへ朝の水やる さらら
7. 午後からの風は冷たき比良おろし南東の湖水温高ければ たかし
Re: 1/24 題詠「英」、鑑賞「温」
投稿日 | : 2019/01/27(Sun) 17:42 |
投稿者 | : なか |
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ありがとうございました。皆さんからのご意見をいただき、感激しております。
ひさおさんからの「作歌の意図・持論に対し作品はかなり乖離があるように感じました。」「作歌の意図を明らかにしていただいた後、改めて作品を読んでも『なるほど』と感銘を受けないのです。」(作品から作者の苦悩・問題意識が読み取れない。)、というご指摘。私の実力が足りないことの表れであり、多作多読をし、表現方法を学ばなければいけないと反省しています。アドバイスの一つとして、「…ぼくたち…を抜くだけでも歌に広がりと深さがでるのではないかと思いました。ぼくたち…と焦点を絞ることによって逆に自由な鑑賞の選択肢を狭めているように感じました。」というフミコさんからご意見をいただきました。バブル世代を「ぼくたち」と読む「当て字」の扱い方は、その可否も含め検討しなければならないと考えています。
今の私の弱点として、作品に「私性」が明確に表現できない(またはブレてしまう)ことです。暗中模索の状態です。ひろゆきさんが「生きていく価値を何処に求め」るかという一語になかなか到着できないのです。
私は「多面体の自分」を歌で表現できれば、と考えています。今回の歌、ひろゆきさんからのご意見がきっかけで、みなさんから「私が(歌で)すべきこと」をご教示いただきました。歌の成長がすぐにあればいいのですが、成果を出すのに時間がかかります。それまで、生意気な私を見守っていただければ幸いです。
今回、ひろゆきさんが私の思いを書くようにと背中を押してくださったのだと思います。お気を悪くされたのなら、それはすべて私の責任です。お許しください。
Re: 1/24 題詠「英」、鑑賞「温」
投稿日 | : 2019/01/26(Sat) 20:07 |
投稿者 | : ひさお |
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なかさんの真剣な持論を読ませていただきました。
1. 温泉で肢体を伸ばすバブル世代(ぼくたち)は海の向こうの硝煙知らぬ なか
僕たちは、今の世界を何とか現状維持することで精いっぱいです。世界の動き、未来の日本に関心はあります。清濁併せのむことも少しならできます。しかし、声高に、世界の変化を叫んでみたところで、虚無感を感じるだけなのです。なぜか。何も変わらない事実が存在するからです。
若手の歌人は、自身の歌で自らの『生』」を支えています。本来は、「生が短歌を支える」ものなのに。リーマンショック前後の歌には、生きること、生きづらさの歌が多くありました。ホームレス歌人が印象的です。共感できる要素もありました。失われた20年ののち、なんとか持ち直した日本。価値観が多様化し、歌にも多くのテーマが出てきました。「オンリーワンが素晴らしい」と歌っていた流行歌のように。
では、僕たちの世代は何をテーマに詠うのか。今回の題詠は「温」。ならば、僕たち世代、つまり“しんどいけれど、可もなく不可もない、ぬくぬくとした温泉(世界)につかる愚かな世代”を詠んでみようとしたのです。実験作です
なかさんの持論に反論しようという気持ちはありません。立派な
見解ですから。
今回の作品は実験ということですが、作歌の意図・持論に対し作品は
かなり乖離があるように感じました。これは私の読む力の未熟さが
原因とは思いますが。作歌の意図を明らかにしていただいた後、
改めて作品を読んでも「なるほど」と感銘を受けないのです。
(作品から作者の苦悩・問題意識が読み取れない。)
しかし真剣に持論を展開していただき感謝します。
Re: 1/24 題詠「英」、鑑賞「温」
投稿日 | : 2019/01/26(Sat) 16:29 |
投稿者 | : フミコ |
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なかさんへ
作者の歌に込められた思想、信念、自解していただき、よくわかりました。
それと詠草を重ね読むとき、私にはそこまで読み込む力がない事はもとより自明の理なのですが、自解文をさらに読んでみた時、作者の位置を明確に想像できなかったことの一つに()付けで、…ぼくたち…とありました。これを私はバブル世代全体をひっくるめた一括りと捉えたわけです。そのことに、バブル世代と言われる後進とともに就業していた一時代には感じなかった違和感をもったのです。彼らには嵌め込むことの難しい自由な発想がありました。
歌に戻って、…ぼくたち…を抜くだけでも歌に広がりと深さがでるのではないかと思いました。ぼくたち…と焦点を絞ることによって逆に自由な鑑賞の選択肢を狭めているように感じました。 (えらそうな事を言ってすみません。)
何か言われそうだなぁ…..
なかさんへ
投稿日 | : 2019/01/26(Sat) 13:57 |
投稿者 | : ひろゆき |
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提出歌の歌意をよみました。
前段で、今の自己の位置を述べ、いまの社会は先輩が作った格差社会。
その中で何も変わらない虚無感を綴られている。でもと、あなた方世代を信じる
という言葉は逃げ口上と言われた。じゃぁ社会はどうして続けていけばよいのかと
思う。
後段の「本来生が短歌を支える」べくを「短歌が生を支えている」状況に何をテーマに
すればよいのかという短歌詠みに応えるために「なかの歌」として主張或いは心を詠まれた、
と理解しました。
ただ、もう一度言っておきます。社会を形成していく若い人たち、
つまり後輩、あなたが先輩と言われた言葉に対し、を信じなければ
生きていく価値を何処に求めればいいのでしょうか。
最後に、なかさんが作詠される短歌には思想信条があることだけは
覚えておきたいと思います。
提出歌の背景
投稿日 | : 2019/01/26(Sat) 01:45 |
投稿者 | : なか |
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温泉で肢体を伸ばすバブル世代(ぼくたち)は海の向こうの硝煙知らぬ
いつもお仲間に入れていただき、ありがとうございます。
さて、上記の歌についての思いを述べたいと思います。
ぼくたちの世代は、世間に抵抗することの無意味さを実感し、親父おふくろ世代の苦労を幼心から知り、保護者と自分の老後に一抹の不安を抱え、若手の元気さに物足りなさを感じる世代です。いろいろなことを引き受ける時期。知らないふりをすることで生きていける場面に多く出会います。20代、30代は失敗することを、ことのほか恐れる世代、社会に復帰できなくなると極端に恐れる世代です。
みなさんから「個性に乏しく」「生き方に賛成できかねる歌」との批評をいただきました。その通りです。「結局だれの歌なのか」。懸命に生きているふりをする私(たち)の歌なのです。
ひろゆきさんからは、「私はその世代・年齢を信じるよりほかない、それなりの知識、考えを持っていると信じています。ですから今をどのように生きるかは肉親と言えど犯罪=他者への生死にかかわらなければ貧困のどん底を歩もうが勝手なことだと思っています。」と書いておられました。
あえて抵抗します。「ちょっと待って?僕らの世代は人生の先輩方が作った社会の中で生きてきたんですが……」と。「真剣に生きてきて、結局、格差社会?じゃあ、何も知らないふりして、平均的な意見が言える生き方のがいいかも」とも。「私はその世代・年齢を信じるよりほかない、なんて。信じるという言葉は、最高の逃げ台詞だよ」と。
僕たちは、今の世界を何とか現状維持することで精いっぱいです。世界の動き、未来の日本に関心はあります。清濁併せのむことも少しならできます。しかし、声高に、世界の変化を叫んでみたところで、虚無感を感じるだけなのです。なぜか。何も変わらない事実が存在するからです。
若手の歌人は、自身の歌で自らの『生』」を支えています。本来は、「生が短歌を支える」ものなのに。リーマンショック前後の歌には、生きること、生きづらさの歌が多くありました。ホームレス歌人が印象的です。共感できる要素もありました。失われた20年ののち、なんとか持ち直した日本。価値観が多様化し、歌にも多くのテーマが出てきました。「オンリーワンが素晴らしい」と歌っていた流行歌のように。
では、僕たちの世代は何をテーマに詠うのか。今回の題詠は「温」。ならば、僕たち世代、つまり“しんどいけれど、可もなく不可もない、ぬくぬくとした温泉(世界)につかる愚かな世代”を詠んでみようとしたのです。実験作です。
皆さんからの批評について、返事が遅くなり申し訳ございませんでした。お許しください。また、この長文はじめ、この文面について、皆さんからのご批判は受けなければならないとも理解しています。
Re: 1/24 題詠「英」、鑑賞「温」
投稿日 | : 2019/01/25(Fri) 11:07 |
投稿者 | : ひさお |
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2. ふところの温かなときそんなことめったになきもあればうれしよ ひさお
たかしさんの批評
それはそうでしょう。同感ですが、これ、「ふところが今日はあたたかこんなことめったになきも・・・・」というような現実のスタイルにも出来ると思う。
原作では「・・とき」とされていて、一首すべてが夢想の歌になっていて、そこは弱いと思ったのです。
ひろゆきさんの批評
作者も含めそれぞれの感覚。上句、とき・こと、と二重写しのようです。ふところの温かなときめったになきときどきでもいいあればうれしい゛
たかしさんの批評は「夢想」より現実のことにした方が、訴える力が
強いということ。たしかに一般的にはそのように言えると思います。
今回の作品は、内容が「ふところ具合」に関することなので、現実
のことにするより、夢想にして微笑ましくしておいた方がいいようにも
思われます。
現実的な作品にすると次のようになります。
「ふところが今日は温かこんなことめったになきよ梅のほころぶ」
ひろゆきさん
わざわざ推敲していただきありがとうございます。それによると
「ときどきでも」など、あまりおもしろくない表現があるので
ちょっと採用し難く思います。
Re: 1/24 鑑賞「温」
投稿日 | : 2019/01/24(Thu) 20:20 |
投稿者 | : ひろゆき |
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私の歌
たかしさんへ いうまでもなくご存じでしょうと思いますが、紡がれたのは稀勢の里
紡いだのはファン。短歌理解・鑑賞はフミコさんのホールも同じ。寒暖に関係するホールは
オゾンホールと限定は無理でしょうか。ひさおさんがフルネームでもよいのではと言っておられます。
私も迷いました。
戻って、東横綱とは言わないほうがとひさおさんの指摘。在位12場所中東正横綱にあつたのは引退
の場所だけ?だつたような記憶で。昇進の次の時にあったかもしれません。安易ですが、短歌としては
許されるのではと勝手な理屈。時事詠失格かも。
なかさんの歌 上句鑑賞・評が抜けました。交戦・戦争。外国のこと、われ関せずと今を優雅に生きる。
その事を結句につなげて。
Re: 1/24 題詠「英」、鑑賞「温」
投稿日 | : 2019/01/24(Thu) 19:17 |
投稿者 | : たかし |
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1/24 題詠「温」
自分の歌は棚に上げて、勝手な批評、感想を書きます。
1. 温泉で肢体を伸ばすバブル世代(ぼくたち)は海の向こうの硝煙知らぬ なか
「バブル世代」ということは、バブルの時代に青春期を送ったということだろうか。そこはある程度分かるが、その「バブル世代」と書いて「ぼくたち」と読ませるルビを振るのは全く賛成できない。
温泉でのびのびとすることと、海外の戦争とを、対比として結びつけて、歌としているのだが、結局は誰の歌?というような感じ。個性乏し。
2. ふところの温かなときそんなことめったになきもあればうれしよ ひさお
それはそうでしょう。同感ですが、これ、「ふところが今日はあたたかこんなことめったになきも・・・・」というような現実のスタイルにも出来ると思う。
原作では「・・とき」とされていて、一首すべてが夢想の歌になっていて、そこは弱いと思ったのです。
3. ひらがなを指に読みゆく小学生石が温いと擦りはじめる (歌碑) ひらら
「擦り」は「さすり」と読むのでしょうか。
歌碑の彫り込まれた「ひらかな」なので指に読みゆく、なのでしょう。
途中から石の温みに気がつくという変化が面白く、そこのところでなんとか一首になっている感じ。
4. 温かな言葉紡がれ引退す東横綱稀勢の里関 ひろゆき
あれだけ休場ばかりしていて、結局引退してしまったのであるが、
稀勢の里を悪く言う人に出会わない。
人柄なのだと思いました。その辺りのことをていねいに詠われていると感じた。
ただ「紡がれ」は、(誰が?)という疑問はあります。
5. 寒がりのわれに嬉しと「温暖化」 ホール(オゾンホール)の拡大知りて慄く フミコ
一首の意味はよく分かりますが、第二句の「われに嬉しと」の「と」、
これ、何故「と」なのかを考えると、
われには温暖化は嬉しいけれども、オゾンホールが拡大するという深刻な事実が温暖化の向こうにはあることを作者はしっているので、
単純に「われに嬉しき温暖化」とは言えないのだろうと思う。
この歌では「嬉し」と「慄く」とが等分(5:5)に表現されている。
1, オゾンホールが壊れても、寒がりの私には冬は暖かい方がいい。嬉しい。
2, 寒がりの私には温暖化は嬉しいがオゾンホールが壊れるのなら寒い冬でもいい。我慢する。
このように、どちらかに比重を7:3くらいに詠ったらどうかなと思ったのです。
6. 温かな出窓に並ぶシクラメンオリヅルランへ朝の水やる さらら
「朝の水をやる」この「朝の」に、何か意味はあるのでしょうか。
冬の間はこういう鉢植えには、そんなに毎朝は水はやらないものだと思います。
陽の当る温かい出窓に並べているので、乾燥しているのか。
シクラメン、オリヅルラン、この組み合わせにもあまり意味は感じられない。
そこにあった、というだけの感じ。
結局この歌では「温かな出窓」、こういう(陽の当たる)出窓があり、そこに「(鉢植えを)並べ」ているということに、作者のその「朝」の(いい)気分が(かすかに)感じられる・・・ということであろうか。
7. 午後からの風は冷たき比良おろし南東の湖水温高ければ たかし
Re: 1/24 題詠「英」、鑑賞「温」
投稿日 | : 2019/01/24(Thu) 19:01 |
投稿者 | : ひらら |
参照先 | : |
6.温かな出窓に並ぶシクラメンオリヅルランへ朝の水やる さらら
出窓にさす朝日 シクラメンの花の色 数多の蕾。折り鶴蘭の緑のながい茎。それらに朝の水やりを丁寧にやる。
未だ寒中だが早春のよろこびを感じる。
7.午後からの風は冷たき比良おろし南東の湖水温高ければ たかし
思わず滋賀県地図を頭にめぐらせた。
比良おろしのもとの湖西の地に身を置き 南東の湖を描いた。
比良おろし 南東の湖 ローカルな大切な言葉。
気象の言葉も 地方色 大切。勉強したいです。
Re: 1/24 題詠「英」、鑑賞「温」
投稿日 | : 2019/01/24(Thu) 18:44 |
投稿者 | : ひらら |
参照先 | : |
4.温かな言葉紡がれ引退す東横綱稀勢の里関 ひろゆき
稀勢の里の引退会見を見ての作品。
日本人横綱と祝福され期待された稀勢の里。思えば悲運な横綱であった。
言葉紡がれ と 詠まれた作者。稀勢の里に対する温かな心遣いがあふれる。
5.寒がりのわれに嬉しと「温暖化」 ホール(オゾンホール)の拡大知りて慄く フミコ
寒い寒いより寒がりの私は温かな日が嬉しいのだが それが地球の温暖化につながるのならと 心配であり慄いてしまう。
宇宙規模の関心ごとをわが身に引き寄せる詠い方です。
Re: 1/24 題詠「英」、鑑賞「温」
投稿日 | : 2019/01/24(Thu) 18:26 |
投稿者 | : ひらら |
参照先 | : |
1.温泉で肢体を伸ばすバブル世代(ぼくたち)は海の向こうの硝煙知らぬ なか
バブル世代の僕達 自分を自嘲されているのか揶揄しているのか。程よい温かさの湯に手足を伸ばして
よその国のことはよそ事と過ごしている。
2.ふととろの温かなときそんなことめつたになきもあればうれしよ ひさお
最もの心情である。
「温」以外すべて ひらがな表記は作者のおもわんとする意図があるのでしょうか。
ふところ工合と同じくらい ほのぼの感がにじむようです。
3.ひらがなを指に読みゆく小学生石が温いと擦りはじめる ひらら
Re: 1/24 題詠「英」、鑑賞「温」
Re: 1/24 題詠「英」、鑑賞「温」
Re: 1/24 題詠「英」、鑑賞「温」
Re: 1/24 題詠「英」