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2022.10.27(木)(題詠「時」・ 鑑賞「曲」
投稿日 | : 2022/10/21(Fri) 08:59 |
投稿者 | : フミコ |
参照先 | : |
2022.10.27 (木)
題詠 「時」
観賞 「曲」
出題 たかしさん
鑑賞「曲」
1. まっすぐな柿の木はない木登りを教わりし柿の木も曲がりいし たかし
2. 直角を簡単に描ける曲尺(かねじゃく)を実務で使ふ現場今や見ず ひさお
3. 先代より受け継ぎし尺(さし)と真鍮の曲尺(かねじゃく)をもつ若き棟梁 ひらら
4. 図らずもわが人生の七曲がり可否混交のひと世と括る フミコ
5. つつまれてとてもしずかな足の指しろいさなぎのやうに曲がつて ウプラ
6. 口論に君は山道の七曲りに降りろと言いて黙すドライブ さらら
Re: 2022.10.27(木)(題詠「時」・ 鑑賞「曲」
投稿日 | : 2022/10/28(Fri) 19:54 |
投稿者 | : ウプラ |
参照先 | : |
つつまれてとてもしずかな足の指しろいさなぎのやうに曲がつて ウプラ
ご批評ありがとうございました。
さすがに女性は皆さん「足の指」という言葉に対して、ぴったりの反応をしてくださいました。これって多分、男性とは少し異なる女性のエロスが若干含まれてます。
先週の
洗はれて寂しいほどに清潔なパジャマにつけるわたしの匂ひ
は、さららさんの感想を読んで、おっ、「シーツ」がいいなぁと気がついて
洗はれて寂しいくらゐ清潔なシーツにつけるわたしの匂ひ
とすることにいたしました。有難うございました
Re: 2022.10.27(木)(題詠「時」・ 鑑賞「曲」
投稿日 | : 2022/10/28(Fri) 10:43 |
投稿者 | : ひさお |
参照先 | : |
2. 直角を簡単に描ける曲尺(かねじゃく)を実務で使ふ現場今や見ず ひさお
曲尺の現物を何年も前から見なくなってしまいました。もう使われなくなったのかと思ってしまったのですが、ひららさんの詠草やたかしさんのコメントによると、今でも結構使われているのですね。私の行動範囲が狭くなっただけでしょうか。父親の道具箱の傍にはいつも曲尺があったので子供のときにはよく手にしました。
家の新築は、加工されてきた材木が現場で組み立てられるので、大工さんが曲尺を現場で使っているのは先ず見られません。建築業界の変革も影響しているようですね。
ご批評ありがとうございました。
Re: 2022.10.27(木)(題詠「時」・ 鑑賞「曲」
Re: 2022.10.27(木)(題詠「時」・ 鑑賞「曲」
Re: 2022.10.27(木)(題詠「時」・ 鑑賞「曲」
投稿日 | : 2022/10/27(Thu) 21:27 |
投稿者 | : ひらら |
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1. まっすぐな柿の木はない木登りを教わりし柿の木も曲がりいし たかし
実景と実体験。上句で柿の木の様子を三句以下で柿の木を登った自身を詠まれている。柿の木の枝振りは登りやすかったなぁ。さくい、もろいから気を付けてと父か見上げて声をかけてくれていた。4人きょうだい、長女姉の
私は柿の実の取り役だった。
2. 直角を簡単に描ける曲尺(かねじゃく)を実務で使ふ現場今や見ず ひさお
大工さん、職人さんは多分今も具体的な仕事の現場では曲尺、使ってられるが、現場は囲われていて見にくいのだと思う。普通です家にもあった。
3. 先代より受け継ぎし尺(さし)と真鍮の曲尺(かねじゃく)をもつ若き棟梁 ひらら
4. 図らずもわが人生の七曲がり可否混交のひと世と括る フミコ
人生を振り返ると七曲りのよう、よしあし混じりあいだった。半生を見極めてられて諦観の境地の今の作者。
5. つつまれてとてもしずかな足の指しろいさなぎのやうに曲がつて ウプラ
白足袋、白ソックスなどの中の足の指。家で素足でいるときの外は人々にあまり見せない。「しろいさなぎ」の比喩がか佳。繭のよう。故多賀高明氏が美人は足の指、爪まで惚れ惚れさせる。きれいなんだよ。と、よく言われてた。田舎育ちのわが足、くろくて、恥じていた。
6. 口論に君は山道の七曲りに降りろと言いて黙すドライブ さらら
楽しいはずのドライブ、気まずいひとこま。
私は運転している時、助手席の夫があれこれ指図すると、運転者が主人なのあれこれ言わないで、降りてと道路脇にしばしば停めた。
ささらさんはどんな情景だったのだろう。
口論、七曲り、黙すドライブ、雰囲気、気持ちが伝わってくる。
Re: 2022.10.27(木)(題詠「時」・ 鑑賞「曲」
Re: 2022.10.27(木)(題詠「時」・ 鑑賞「曲」
投稿日 | : 2022/10/27(Thu) 20:17 |
投稿者 | : ウプラ |
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まっすぐな柿の木はない木登りを教わりし柿の木も曲がりいし たかし
下句の句またがりと8音に妙に惹かれる。地味な内容のときこういう作りにすると、そのあたりの色あいが濃くなるような気がする。ここで覚えて時々使わせてもらっている方法である。
しかしこの歌、上句の断定と下句の子供時代の経験があまりに直線的というか直情的というか、ふふっと微笑ましいものを感じた。
2. 直角を簡単に描ける曲尺(かねじゃく)を実務で使ふ現場今や見ず ひさお
職人の欠かせない道具であった曲尺(かねじゃく)だが、今では機械が全部まかなっていて、職人の出る場所が殆どない。「実務」という言葉がほかでは見たことがなくて独特な感じ。どういう現場なのだろう。
3. 先代より受け継ぎし尺(さし)と真鍮の曲尺(かねじゃく)をもつ若き棟梁 ひらら
こちらは大工の若き棟梁。颯爽とした姿を思い浮かべた。この体現止めは生きていると思う。
「もつ」を「使う」にすると働いている姿が見えてこないか。
4. 図らずもわが人生の七曲がり可否混交のひと世と括る フミコ
振り返ってご自身の人生を「可否混交のひと世と括」っている。この透徹した認識の仕方が気持ちの良いところ。実感のある歌だと感じさせる。
5. つつまれてとてもしずかな足の指しろいさなぎのやうに曲がつて ウプラ
6. 口論に君は山道の七曲りに降りろと言いて黙すドライブ さらら
口論の臨場感に思わず笑ってしまった。こんなところで降りろと言われても黙って乗っているしかない。「七曲り」が効いている。
「君」はなくてもいいような。
「・・・七曲りにて口喧嘩降りろと言われ・・・」とか。
Re: 2022.10.27(木)(題詠「時」・ 鑑賞「曲」
投稿日 | : 2022/10/27(Thu) 19:30 |
投稿者 | : さらら |
参照先 | : |
1. まっすぐな柿の木はない木登りを教わりし柿の木も曲がりいし たかし
男の児は屋根に上ったり 木に登ったりと活発 竹のように真っ直ぐでない柿の木は良い遊びに適している。田舎では好きなだけ柿は頂けましたが 今はお金を出して食べるものになりました。
2. 直角を簡単に描ける曲尺(かねじゃく)を実務で使ふ現場今や見ずおう ひさお
曲尺は最近見たことがない。建築屋に嫁いだ私は自宅を改装するとき大工さんが使っておられたのを目にしたこともありますがサッパリわからない分野です。
3. 先代より受け継ぎし尺(さし)と真鍮の曲尺(かねじゃく)をもつ若き棟梁 ひらら
若き棟梁が必ず身に携えている先代よりの大切な曲尺 頼もしい若者にエールを送る光景。
4. 図らずもわが人生の七曲がり可否混交のひと世と括る フミコ
思いがけず長い人生にも粒々辛苦起伏の良し悪しも綯い交ぜて終わりに近ずく暮らしにも締めくくり まとめること至るのだろう。
5. つつまれてとてもしずかな足の指しろいさなぎのやうに曲がつて ウプラ
足の指はあまり人の目にさらすことなく白くさなぎのようだ
面白い着眼。晩年の96歳の姑の白い足の指が過りました。
南太平洋の島パゴパゴの黒人の足うらの白さも目立ちました。
6. 口論に君は山道の七曲りに降りろと言いて黙すドライブ さらら
Re: 2022.10.27(木)(題詠「時」・ 鑑賞「曲」
投稿日 | : 2022/10/27(Thu) 18:51 |
投稿者 | : たかし |
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鑑賞「曲」
1. まっすぐな柿の木はない木登りを教わりし柿の木も曲がりいし たかし
2. 直角を簡単に描ける曲尺(かねじゃく)を実務で使ふ現場今や見ず ひさお
これ、私も大小2本持っています。大工仕事をするとき必ず使います。
大工さんは今もこれをよく使っている筈ですが、その「現場」は、最近は事故防止のためのネットや、ブルーシートに覆われていて、通りがかりに見るというようなことは出来なくなっている。
昔は大工さんの仕事も、左官屋さんの仕事も、学校の行き帰りによく覗いて見たものです。この歌は「現場」が、いまの人の眼から見えなくなっていることを現す。
わたしらの時代と違って、今の子供たちは、人の働く現場を見る機会が非常に少ない。このことはあまり良いこととは思えない。
ちょっと歌の批評から脱線したかもしれませんが、この歌からそのようなことを思いました。作者の気持ちに添うているかどうか。
3. 先代より受け継ぎし尺(さし)と真鍮の曲尺(かねじゃく)をもつ若き棟梁 ひらら
大工さんの道具は貴重なもので、本来、親方から弟子へ、また親から子へと、受継がれる大事なもの。
その「受け継ぎ」には、信頼と尊敬がなくてはならない。
この若い棟梁、よい仕事をする人だと思います。
4. 図らずもわが人生の七曲がり可否混交のひと世と括る フミコ
「可否混交」よいことと悪いことが入り交じっている。
作者が、自分の人生を振り返ったとき、その幾つもの曲がり角は、良いものもあれば悪いものもあった。
長い人生を振り返っての、ご自身での総括である。
初句の「図らずも」は「思いがけないことに…」の意味があると思います。
この「図らずも」は、まっすぐに歩もうとした人生であったが、図らずも「七曲がり」してしまった・・・という意味だと解釈しました。
ただ歌が「図らずも」の言葉から始まって、この語がどの語に掛かるのか、というところ、可否混交に掛かるのか。
私は七曲がりの方に掛かった方がいいように思ったけれども。
5. つつまれてとてもしずかな足の指しろいさなぎのやうに曲がつて ウプラ
古い中国の「纏足」のような状態が思い浮かんだ。
しかし、作者の足が纏足であるわけはなく、これは「しろいさなぎのやうに」をヒントにして考えれば、包帯で包まれている状態。
つまり作者は足を怪我して、その足全体を白い包帯でぐるぐる巻きに包まれている。
治療を誰かに(看護師さんか?)してもらって、怪我をした後のちょっと神妙に、ちょっと慎ましく、ちょっとしんなりしている作者を思う。
6. 口論に君は山道の七曲りに降りろと言いて黙すドライブ さらら
こういうことを気の短い男は言ったりするのです。私はよく分かります。
ただ、本当に車の外に放り出すのではなく、作者もまた実際に降りたりはしていない。
ただ、気まずい沈黙が車内に広がって・・・
言葉の順序がこれが最も良いかどうか、と、ちょっと思った。
Re: 2022.10.27(木)(題詠「時」・ 鑑賞「曲」
Re: 2022.10.27(木)(題詠「時」・ 鑑賞「曲」
Re: 2022.10.27(木)(題詠「時」・ 鑑賞「曲」
Re: 2022.10.27(木)(題詠「時」・ 鑑賞「曲」
投稿日 | : 2022/10/27(Thu) 13:00 |
投稿者 | : フミコ |
参照先 | : |
6. 口論に君は山道の七曲りに降りろと言いて黙すドライブ さらら
まさか本当に降りないだろうとたかをくくって意地悪をいう彼。
何かのはずみでもなければ降りられない状況。
苦境突破の糸口が見つからない気まずさ。
ここはお互い黙って根比べだ。
一言謝ってしまう勇気…分かっているけれど….お互いに。
すみません。
ページまたがりでコピーミスで欠落していました。
Re: 2022.10.27(木)(題詠「時」・ 鑑賞「曲」
投稿日 | : 2022/10/27(Thu) 12:55 |
投稿者 | : フミコ |
参照先 | : |
1. まっすぐな柿の木はない木登りを教わりし柿の木も曲がりいし たかし
なるほど柿の木は曲がっているのが多いですね。枝も四方から伸びて比較的登りやすい木が多いので木登り練習にはもってこいかもしれませんね。
けれど枝は折れやすいので、柿が貴重な秋のおやつだった頃、柿の実が甘く熟れれば落下事故もよく目にした。
木登りを会得した子は何だか一回り成長したような気分になっていたんでしょうね、多分。いま、木登りをする子を目にすることもほとんどないようです。
2. 直角を簡単に描ける曲尺(かねじゃく)を実務で使ふ現場今や見ず ひさお
曲尺はとっても便利な物だと私の祖父母世代が言っていた記憶はあるけれど、父母世代になると大工さんや和裁師など特殊な職業でしか使われていなかったように思います。
我が家に来た大工さんでも使っていなかったように思うし、私になると何のことやらさっぱり分からなくなって、今や消えかかっている文化の一つになっているのかもしれませんね。
3. 先代より受け継ぎし尺(さし)と真鍮の曲尺(かねじゃく)をもつ若き棟梁 ひらら
結句の「若き棟梁」がピシリと歌を引き締めていると思う。
その棟梁が先代より受け継いだ尺と曲尺を大切にしている。
きっと先代に見込まれて厳しく鍛え上げられたんだろうなと想像させるドラマ性を感じる。作者もこの若き棟梁に信頼感を持って接していたと感じます。
4. 図らずもわが人生の七曲がり可否混交のひと世と括る フミコ
5. つつまれてとてもしずかな足の指しろいさなぎのやうに曲がつて ウプラ
足の指は手とは対照的に多くの時間を靴や靴下、足袋などに覆われ、いかにも深窓の麗人みたいに保護されている。
普段しげしげと観察することは少ないが、色は白いし柔らかいし履き物の影響も受ける。
「とても静かな」「しろいさなぎ」個性的な表現が生きて、個別の生命体のように優雅でもある。
Re: 2022.10.27(木)(題詠「時」・ 鑑賞「曲」