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1月16日・お題「吉」 鑑賞&批評「松」
投稿日 | : 2020/01/10(Fri) 09:44 |
投稿者 | : たかし |
参照先 | : |
次回 2020.01.16(木)
鑑賞&批評「松」
お題・・・「吉」
出題・・ウプラさん(不定期=浮遊体)
※ ※ ※ ※ ※
詠草「松」一覧
1、過呼吸にあへぐをんなに渡されしダンボール臭強き海松茶(みるちや)の袋 蔦の道
2、大方の松坂世代引退しかの本人はしぶとく残る ひさお
3、出征の記念と叔父の植えし松ひび割れる皮小さく剥ぎぬ ひらら
4、大門の傍に古木の松ありて父母ありしころ屋根に枝はる さらら
5、松材は木目(もくめ)よろしく艶あれど反りて暴れて加工し難し たかし
6、近隣のただ一軒の門松に愁心の湧く 父母(ちちはは)在る日 ひろゆき
7、この家の暗き階段夏ふかくひつそりとまた松脂を垂る ウプラ
Re: 1月16日・お題「吉」 鑑賞&批評「松」
Re: 1月16日・お題「吉」 鑑賞&批評「松」
投稿日 | : 2020/01/18(Sat) 18:48 |
投稿者 | : ひさお |
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過呼吸にあへぐをんなに渡されしダンボール臭強き海松茶(みるちや)の袋
蔦の道さんが、めずらしく実体験の短歌を出したと思ったら、そうではなかったとのこと。
しかし詠われている言葉から、実体験と読むことは間違いではないと思っています。
実体験でなくても、あたかも体験したことのように詠めるのはうらやましい限りです。でも私はそれを実行したいとは思わない。
Re: 1月16日・お題「吉」 鑑賞&批評「松」
投稿日 | : 2020/01/18(Sat) 13:26 |
投稿者 | : 蔦の道 |
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過呼吸にあへぐをんなに渡されしダンボール臭強き海松茶(みるちや)の袋
実体験ではありません。
映画やドラマでこういう場面があります。
白い袋と茶色い袋があり、茶色は独特な匂いがします。
色からダンボールを連想し匂いも添えました。
現在の医学は、紙袋の効果は否定的のようですね。
「をんな」は旧仮名遣いで書きました。
私の歌は、ほとんどが虚飾と連想と空想から成り立っています。
題詠「松」へのお礼
投稿日 | : 2020/01/17(Fri) 10:48 |
投稿者 | : ひろゆき |
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6人の方から観賞・評をいただきお礼申し上げます。
そのいずれにも「愁心」という語句についてご批評いただきました。
作者としても一番気になってい、種々探しましたが見つけ得ずでした。懐かしさ・深い心情・昔への回顧あるいは言葉・語義などご教示いただきました。
門松は幼松を根から採るということで森林養成のため禁止になり、その後切り取った松へと転換されて今日にいたっているとの私の解釈です。切り取った松は不評で間もなく廃りました。
現在は注連飾りをしている家も数少なくなりました。
余談 ひさおさんの国旗も挙げられるだろうとの予測、ずばりでした。
Re: 1月16日・お題「吉」 鑑賞&批評「松」
投稿日 | : 2020/01/17(Fri) 08:02 |
投稿者 | : たかし |
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5、松材は木目(もくめ)よろしく艶あれど反りて暴れて加工し難し たかし
苦し紛れの詠草になってしまいましたが、好意的な批評いただき
ありがとうございます。
これは、昔、京都で織物に凝っていたとき(仕事は染め物でした)
自分で糸繰り機を作るのに、木材屋さんに行って、
糸繰り機の台座にする木材を選ぶときに、
木材屋さんに言われた言葉、
松は肌がきれいだけれども、よほどしっかりと乾燥していないと
加工している内に暴れる(反り返る)
この言葉を聞いたのに、その松材を、これだけ乾燥していたら
大丈夫だろうと買って、加工したが、やはり、反ってしまって
台座には不向きだったこと、その経験を覚えています。
Re: 1月16日・お題「吉」 鑑賞&批評「松」
Re: 1月16日・お題「吉」 鑑賞&批評「松」
投稿日 | : 2020/01/16(Thu) 20:48 |
投稿者 | : ウプラ |
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この家の暗き階段夏ふかくひつそりとまた松脂を垂る ウプラ
丁寧に鑑賞してくださってありがとうございました。
由緒正しき旧家というようなものではないのですが、建てて130年くらいたっている赤松材の家です。夏の盛りにはいまだに松脂を踏むことがあります。
それぞれ私の気持ちをきちんと汲み取って下さり感謝です。
追加
3、出征の記念と叔父の植えし松ひび割れる皮小さく剥ぎぬ ひらら
切れが活きていないと思い「植えし松の」と繋げてみたのですが、イマイチでした。ごめんなさい。
5、松材は木目(もくめ)よろしく艶あれど反りて暴れて加工し難し たかし
歌の真ん中の「艶あれど」で、次にくるものが予想できてしまうので「艶ありて」に変えてみました。
Re: 1月16日・お題「吉」 鑑賞&批評「松」
投稿日 | : 2020/01/16(Thu) 19:07 |
投稿者 | : たかし |
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1、過呼吸にあへぐをんなに渡されしダンボール臭強き海松茶(みるちや)の袋 蔦の道
過呼吸の症状には、袋を被せるというのはなんとなく知っていた。
しかし、実際にそうした体験も、そうした事をしている人を見たこともない。
渡されたのが段ボール臭強い海松茶(色)の袋であるという。
これは、以前に見たことのある歌、
…熱発で寝ていたら、夫がおでこに冷たい濡れた布を載せてくれた。
よく見ると、それは台所のぞうきんだった…というのと同じで、笑わせる。
これは紙袋なのだろう。作者の実体験のような気がする。
「をんな」だが、自分のことをこのように呼んでいるのだとすると、
「をんな」は、「われ」と同じく一人称ということになるのか?
どうなのだろう?
「をんな」と言ったことで、ユーモアのある歌であるのに
無条件に笑う歌ではないような感じがある。
2、大方の松坂世代引退しかの本人はしぶとく残る ひさお
これは野球の松坂大輔のこと。
松坂は高校野球のときから大注目されて、鳴り物入りでプロ野球に入り、
アメリカの大リーグでも活躍したが、肩・肘を壊して大リーグでの活躍は
長くは続かなかった。
そして、日本に帰ってきて、それこそしぶとくプロ野球で活躍している。
松坂世代で今も活躍しているのは藤川くらいか。
「しぶとく」は全くこの言葉通りで、この歌は成功している。
3、出征の記念と叔父の植えし松ひび割れる皮小さく剥ぎぬ ひらら
出征の時に叔父さんが植えた松、
この下句の「ひび割れる皮小さく剥ぎぬ」は、現在のことだろう。
植樹する松の木というのは、まだ若い木だろうから、
皮(樹皮)もひび割れるほどの堅さはない。
いま、叔父さんの植えた松は老樹となって、皮も固く、ひび割れているのだ。
ただ、この下句の作者の動作「ひび割れる皮小さく剥ぎぬ」
は、叔父さんを偲んでいるのだと思うのだが、「小さく剥ぎぬ」
だけでは、作者の心が分かりにくい。
4、大門の傍に古木の松ありて父母ありしころ屋根に枝はる さらら
作者の生家であろう。大門というから大きな門があった。その大門の傍に
古木の松があって、その枝が屋根に掛かっていた・・・
多分、見事な枝振りであったのだと思う。
この家は今もあるのだと思うが、その古木の松はもうないと思う。
私も子供の頃毎日のように上った柿の木が、もう枯れて今はない。
この歌は、その家と古木の松の説明に終わっている感がある。
むしろ、父母に焦点をあててみてはどうかと思った。
〇大門の傍の古木の松の枝屋根超えていし父母若かりし
などと・・・
5、松材は木目(もくめ)よろしく艶あれど反りて暴れて加工し難し たかし
6、近隣のただ一軒の門松に愁心の湧く 父母(ちちはは)在る日 ひろゆき
作者のご近所には門松を立てている家が一軒ある。
その門松を見ると、愁心が湧くという。
この「愁心」は、どういう意味だろう。「しゅうしん」と読める。
「愁」は「愁い」で、「心」と続くので「うれいの心」と読める。
「懐かしさ湧く」などだったら、私などはよく納得できるのだが、
作者の思いはそうではないのだろう。
7、この家の暗き階段夏ふかくひつそりとまた松脂を垂る ウプラ
松材で出来ている階段のようだ。
何十年経っても、木は生きていて松ヤニを垂らしたりする。
「暗き階段」、「夏ふかく」、「ひつそりと」、
が、松脂の出る環境を醸し出している。
ひんやりとして薄暗い古い家のたたずまいが感じられ、この歌も成功していると思う。
Re: 1月16日・お題「吉」 鑑賞&批評「松」
投稿日 | : 2020/01/16(Thu) 17:12 |
投稿者 | : ひらら |
参照先 | : |
1、過呼吸にあへぐをんなに渡されしダンボール臭強き海松茶(みるちや)の袋 蔦の道
過呼吸以下結句まで しんどい言葉が連なり並ぶ。袋の臭い 色まで。辛かったことでしょう。
2、大方の松坂世代引退しかの本人はしぶとく残る ひさお
松方選手への応援歌 エールととって読んでいるのだが しぶとく残る は やや批判的なのかしら
3、出征の記念と叔父の植えし松ひび割れる皮小さく剥ぎぬ ひらら
4、大門の傍に古木の松ありて父母ありしころ屋根に枝はる さらら
父母の家 大門を構えた旧家。樹齢を重ねた立派な松。枝ぶりが浮かぶ。当主の父上はさぞかし大切に手入れをなされてたことでしょう。
5、松材は木目(もくめ)よろしく艶あれど反りて暴れて加工し難し たかし
松材の長所短所をよく見てられる。体験から自ずと生まれる言葉である。反りて暴れてに 苦心のようすがよくわかる。
6、近隣のただ一軒の門松に愁心の湧く 父母(ちちはは)在る日 ひろゆき
父上母上のいらした頃 作者の少年か若い頃 ご近所の門松に思いがいろいろあったのでしょう。愁心 の言葉に深い心情かこもっている。
7、この家の暗き階段夏ふかくひつそりとまた松脂を垂る ウプラ
大きな古い家 階段は家の真中にある。照明も今のようにはなく薄暗い。蒸し暑い夏 松脂が吹き垂れている。舞台装置 松脂の発見観察 佳作。
Re: 1月16日・お題「吉」 鑑賞&批評「松」
投稿日 | : 2020/01/16(Thu) 16:36 |
投稿者 | : さらら |
参照先 | : |
。平常でない過呼吸にせわしく荒い息づかいの女性に渡された匂いのきつい海松色を帯びた茶色の袋 息苦しい時の強烈なにおいの袋 。いかにも耐えがたい状態。
2、大方の松坂世代引退しかの本人はしぶとく残る ひさお
時の流れの世代交代の現状に 松坂本人はマイペースで普通に活動している。
3、出征の記念と叔父の植えし松ひび割れる皮小さく剥ぎぬ ひらら
出征された叔父様と松と関連性70年経ても古木となり存在する立派な松
ひび割れを剥ぎながら叔父さんを愛おしみ切なく撫ぜる。
4、大門の傍に古木の松ありて父母ありしころ屋根に枝はる さらら
5、松材は木目(もくめ)よろしく艶あれど反りて暴れて加工し難し たかし
器用な作者も木材により見かけはよろしくとも 加工になると思うようには
いかないと嘆く。
6、近隣のただ一軒の門松に愁心の湧く 父母(ちちはは)在る日 ひろゆき
最近門松などは見かけなくなった。近隣の一軒のみの門松に物寂しく
父母の健在なる時期には どの家の玄関にも家にふさわしく飾られていたのに
昔を回顧する。
7、この家の暗き階段夏ふかくひつそりとまた松脂を垂る ウプラ
夏ふかく ひっそりとが際立って魅力的な表現。薄暗い階段より猛暑の時期になると
松脂が垂れる 人間と同様に酷暑を耐えているのだろう。
Re: 1月16日・お題「吉」 鑑賞&批評「松」
Re: 1月16日・お題「吉」 鑑賞&批評「松」
Re: 1月16日・お題「吉」 鑑賞&批評「松」
Re: 1月16日・お題「吉」 鑑賞&批評「松」
投稿日 | : 2020/01/16(Thu) 15:08 |
投稿者 | : ウプラ |
参照先 | : |
1、過呼吸にあへぐをんなに渡されしダンボール臭強き海松茶(みるちや)の袋 蔦の道
過呼吸の発作に以前は紙袋で対処したらしい。その袋の色が海松茶でダンボール臭かった、という作者の発作の時の体験と読んだ。
「過呼吸にあへぐをんなに」・「に」が二つ近い位置にあってこの歌の場合は気になる。どちらかを変えたい。
「過呼吸にあへぐをんな」・・・過呼吸の発作に苦しむ自身に何か屈折感や小さな悪意を感じている言い方のように感じた。
袋を渡したのが、医療関係者かあえぐ女か、「に」に一瞬迷った。
2、大方の松坂世代引退しかの本人はしぶとく残る ひさお
「かの本人」とは莫大な契約金で大リーグ移籍したが、以来どこか歯車が狂ってしまい、悪夢のように低迷している松坂大輔投手のこと。「しぶとく残る」ことを支えているのは自負心と・・・何だろうか。松坂本人の表情は淡々としている。評価を望むこととは別次元の精神性を感じる。
常人でない<しぶとさ>に感嘆する作者。
3、出征の記念と叔父の植えし松ひび割れる皮小さく剥ぎぬ ひらら
「ひび割れ」という言葉の厳しさから推して、出征された叔父上は亡くなられたのだろう。「出征の記念に叔父の植えし松の皮のひび割れ小さく剥ぎぬ」ではいかがでしょうか。
4、大門の傍に古木の松ありて父母ありしころ屋根に枝はる さらら
「大門」というのが島原大門のことなら「島原大門(おおもん)」と振り仮名するのが良いと思う。それとも「父母ありしころ」というのだから、作者の実家の家には大門と呼ばれる門があったのだろうか。
さりげなくて素人離れした巧い歌。
5、松材は木目(もくめ)よろしく艶あれど反りて暴れて加工し難し たかし
日曜大工で松材(黒松や赤松)を使って何か作ろうとしたのか、大分苦労したらしい。
「松材は木目(もくめ)よろしく艶ありて反りて暴れて加工し難し」ではいかがでしょうか。
6、近隣のただ一軒の門松に愁心の湧く 父母(ちちはは)在る日 ひろゆき
父母がまだ存命だった昔、近所に1軒だけ門松を飾る家があって、それを見た時、門松を立てる余裕のない我が家の暮らしぶりに悲しみの気持がわいた、と解釈しました。
漢字の「憂」は心配や悩みが主である場合、「愁」は嘆きや悲しみが主である場合と辞書にある。「愁」の字は配慮のある選択だと思った。
「ちちはは在りし日」と過去形に。
「愁心」は造語らしい。「愁い」と普通にした方がよい。しかし、「父母の貧しき(貧しき父母の)・・・」とすれば、自ずと愁の心は出るかとも思う。
7、この家の暗き階段夏ふかくひつそりとまた松脂を垂る ウプラ
鑑賞&批評「松」
投稿日 | : 2020/01/16(Thu) 13:46 |
投稿者 | : ひろゆき |
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1、過呼吸にあへぐをんなに渡されしダンボール臭強き海松茶(みるちや)の袋 蔦の道
苦悩、痛みに遭遇している私になお重ねて”ダンボール臭強き„と色まで合わせて渡された袋。「苦」は引き続いて起こる、重ね重ね続くということであろうか。
2、大方の松坂世代引退しかの本人はしぶとく残る ひさお
他の同世代は退団もしくは退団せざるを得なかったが、最初の球団が多少の宣伝臭と価値を求めてくれる
限り、かつての夢の実現と再起の機会としてのチャンス到来に応じた。”かの本人は„は呼ぶのはかって、私は私と。
3、出征の記念と叔父の植えし松ひび割れる皮小さく剥ぎぬ ひらら
叔父が自分の出征の記念にと自身で松を植えて出征した。その松の幹が大きくなってひび割れを起していたのでその部分を剥いだ。”剥いだ„という感触に戦後75年の叔父と松への思いがこもる。
4、大門の傍に古木の松ありて父母ありしころ屋根に枝はる さらら
自宅又は寺社なのか。父母のご存命の時は屋根を突き抜けて枝が張っていた。だが今はない。枝が突き抜けたことによる門の修理または改築による古き良き時代を歌う。
5、松材は木目(もくめ)よろしく艶あれど反りて暴れて加工し難し たかし
材木として、木の製品として艶があるが真っすぐに伸びた材がなく、その木製品としての加工が難しいと下句に。実際に松製品は脂が出たり、皮をつけてこその価値もそこからひび割れを起す。難しい材である。
6、近隣のただ一軒の門松に愁心の湧く 父母(ちちはは)在る日 ひろゆき
7、この家の暗き階段夏ふかくひつそりとまた松脂を垂る ウプラ
上句より倉庫もしくは納戸の階段かと推測され、夏最中覗くとただただ汗かくごとく松脂を垂らしていた。”また„がよく効いており、生きて存在していることを告げる。