
7/2 題詠「箪笥」・鑑賞&批評「熟」
投稿日 |
: 2020/06/26(Fri) 08:13 |
投稿者 |
: フミコ |
参照先 |
: |
♪ 「たどたど」スケジュール ♪
R・02.07.02 (木)
題詠 「箪笥」
鑑賞&批評 「熟」
出題当番 さららさん
7/2 鑑賞詠草 「熟」
1. 鉢植えの熟したトマトがただ一つ蘊蓄語る近隣の人 ひろゆき
2. 山畑の豌豆熟るる電柵の破れを探す猿の集団 フミコ
3. 青空に熟れ柿ひとつ冷えてゐた梢に雨季の葉はどんじやらほい ウプラ
4. 熟年をこえし八十の友と駆ける「花のいろ」へとランチにむかう さらら
5. 熟れるのを待つのではない夏野菜の胡瓜と茄子は寸法で採る たかし
6. 敗戦後七十五年米軍の基地縮小の機未だ熟さず ひさお
7. 手の甲に赤黒のメモ夜勤終え熟睡の娘居間のソファーに ひらら

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Re: 7/2 題詠「箪笥」・鑑賞&批評「熟」
投稿日 |
: 2020/07/04(Sat) 09:55 |
投稿者 |
: たかし |
参照先 |
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5. 熟れるのを待つのではない夏野菜の胡瓜と茄子は寸法で採る たかし
ありがとうございました。おおむね肯定的な批評をいただき嬉しいです。
小さいけれどもこれは「発見」であると思い、胸を張って提出しました。その辺りをウプラさんに見抜かれて、
「これだけのことを威張って言い放っているようなところが・・・味わい」
と言っていただきました。次も頑張ります。

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Re: 7/2 題詠「箪笥」・鑑賞&批評「熟」
投稿日 |
: 2020/07/03(Fri) 21:25 |
投稿者 |
: ひさお |
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6. 敗戦後七十五年米軍の基地縮小の機未だ熟さず
いろいろご批評いただきありがとうございます。
ウプラさんから
「米軍基地縮小の機は未だ熟さず」としたいと思うがどうだろうというアドバイスをいただきました。
「米軍の基地縮小の機未だ熟さず」
読み比べると、明らかにウプラさんの案が流暢ですね。
そちらにさせていただきます。


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Re: 7/2 題詠「箪笥」・鑑賞&批評「熟」
投稿日 |
: 2020/07/03(Fri) 19:57 |
投稿者 |
: ウプラ |
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〇青空に熟れ柿ひとつ冷えてゐた梢に雨季の葉はどんじやらほい ウプラ
皆さん、ありがとうございました。読みかえしてみたら「冷えてゐた」で切れているような感じになってますね。ちょっとうっかりしました。
〇熟れ柿が梢に一つ冷えてゐた所に雨季の葉はどんじやらほい
といたします。

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鑑賞&批評「熟」 お礼
投稿日 |
: 2020/07/03(Fri) 10:19 |
投稿者 |
: ひろゆき |
参照先 |
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1. 鉢植えの熟したトマトがただ一つ蘊蓄語る近隣の人 ひろゆき
それぞれのご鑑賞・評をありがとうございました。
ほぼ共通して「近隣の人」が硬く、親しみの持てる表現・具体をとのご指摘でした。たかしさんからは”ただ一つであることの蘊蓄か„ さららさんからは対話・絆の幸せを。ウブラさんからは上下句名詞切れで歌がぷつんぷつんと切られていると。
まず結句 “二級建築士„さんとすれば良かったですね。私は通りがかりに外へ出られていたら声をかけられ、急ぎでない限りよく話をするのですが、あまりご近所の方と話をしておられるのを見ません。この建築士さん、トマトとなすびを時季がくれば自分宅(二人)が食べる分をと一鉢だけ作られます。やはり収穫?までに取られることがよくある。なすびは葉でかくすとも。
*鉢植えの熟したトマトのただ一つ蘊蓄語る二級建築士 作業場に掲げられていた。

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Re: 7/2 題詠「箪笥」・鑑賞&批評「熟」
投稿日 |
: 2020/07/02(Thu) 22:11 |
投稿者 |
: ひらら |
参照先 |
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1. 鉢植えの熟したトマトがただ一つ蘊蓄語る近隣の人 ひろゆき
街の人が鉢植えでトマトを栽培。それがよくみのり
薀蓄云々そういう人いますよね。結句 近隣の人。よそよそしく感じるので親しみをこめる言葉がいいのでは。
2. 山畑の豌豆熟るる電柵の破れを探す猿の集団 フミコ
ようやく収穫時になった豌豆の猿よけの電柵の破れを探す猿 さらの知恵が上かも。北山の知人は猿は柵の上からも荒らすのでお手上げと嘆いている。生活の歌。
3. 青空に熟れ柿ひとつ冷えてゐた梢に雨季の葉はどんじやらほい ウプラ
3句迄は作秋の景 か 心象の景か。今年の柿の葉の色が鮮やかに浮かび どんじゃらほい は 今年の柿の色付き みのりへの応援かな。
4. 熟年をこえし八十の友と駆ける「花のいろ」へとランチにむかう さらら
80歳の友同士 ランチに行く。店の名の 花のいろ 駆ける 向かうの言葉の重なりが弾む心にあう。
5. 熟れるのを待つのではない夏野菜の胡瓜と茄子は寸法で採る たかし
朝夕 手をかけて栽培されている夏野菜。子どもの身長の伸びるような思いで朝夕見てられる。愛しい野菜 鋏をいれるのもこころ込められている。
6. 敗戦後七十五年米軍の基地縮小の機未だ熟さず ひさお
敗戦後 75年 75年の数値 具体が 機未だ塾さず に 作者の 読者の気持ちへと続き 嘆きがきわまる。
7. 手の甲に赤黒のメモ夜勤終え熟睡の娘居間のソファーに ひらら

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Re: 7/2 題詠「箪笥」・鑑賞&批評「熟」
投稿日 |
: 2020/07/02(Thu) 21:39 |
投稿者 |
: たかし |
参照先 |
: |
フミコさん、お手数ですが、詠草をこちらに変更してください。
今も欲しいもののひとつに船箪笥ひきだしにはよく切れる小刀など入れ たかし

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Re: 7/2 題詠「箪笥」・鑑賞&批評「熟」
投稿日 |
: 2020/07/02(Thu) 21:05 |
投稿者 |
: たかし |
参照先 |
: |
7/2 鑑賞詠草 「熟」
1. 鉢植えの熟したトマトがただ一つ蘊蓄語る近隣の人 ひろゆき
蘊蓄を語る・・・というと、普通は自慢げに語るのを言うと思います。
だからこのトマトは鉢植えにしては立派なトマトであったと思います。
そうすると「ただ一つ」という言葉が私は気になりました。
「ただ一つ」は、一つしか…無い・・・というような意味にもとれ、
「蘊蓄語る」(自慢げに)というのと、ややそぐわないように感じるのです。
「ただ」は省いて、「鉢植えの熟した大きなトマトひとつ蘊蓄語る・・・」
などとすれば、私の感じた違和感は解消するのですが。
2. 山畑の豌豆熟るる電柵の破れを探す猿の集団 フミコ
豌豆は猿の好物のようです。
私の町内でも、二軒となりの人のソラマメを猿が荒して、憤慨されていました。
で、山畑というのは、どうやって猿の被害から守るのだろうと思いましたが、
電柵というものがあるのですね。
第二句「豌豆熟るる」が第三句の「電柵の」に、切れ目無くつづく感じですが、
ここは「熟れたり」として、一旦、第二句で切ったらどうかなと思いました。
3. 青空に熟れ柿ひとつ冷えてゐた梢に雨季の葉はどんじやらほい ウプラ
「どんじゃらほい」で、ウーンと唸ってしまった。
この「どんじゃらほい」の掛け声は、「森の木陰でどんじゃらほい…」
という童謡にあるのを知っています。
で、この歌で考えると、「梢に雨季の葉はどんじゃらほい」は、
ここでは「どんじゃらほい」は、どっさりとある…という意味に取ってもよいのではないか、と思った。
上句の「熟れ柿ひとつ」だが、この上句は作者の幻想として考えた。
そうしないと、熟れ柿のあるのは晩秋、しかし、この歌の下句は
「雨季」とあるので、今の梅雨の時期だろう。
そうすると、どちらかが現実で、どちらかが幻想なのだと思う。
私は「梢に雨季(今の梅雨)の葉はどんじゃら(どっさり)ほい」
の方を現実で、上句の「青空に熟れ柿ひとつ冷えてゐる」の方は幻とした。
だから、作者は秋の(晩秋の)澄み切った空を憧れとして持っていて、
現実の雨季(梅雨の)今の梢に葉がどっさりとある状態をうっとうしく感じているのかな?
4. 熟年をこえし八十の友と駆ける「花のいろ」へとランチにむかう さらら
八十歳の友と駆けてゆく先は「花のいろ」というレストランなのだ。
そこでランチを取ろうとしている。
「駆ける」があるので「むかう」は、ダブった感じ。
「八十」は言わないといけないのか?と思った。
「熟年をこえ」で、充分であるような気がした。
「熟年を越えたる友と駆けてゆく」と、した方がリズムがゆったりする。
そして下句は「「花のいろ」へとランチをとりに」など。
5. 熟れるのを待つのではない夏野菜の胡瓜と茄子は寸法で採る たかし
6. 敗戦後七十五年米軍の基地縮小の機未だ熟さず ひさお
敗戦後七十五年経つが、米軍基地縮小の機が未だ熟さない・・という。
むしろ周辺の国との関係によって、ますます米軍への依存度が高まっている感じです。
「七十五年」という具体的数字がよく効いて重みをもつ。
7. 手の甲に赤黒のメモ夜勤終え熟睡の娘居間のソファーに ひらら
夜勤のある勤務、看護士さんでしょうか。
忙しかった勤務の状況が、手の甲の赤黒のメモによく表われている。
看護士さんには本当に、いつも頭が下がります。
居間のソファーに熟睡の娘・・下句は倒置されているが、倒置してもしなくてもいいと思った。

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Re: 7/2 題詠「箪笥」・鑑賞&批評「熟」
投稿日 |
: 2020/07/02(Thu) 21:02 |
投稿者 |
: ウプラ |
参照先 |
: |
やみくもに今日もぶつかる一途さの箪笥にごんとルンバは呼ばる

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Re: 7/2 題詠「箪笥」・鑑賞&批評「熟」
投稿日 |
: 2020/07/02(Thu) 20:59 |
投稿者 |
: ウプラ |
参照先 |
: |
1. 鉢植えの熟したトマトがただ一つ蘊蓄語る近隣の人 ひろゆき
「近隣の人」は漠然としているので「隣の親父が」とか「二丁目の佐藤さん」とか具体的にした方が良くないか?そうすると関係性が近くなって、知ったかぶりの蘊蓄に辟易している感じや、ひょっとしたら、微笑ましくも思っている感じが出てくるように思える。
上句、下句共に名詞で切れていて、プツンプツンした感じ。
2. 山畑の豌豆熟るる電柵の破れを探す猿の集団 フミコ
知能がありながら野性がむき出しになっているようで、人間に近ければ近いほど、この「猿の集団」は怖い。
イノシシなどとは受ける印象が異なる。
「破れを探す」という動詞にもその手強さがでている。
3. 青空に熟れ柿ひとつ冷えてゐた梢に雨季の葉はどんじやらほい ウプラ
4. 熟年をこえし八十の友と駆ける「花のいろ」へとランチにむかう さらら
「駆ける」が良いと思った。心意気のようなものが伝わる。「花のいろ」という固有名詞も活きている。
「友と駆け」として「る」はない方がよいと思える。
5. 熟れるのを待つのではない夏野菜の胡瓜と茄子は寸法で採る たかし
確かに「寸法で採る」のであるが、これだけのことを威張って言い放っているようなところが、読者の私にとってはこの歌の味わいだ。
こういうふうに、ただそれだけのことを歌にしていくと、ある割合で不思議な面白さを感じさせる歌ができてくるらしい。
6. 敗戦後七十五年米軍の基地縮小の機未だ熟さず ひさお
七十五年たっても機は熟さず、軟弱地盤の美しい辺野古の海に、一体、杭をどれだけ打つというのか。<悔い>を打つに等しい。機は熟すことがあるのか。
というような思いを読者に味あわせ、静かに詠われている。
「米軍基地縮小の機は未だ熟さず」としたいと思うがどうだろう。
7. 手の甲に赤黒のメモ夜勤終え熟睡の娘居間のソファーに ひらら
娘の職業を看護師と読んだ。
手の甲に残る赤と黒で書いたメモが、そのまま職場の緊張を伝える。「赤黒のメモ」の「赤黒」が濡れた血の色と乾いた血の色を思わせ、生命を扱う現場の印象を強めている。うっかりミスが許されない医療の現場だ。その緊張感と夜勤明けの熟睡の弛緩を母が見守っている。

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Re: 7/2 題詠「箪笥」・鑑賞&批評「熟」
投稿日 |
: 2020/07/02(Thu) 18:52 |
投稿者 |
: さらら |
参照先 |
: |
1. 鉢植えの熟したトマトがただ一つ蘊蓄語る近隣の人 ひろゆき
この春はコロナのためステイホームが長期間続き鉢植えの夏野菜を目にする。
赤く熟したトマトに昂る人と近所の人の明るい対話 人との絆の幸せ。
2. 山畑の豌豆熟るる電柵の破れを探す猿の集団 フミコ
知能の優れる猿 食べごろの豌豆を人間の目をかすめ思案する猿の軍団
山畑に精進してなる豌豆を横取りされては悔しい。
3. 青空に熟れ柿ひとつ冷えてゐた梢に雨季の葉はどんじやらほい ウプラ
昨年の秋のある日青空に熟れた真っ赤な柿が冷えてなるのを見上げていた。
その柿の木の梢には葉が雨に濡れ今はどんじゃらほいと揺らいでいる。
4. 熟年をこえし八十の友と駆ける「花のいろ」へとランチにむかう さらら
5. 熟れるのを待つのではない夏野菜の胡瓜と茄子は寸法で採る たかし
夏野菜の収穫おのおのが一番良い時期に己の判断で採る。とても喜びの瞬間
野菜の命を頂く自然の恩恵を感謝しつつ。
6. 敗戦後七十五年米軍の基地縮小の機未だ熟さず ひさお
75年の歳月が経過していても沖縄の地は米軍の基地に覆われている。
かって米軍兵士は人を見れ殺せと教育され 沖縄の人たちは虫けらのように犬死された。
7. 手の甲に赤黒のメモ夜勤終え熟睡の娘居間のソファーに ひらら
手の甲のメモに娘さんの仕事に取り組む姿勢がリアルに心を打つ。
ソフアーに夜勤終えの娘の熟睡の寝顔をジーっと見つめる母親の優しい眼差しを思う。

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Re: 7/2 題詠「箪笥」・鑑賞&批評「熟」
投稿日 |
: 2020/07/02(Thu) 18:36 |
投稿者 |
: たかし |
参照先 |
: |
今も欲しいもののひとつは船箪笥ひきだしにはよく切れる小刀を入れ たかし

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Re: 7/2 題詠「箪笥」・鑑賞&批評「熟」
投稿日 |
: 2020/07/02(Thu) 15:32 |
投稿者 |
: フミコ |
参照先 |
: |
1. 鉢植えの熟したトマトがただ一つ蘊蓄語る近隣の人 ひろゆき
いますね、そういう人。
つかまったら運の尽きぐらいに私などは思います。
マンションぐらしの土いじりって感じ。
近隣の人…硬い感じ。日頃、お付き合いのあまりない人なんでしょうね。
やっと熟れたたった一つのトマト。
農業をマスターしたような充実感があるのかも。
2, 山畑の豌豆熟るる電柵の破れを探す猿の集団 フミコ
3, 青空に熟れ柿ひとつ冷えてゐた梢に雨季の葉はどんじやらほい ウプラ
熟れた柿と雨季の取り合わせで解釈に迷いました。
雨季を単純に梅雨だと思ったので。
梢に熟れていた冷え柿はある日の作者の寄る辺ない気分?
どんじゃらほい…飛んでる感じで面白かったです。
4 熟年をこえし八十の友と駆ける「花のいろ」へとランチにむかう さらら
初句と八十の重複が気になりました。
駆けるはドライブですね。「花のいろ」はレストランの名前。
うきうきした感じは伝わります。
八十の友達とランチに出かけた、ある明るい日。
5. 熟れるのを待つのではない夏野菜の胡瓜と茄子は寸法で採る たかし
とてもよくわかります。
私も大体そうです。でも、言葉にしたことはないのではっとしました。
売るためではなく自分が食べる基準で収穫するということは、おおよそ猿
クンとわれら、そう遠くない。
6. 敗戦後七十五年米軍の基地縮小の機未だ熟さず ひさお
基地問題、かぁっと昂りを見せたり鎮火の様相をみせたりしながら75年経過した。
機は何時、誰が見定めるのだろうか。
駐留軍の滞在費用まで出せと言う大統領が出現している現代、先は五里霧中。
7. 手の甲に赤黒のメモ夜勤終え熟睡の娘居間のソファーに ひらら
看護師の娘さん。
夜勤明けの充実感、もろもろの疲労を消化するための昏睡に近い熟睡中。
娘さんの手の甲に残る赤と黒の油性マジックのメモ。
(メモは昭和の中期以降、だれが発明したのか掌に書くようになり、それがあっという間に看護界に広まり、いつのまにか手の甲に書くようになった。見る機会が多く、忘れ落としが少なくて合理的。油性なので落ちにくく、予定のある時はとても焦る。いっときも気を抜けない激務の残骸が息づいている。
娘の体調を気遣いつつそっと見守る母の目を、細かい観察に感じます。
「熟睡の娘」と「居間」の間に(は)を入れてはいかがでしょうか。
……熟睡の娘(こ) は 居間のソファーに

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Re: 7/2 題詠「箪笥」・鑑賞&批評「熟」
投稿日 |
: 2020/07/02(Thu) 15:24 |
投稿者 |
: フミコ |
参照先 |
: |
大姑(おおはは)の触れさせざりし姫箪笥カラクリ戸棚に壱圓札(いちえん)遺る フミコ

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Re: 7/2 題詠「箪笥」・鑑賞&批評「熟」
投稿日 |
: 2020/07/02(Thu) 14:42 |
投稿者 |
: ひさお |
参照先 |
: |
仙台の長持歌は婚礼の箪笥かつぎ唄祝ひて愛し ひさお

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Re: 7/2 題詠「箪笥」・鑑賞&批評「熟」
投稿日 |
: 2020/07/02(Thu) 14:38 |
投稿者 |
: ひさお |
参照先 |
: |
1. 鉢植えの熟したトマトがただ一つ蘊蓄語る近隣の人 ひろゆき
自分で鉢植えしたトマトが実った隣人の喜びが「蘊蓄語る」によく
表されている。
「近隣の人」というのがよそ行きのような感じを受けて、面白くない。
「隣りのおやじ」くらいの親しみのある表現にしてはどうか。
2. 山畑の豌豆熟るる電柵の破れを探す猿の集団 フミコ
初夏の山の畑。豌豆が実った。野獣被害を防止するため電柵が
設置されているが、賢い猿は集団でやってきてその破れを探す。
二句切れだが、三句へ繋がるようにも思え不安定な感じを受ける。
「豌豆の熟るる山畑に」としてみてはどうでしょうか。
3. 青空に熟れ柿ひとつ冷えてゐた梢に雨季の葉はどんじやらほい ウプラ
3句目までは昨年のこと。4・5句は現在のこと。
昨年の晩秋よく晴れた青空に冷え切った熟れ柿が一つ残っていた。
今この雨季の柿の木の梢には若葉がわれがちにと生い茂っているよ。
「どんじやらほい」は囃子言葉のように感じられ、勢いのいい様子を表し
ていると解した。
4. 熟年をこえし八十の友と駆ける「花のいろ」へとランチにむかう さらら
八十は多分八十歳のことであろう。すると「熟年をこえし」は不要であると思う。
八十歳を超えて駆ける人たちはみな元気なのだ。
駆けてゆく行き先が「花のいろ」。何のためにそこへ行くのか。ランチのため。
「ランチにむかう」は「ランチを食べに」とか「ランチのために」とか目的を
示すようにしたい。
5. 熟れるのを待つのではない夏野菜の胡瓜と茄子は寸法で採る たかし
今熱心に家庭菜園をやっている作者。胡瓜も茄子も種子をとるのでない限り
熟すまでに採らねばならない。作者は食べごろの寸法を決めているのだ。
6. 敗戦後七十五年米軍の基地縮小の機未だ熟さず ひさお
7. 手の甲に赤黒のメモ夜勤終え熟睡の娘居間のソファーに ひらら
娘さんは看護師であろうか。夜勤を終え帰宅後ソファーで寝込んでいる。
その手の甲には仕事のメモが赤と黒で書かれている。
仕事の厳しさが生々しく伝わってくる。

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