タイトル_koujitu

  

近道→東京三ヶ日遠州長浜彦根八日市水口甲南草津大津湖西高島伊香京都千里かつらAかつらB大阪神戸無所属

  • 中野照子中野照子(京都市在住)◆近詠・・・目が冴えて鉛筆を持つ真夜深し私はわたしの世界に入るべく(1511)
  • 小西久二郎小西久二郎(彦根市在住)◆近詠・・・片照りの日に照らさるるえりの竹寂れて再び魚を捕らぬや(1610)
  • 神谷佳子神谷佳子(京都市在住)◆近詠・・・ひと日の日ひと夜の月を送りつつ京の西山稜線穏し(1412)
  • 古木さよ子古木さよ子(浜松市在住)◆近詠・・・わが歌は斎庭(ゆにわ)の空へ立ち上がり月夜に逝きし父母連れてくる(1412)
  • 益永典子益永典子(西宮市在住)◆近詠・・・電子辞書修理中です『大辞泉』抱へてきては閉ぢたり開いたり(1405)
  • 福岡勢子福岡勢子(北秋田市在住)◆近詠・・・抱擁の熱き心を失いて介護の日日に老い人を抱く(1403)
  • 本土美紀江本土美紀江(池田市在住)◆近詠・・・お結びの個別包装の解き方に上手下手ありて私は上手(1411)
  • 西村考史西村考史(大津市在住)◆近詠・・・やあやあと大音声に呼ばわるは欅並木の蝉 応えねば(1410)
  • 前川登代子前川登代子(高島市在住)◆近詠・・・生れくるは男(お)の子なるとう色白き娘の顔に増えたる雀斑(そばかす)(1404)
  • 渡辺秀枝渡辺秀枝(浜松市在住)◆近詠・・・似る人を振り返りみればのっぺらぼう四角い夕日がかぶさってくる(1303)
  • 畑谷隆子畑谷隆子(京都市在住)◆近詠・・・時刻通り走る列車に運ばれてゆくのは不穏な荷物わたくし(1606)
  • 岡田貴美子岡田貴美子(杉並区在住)◆近詠・・・千年杉しみじみ見上ぐ一世紀生きたる母の看取りを終えて(1412)
  • 山田繁寿山田繁寿(清瀬市在住)◆近詠・・・公園に命令形に鳴く鳥の姿は今も見たことのなし(1412)
  • 花田幸子花田幸子(新宿区在住)◆近詠・・・新幹線「さくら」を降りる川内(せんだい)駅 原子力発電所のあるところ(1412)
  • 神山亮神山亮(所沢市在住)◆近詠・・・味醂干ししんなり焙り熱燗の酒を一本雪を見て呑む(1405)
  • 中江博子中江博子(世田谷区在住)◆近詠・・・潮引いて出来る干潟の風景は跣の子供と共に消えたり(1302)
  • 鴻海秀子鴻海秀子(立川市在住)◆近詠・・・金色にかがやく光一株のススキさわさわ風に揺れいる(1401)
  • 鴻海彰子鴻海彰子(京都市在住)◆近詠・・・契約は三月までの保育士の職に就きたり身を引き締めん(1402)
  • 渥美君代渥美君代(浜松市在住)◆近詠・・・この枝を切りたる後のどう動く新芽花芽の出方の迷路(1405)
  • 井口俊枝井口俊枝(浜松市在住)◆近詠・・・われのため初めて夫の買いくれる誕生ケーキは孫の好みを(1405)
  • 小野映子小野映子(浜松市在住)◆近詠・・・チャップチャプ礫島辺にうつ波の音はいにしえの呼吸そのまま(1411)
  • 田島嘉代子田島嘉代子(浜松市在住)◆近詠・・・今日もまた年金減額の書類くる大事にしまう引出し奥に(1408)
  • 尾藤ふみ代尾藤ふみ代(浜松市在住)◆近詠・・・うとうとと眠るまなこにあらわれて双手が動く摘果のしぐさに(1411)
  • 山田和代山田和代(浜松市在住)◆近詠・・・走る走る中学生の運動会前へ前へとのめりて応援(1412)
  • 大野秀子大野秀子(浜松市在住)◆近詠・・・一服と農の合間のわらび取り摘む手弾みぬ新緑の下(1307)
  • 彦坂好夫彦坂好夫(浜松市在住)◆近詠・・・庭仕事今日は妻の麦わら帽少しきつめが強風によし(1309)
  • 村松俊幸村松俊幸(浜松市在住)◆近詠・・・丸っきり散在じゃなかった駅前に「宝くじ号」とある献血車(1402)
  • 大城泰子大城泰子(浜松市在住)◆近詠・・・ひき算は苦手なれども主婦の座の引き際もなく家計簿求む(1501)
  • 野末邦子野末邦子(袋井市在住)◆近詠・・・どの顔も真面目にすます学生写真逝きたる友も並んでる不思議(1501)
  • 金子節子金子節子(浜松市在住)◆近詠・・・「好日」の来ておりポストの横に生う紫式部の花咲く季節(1411)
  • 西尾和子西尾和子(浜松市在住)◆近詠・・・ひとたびも袖を通さぬ着物捨つ一枚ごとに値段の悲鳴(1409)
  • 鈴木郁子鈴木郁子(浜松市在住)◆近詠・・・馥郁の郁とわが名を決めくれたる父逝きし夏 もう七回忌(1411)
  • 古木房子古木房子(浜松市在住)◆近詠・・・三十四度の日差しを受けて梅干しは円やかになり紅の増しくる(1410)
  • 村雲千恵子村雲千恵子(浜松市在住)◆近詠・・・夫の身に異変おこりて娘呼ばんに番号頭よりさっと消えたり(1408)
  • 渥美わか渥美わか(浜松市在住)◆近詠・・・実り田の脇に広々黒光りにわかに増せりソーラーシステム(1501)
  • 中川智子中川智子(浜松市在住)◆近詠・・・木枯らしや母を残して帰る道元日の風音たて通る(1303)
  • 岡本謹子岡本謹子(袋井市在住)◆近詠・・・時どきは家の中にて躓くも未だころばずに不思議のつづく(1407)
  • 小杉雅子小杉雅子(浜松市在住)◆近詠・・・台風は喜雨と鬼雨とのわかれ道おとなりさんからトマトが届く(1410)
  • 鈴木敬之鈴木敬之(浜松市在住)◆近詠・・・「短編の小説重ね自分史を」夢薄れゆくなれど忘れず(1411)
  • 宮地照子宮地照子(浜松市在住)◆近詠・・・もの言わぬ母と二人の病室(へや)に入る白衣の白は夜明けに重なる(1409)
  • 伊藤利依伊藤利依(浜松市在住)◆近詠・・・「五十肩」七十路過ぐも「五十肩」ドクターいわく「一年は覚悟を」と(1410)
  • 鈴木利安鈴木利安(浜松市在住)◆近詠・・・老ひ初めの恋におそるるもの無くば言ひわけもなく泥(なづ)みもなし(1412)
  • 京極スミ子京極スミ子(浜松市在住)◆近詠・・・夏すぎて三十度ならよろしいと十月の朝キャベツの種蒔く(1401)
  • 藤田淑子藤田淑子(浜松市在住)◆近詠・・・ヒメジワが大手を広げて伸びているこれを抜かねば秋蒔きできず(1412)
  • 竹内典子竹内典子(浜松市在住)◆近詠・・・カマタリと呼べばゆるらに翅ひらく杳(くら)き蜻蛉はまこと藤原鎌足(かまたり)(1412)
  • 松田亨子松田亨子(長浜市在住)◆近詠・・・彼岸花咲く秋はきぬ亡き夫の面影忍ぶ銀婚の旅(1412)
  • 橋場冨美子橋場冨美子(長浜市在住)◆近詠・・・手にこぼれ膝にもこぼるる秋の陽よ痛き足ひき庭にいでゆく(1412)
  • 北川三子北川三子(長浜市在住)◆近詠・・・家のまわり畑のまわり日にいく度巡りてわれのひと日はありき(1501)
  • 森千代森千代(長浜市在住)◆近詠・・・庭師よび十六人の手間はずみすがたよき木々眺めやすらぐ(1412)
  • 室谷八重乃室谷八重乃(米原市在住)◆近詠・・・分教場の始業知らせし手振り鐘(りん)今日は媼の熊よけとなる(1501)
  • 光明和香子光明和香子(長浜市在住)◆近詠・・・吾に抱かれ玉音放送聞きし子が早や古希となり外孫も1人(1411)
  • 藤居睦美藤居睦美(長浜市在住)◆近詠・・・娘の墓に供えん菊のふた束の香に包まれてハンドル握る(1411)
  • 箕浦良治箕浦良治(長浜市在住)◆近詠・・・一人居の昭和ひとけたよく動くウサはなけれど越乃寒梅(1410)
  • 廣瀬耐子廣瀬耐子(長浜市在住)◆近詠・・・湯上りに亡夫の靴下履いてみるしんしんと冷える夜空を見つつ(1501)
  • 山田静子山田静子(長浜市在住)◆近詠・・・オペラ座の怪人に似たる今日の月われの貌とも思い仰ぎぬ(1501)
  • 高岡悠紀子高岡悠紀子(大津市在住)◆近詠・・・好きでしたと淡々と言えるわれとなり駅のホームに秋の風吹く(1411)
  • 木村正子木村正子(犬上郡在住)◆近詠・・・密々と植えし杉山吊橋は東海自然歩道たりリュックの人行く(1408)
  • 岩根敏子岩根敏子(彦根市在住)◆近詠・・・秋日和翁媼ら笑まひ集ふ佐和山デイサービスの大きゆりかご湯(1501)
  • 金森崇金森崇(米原市在住)◆近詠・・・久久に逢う人必ず年齢(とし)を聞く言わぬは無礼か言いたくはなし(1411)
  • 村岸千鶴子村岸千鶴子(犬上郡在住)◆近詠・・・事故に遇いし孫の傷と同じ場所に地蔵の額割れいし不思議(1410)
  • 木村諄子木村諄子(長浜市在住)◆近詠・・・藍いろの川淵浮かびぬ亡き母の好みし朝顔望郷の花(1410)
  • 大久保無畏子大久保無畏子(米原市在住)◆近詠・・・ひとり居は無言の問答する生活(たつき)自然相手はむずかしくも楽し(1501)
  • 小谷敏夫小谷敏夫(長浜市在住)◆近詠・・・米原の駅に快速切り離され鈍行四輛湖北路めでゆく(1501)
  • 滝ふみゑ滝ふみゑ(彦根市在住)◆近詠・・・知り人や縁ある人ら八月はわが胸を出入りす無言のままに(1411)
  • 寺村享子寺村享子(彦根市在住)◆近詠・・・どの家も紫苑の花の高々と秋日を受くる沖島歩む(1501)
  • 小島弘子小島弘子(彦根市在住)◆近詠・・・退院の身支度に添え持ちゆけり夫のいちばん好める帽子(1411)
  • 柴田弥藏柴田弥藏(長浜市在住)◆近詠・・・落ちてなほ裏を見せざる桐一葉の矜恃はたして保つやわれも(1411)
  • 三輪幸江三輪幸江(米原市在住)◆近詠・・・罪のよに思いておりし買い菜にいつしか馴れてコロッケを買う(1411)
  • 岩脇知恵子岩脇知恵子(米原市在住)◆近詠・・・全身をまっ赤に染め泣く初孫にあやし疲れぬわれも初ばあば(1501)
  • 澤渡和子澤渡和子(長浜市在住)◆近詠・・・ざっぷりと雨をもらいて立葵日に日に延びゆく青年に似る(1409)
  • 吉田芳子吉田芳子(長浜市在住)◆近詠・・・掃き寄する落葉の下より現れし水仙の葉の濃きみどり色(1401)
  • 長谷川紀子長谷川紀子(彦根市在住)◆近詠・・・土ひもの技会得せし茶わん坂に吾の陶芸の原点のあり(1412)
  • 奥野希子奥野希子(東近江市在住)◆近詠・・・読む書くと外出用のそれぞれの眼鏡を磨き今日の始まる(1501)
  • 寺嶋以ち子寺嶋以ち子(東近江市在住)◆近詠・・・亡き父の紫檀の机戦災のどさくさこえて今ここにあり(1410)
  • 成宮建男成宮建男(米原市在住)◆近詠・・・ゆるやかに時間の過ぎゆく六病棟あと幾許かゆったり歩もう(1403)
  • 河分武士河分武士(彦根市在住)◆近詠・・・洗濯機の不思議な音になじみしに傾きを直し消えてしまいぬ(1501)
  • 谷幸子谷幸子(長浜市在住)◆近詠・・・白ねこのゑさを欲しがる夕まぐれほの暖かく擦りよりてくる(1501)
  • 郡田きよ子郡田きよ子(彦根市在住)◆近詠・・・無花果の初なりは花とききいしも赤らむ三個早もぎて食ぶ(1409)
  • 辻孝辻孝(近江八幡市在住)◆近詠・・・大阪へ昔偲びて尋ねるも下町の長屋跡形もなし(1409)
  • 小椋清子小椋清子(愛知郡在住)◆近詠・・・面影の遠くなりしにまた戻る亡夫(つま)の日記に出会いしひと日(1501)
  • 古澤貞子古澤貞子(東近江市在住)◆近詠・・・濃みどりや淡きみどりの麦生(むぎ)揺らし如月の風は光を連れ来(1405)
  • 佐渡静子佐渡静子(彦根市在住)◆近詠・・・一人居になりて家内の片付かず全てがわれのスペースなれば(1412)
  • 上野よし子上野よし子(犬上郡在住)◆近詠・・・夕焼くる畑に足向きもぐトマトほのかに昼の暑さを含む(1409)
  • 北川満代北川満代(彦根市在住)◆近詠・・・ぬめぬめと雨の紫陽花なめくじを箸にてつまめば震度5なる(1409)
  • 高山正二高山正二(長浜市在住)◆近詠・・・一年振り夫婦と娘と訪ねたり礼も恨みも舐めて返す犬(1410)
  • 細田恵貢子細田恵貢子(彦根市在住)◆近詠・・・部屋に貼る笑顔あふるるカレンダー苛立つ心を慰めくるる(1407)
  • 福本喜美福本喜美(蒲生郡在住)◆近詠・・・餅まきは威勢のよけれ群衆に揉まれて拡ぐる小さき帽子(1412)
  • 石川麻子石川麻子(大津市在住)◆近詠・・・傍らへおしゃべりせんと来給える麻痺あるよう子さんの十二歩(1512)
  • 長岡喜代美長岡喜代美(蒲生郡在住)◆近詠・・・庭に咲く大葉ぎぼうしかの夏に君採りくれし伊吹の山裾(1409)
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  • 中島美佐子中島美佐子(東近江市在住)◆近詠・・・わが植えし葡萄みのりぬひとり穫(と)りひとりほおばる陽のさす縁に(1501)
  • 福原直子福原直子(東近江市)◆近詠・・・プリズムを使ひて遊ぶ子供らのそれぞれの虹ぶつかりてゐる(1412)
  • 茶野輝子茶野輝子(近江八幡市)◆近詠・・・結婚の記念日又も巡り来ぬ小さくもめる日のつながりて(1412)
  • 深井節深井節(東近江市)◆近詠・・・又一つ好きな器のふえし朝ヨーグルト入れ手のひらに包む(1409)
  • 藪紅美子藪紅美子(東近江市)◆近詠・・・安寿とうポータブルトイレいつしかに居室に置くを誰も躊躇わず(1411)
  • 山田實山田實(東近江市)◆近詠・・・不況にて売りそびれし株式を今売りさばかんアベノミクスに(1409)
  • 前川文子前川文子(東近江市)◆近詠・・・馴染みたる舌切雀・桃太郎なくて幼に読みやるグリとグラ(1407)
  • 山岡静枝山岡静枝(東近江市)◆近詠・・・番犬の務め果たして逝くモロの寝顔やすらか秋の風吹く(1411)
  • 荻須喜美子荻須喜美子(東近江市)◆近詠・・・さくらの木伐採されてころがりし持ち帰りたくじりじり近づく(1501)
  • 田附孝子田附孝子(東近江市)◆近詠・・・満天星の真っ赤に続く道をゆく言うべきは言うと心に決めて(1501)
  • 河合久子河合久子(東近江市)◆近詠・・・集団自衛権とはを聞きつつ八歳にて疎開せし頃思い出しいつ(1409)
  • 志井英子志井英子(東近江市)◆近詠・・・諺に長いものには巻かれよと 老いては我に歩調あわせよ(1501)
  • 村田浩子村田浩子(東近江市)◆近詠・・・朝八時放送局とあだ名さるる隣人茄子持ち取材訪問(1411)
  • 柏木秀子柏木秀子(甲賀市在住)◆近詠・・・〈甘おう〉をひと粒口に運べるを撮られてゐたり苺の園に(1406)
  • 絵馬操子絵馬操子(甲賀市)◆近詠・・・葉のすでにあらかた落ちて桜木は筋肉自慢の男のような(1601)
  • 太田澄子太田澄子(甲賀市)◆近詠・・・浸し炒り叩いてこじ開け紋所現れ言ふにはクルミはうましよ(1408)
  • 山本美子山本美子(甲賀市)◆近詠・・・てのひらに「橡の実ですね」と唐突に声掛けられる図書館の径(1501)
  • 藤原政子藤原政子(甲賀市)◆近詠・・・朝顔に宿を貸したる山茶花は葉月の我が家のトーテムポール(1410)
  • 坂上禎孝坂上禎孝(甲賀市在住)◆近詠・・・行く秋の坂を上れば時雨くる団栗三つ掌に湿り持つ(1501)
  • 幅尾茂隆幅尾茂隆(甲賀市在住)◆近詠・・・いさぎよく散りて散り敷く紅葉に山は冬へと重心下げる(1501)
  • 桂歌子桂歌子(栗東市)◆近詠・・・名を聞かずもらいし一株年ごとに庭を狭める昼咲月見草(1409)
  • 八里いよ八里いよ(甲賀市)◆近詠・・・バイクから三輪車へと乗り替えて術後の吾の生業ゆるやか(1501)
  • 田口ふじ江田口ふじ江(甲賀市)◆近詠・・・ともかくも逢いましょうかと喫茶店青葉トンネル合歓の咲く道(1410)
  • 鵜飼洋子鵜飼洋子(甲賀市)◆近詠・・・鹿深(ろくしん)と呼ばるるわが郷土(さと)今もなお鹿の出没遠近に聴く(1412)
  • 木下房乃木下房乃(甲賀市)◆近詠・・・手作りのこんにゃくぐつぐつ煮えている息子にゆだねし修繕のかまど(1501)
  • 北川浩子北川浩子(豊中市)◆近詠・・・紅葉も小春日和も横目にて介護は続く期限なくつづく(1501)
  • 堀井菊野堀井菊野(伊賀市)◆近詠・・・観劇の余韻のこれり夕刻は夫には話しかけずにおこう(9801)
  • 中村宣之中村宣之(甲賀市)◆近詠・・・暖かな日差し受けとめ充電すメガソーラーと猫背のわれは(1606)
  • 若松恭三若松恭三(草津市在住)◆近詠・・・朝のうち用事済ませて昼からは山椒魚になりて潜める(1410)
  • 竹島よし榮竹島よし榮(栗東市)◆近詠・・・糖尿病の猫に注射を打ちくるる孫待ちあぐね夕の門に(1412)
  • 國本恵子國本恵子(草津市)◆近詠・・・サングラスをかける生活に見つけたる紅葉の色の鮮やかなこと(1501)
  • 中西文子中西文子(栗東市)◆近詠・・・むくむくと盛り上がりくる新緑の力瘤見る山の中腹(1407)
  • 田中和美田中和美(草津市)◆近詠・・・韓国の高速道路は巾広く真すぐに長くかなたに続く(9812)
  • 池島修子池島修子(生駒市)◆近詠・・・診療所は鬱の字のごと込み合いて鬱・うつ・うつと診察を待つ(1502)
  • 瀧沢宏子瀧沢宏子(草津市)◆近詠・・・薄明けの空に張り付く寒月は酔いしれたりし昨夜の名残り(1404)
  • 畑世志恵畑世志恵(京都市)◆近詠・・・筍を産み終へたりし竹薮の笹の散る音時雨のごとし(1407)
  • 久保憲明久保憲明(草津市)◆近詠・・・天空に羊の群の広がりて牧人となり眼走らす(1412)
  • 中山久子中山久子(栗東市)◆近詠・・・つぎつぎと咲きてはほつる日日草今年もゆっくり歳を取りました(1501)
  • 杉沢登志子杉沢登志子(草津市)◆近詠・・・マグロちゃんと呼ばれてわれは今日もまたノンストップでクロール泳ぐ(1412)
  • 中島美智子中島美智子(長浜市)◆近詠・・・終戦後も東日本震災後もアンパンマンのテーマは生きる(1401)
  • 河原林智恵子河原林智恵子(草津市)◆近詠・・・捨てられぬベビー服をまた箱に戻せば日脚(ひあし)深く入り来る(1502)
  • 桜木文英桜木文英(守山市)◆近詠・・・「一つ買えば古きは捨てる」と夫の言う逆らう訳ではないのだけれど(1502)
  • 堀青渓堀青渓(大津市在住)◆近詠・・・きみとともに通ひし道を今日もたどる開悟をめざして歩みし道を(1501)
  • 笹川靖子笹川靖子(大津市)◆近詠・・・福島の復興の祈りとどけんとこの年三度「花は咲く」ソロす(1402)
  • 臼田雅子臼田雅子(甲賀市)◆近詠・・・釈迦牟尼佛、遺影の母もふうわりと尖りし今朝の私を包む(1501)
  • 中嶋美津枝中嶋美津枝(大津市)◆近詠・・・次つぎと放映される映像に涙がとまらず高倉健逝く(1502)
  • 谷口雅治谷口雅治(松阪市)◆近詠・・・なにかしら気配はありき窓越しに吾が読む本を覗きこむ猿(1412)
  • 桝谷綾子桝谷綾子(大津市)◆近詠・・・薄ら氷を杖で叩けばよみがえる石投げた子も征きて還らず(1403)
  • 松田武子松田武子(大津市)◆近詠・・・言いし悔い言わざりし悔いとめどなし涼風の庭に草を引きつつ(1412)
  • 山中伸江山中伸江(大津市)◆近詠・・・家いえの庭木芽吹きてわが町はひと回りほどふくらみにけり(1405)
  • 松本増枝松本増枝(大津市)◆近詠・・・すべるなよ朝日観音転ぶなよ夕日観音見守る滝坂(1101)
  • 藤沢和子藤沢和子(大津市)◆近詠・・・落とし物の靴下誰のと尋ぬれば鼻に近づけ友の名当てる児(1505)
  • 澤 初枝澤 初枝(野洲市)◆近詠・・・腹立たしき事ありたれば声あげて謡う事より術はなかりし(1507)
  • 小寺美代子小寺美代子(草津市)◆近詠・・・わが齢米寿となりて祝わるる老友(とも)ら集いて団らんとなる(1506)
  • 清水弘子清水弘子(大津市)◆近詠・・・消費税あげるか延期か知識層の金にこまらぬ激しき討論(1502)
  • 鵜飼京子鵜飼京子(甲賀市)◆近詠・・・まだ日あると思いたりしが弥生なりあかんべしつつ二月は逃げる(1403支社歌会詠草)
  • 島田郁子島田郁子(大津市)◆近詠・・・冬のため備へしならむ秋草の根の堅固なりしじみ蝶飛ぶ(1502)
  • 吉田道子吉田道子(大津市)◆近詠・・・春くれば父の作りしほろ苦きあの蕗の薹味噌の味恋う(1405)
  • 鵜飼武彦鵜飼武彦(岐阜市)◆近詠・・・棚奥に忘れられいし古ニッカ「マッサン」を見て栓を開けたり(1503)
  • 岸田孝子岸田孝子(大津市)◆近詠・・・骨折の夫の体をふきやればナイチンゲールさまと呼ばれぬ(1507)
  • 山木和佐山木和佐(大津市)◆近詠・・・「がんばれ」が「あっぱれ」になるインコいて木枯らし吹くも前向きになる(1501)
  • 中井淑子中井淑子(大津市)◆近詠・・・春からは診察室に出でし孫白衣の姿たのもしく見ゆ(1508)
  • 他谷菊江他谷菊江(大津市)◆近詠・・・青あおと天まで伸びし若竹は下往く人をうっすらと染む(1508)
  • 大江ち江大江ち江(高島市)◆近詠・・・思うれば霜月半ば晩生稲(おくて)刈りしむかしが不意にうかびて来るも(1501)
  • 中川賀津子中川賀津子(高島市)◆近詠・・・小鳥の餌ほどに刻みし糠漬菜夫の朝餉の一品となす(1505)
  • 山下具子山下具子(高島市)◆近詠・・・小芋剥きしごとくに朝の立ち上がる昨夜の失意遠のきいたり(1504)
  • 小川華枝小川華枝(高島市)◆近詠・・・病みしこと苦労せしこと今はただ思い出となる九十六歳(1505)
  • 西崎数子西崎数子(高島市)◆近詠・・・菊かしら野草かしらと挿す床に今菊の体面に咲きそろう野草(1402)
  • 小林鈴子小林鈴子(高島市)◆近詠・・・嫋やかなくびれを持ちます観音と想いて百日紅の木肌なでおり(1502)
  • 西田ふじ子西田ふじ子(高島市)◆近詠・・・蕗の薹の味噌汁好みし茂吉ふと浮かびて昼のこころ晴れゆく(1506)
  • 飯住和子飯住和子(高島市)◆近詠・・・拡がりて揺るるを括るに枯れ菊の残りし色香ややに華やぐ(1503)
  • 小嶋禎子小嶋禎子(高島市)◆近詠・・・聴診器当てるでもなく「のど」を診る事なく薬を貰いて帰る(1502)
  • 井口みよ井口みよ(高島市)◆近詠・・・目の前にそびゆる高曽山は一本の紅葉樹なく緑一色(1503)
  • 高橋静子高橋静子(高島市)◆近詠・・・二十年前バブル弾けて放置されし湿原の真中に朱鷺草なびく(1508)
  • 石田ミドリ石田ミドリ(高島市)◆近詠・・・此の家の五人家族を生活をつばめも巣から観察してか(1508)
  • 藤原幸枝藤原幸枝(高島市)◆近詠・・・庭の木も畑の野菜も生きかえる慈雨とうドリンクたっぷり吸いて(1508)
  • 東條則子東條則子(高島市)◆近詠・・・車内にて新しき男子(おのこ)見つけたり手鏡左に矯めつ眇めつ(1501)
  • 前川千壽代前川千壽代(高島市)◆近詠・・・玉葱を取れば南瓜まくわ瓜夏を育てる畑となりたり(1508)
  • 小川まち枝小川まち枝(高島市)◆近詠・・・刻刻と秋は深まる裏庭の水引草の赤を濃くして(1401)
  • 白井よね子白井よね子(高島市)◆近詠・・・粘りたる柔らかき泥くわえおりツバメの造る漆喰の家(1508)
  • 福原文子福原文子(高島市)◆近詠・・・静脈の血栓除去もかくありぬ湖西道路の事故処理現場(1502)
  • 津田昌壽津田昌壽(高島市)◆近詠・・・ぶな林は秋の日受けて静かなり詩人となりて一人散策(1501)
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  • 粟津久子粟津久子(長浜市)◆近詠・・・だれの許し得て来たのよと逃げる猿へ爆竹片手に柿の木目指す(1501)
  • 桒原しづ子桒原しづ子(長浜市)◆近詠・・・エルニーニョ現象とやら暖冬の気配ただよい大根太る(1604)
  • 中村千恵子中村千恵子(長浜市)◆近詠・・・九百年前の手斧(ちゃうな)や船釘もわが家に残る形と同じ(1604)
  • 岩佐季子岩佐季子(長浜市)◆近詠・・・「僕はね…」と青年のようなる話しぶり盛利さんの在りし日うかぶ(1603)
  • 大橋久美子大橋久美子(長浜市)◆近詠・・・七十年戦争なき世に生かされて宮居の大銀杏しみじみ眺む(1606)
  • 扇龍子扇龍子(松阪市)◆近詠・・・車窓には髪を吹かれて立つ人の見えて停まらぬ駅をまたすぐ(1605)
  • 千葉玲子千葉玲子(京都市)◆近詠・・・白内障手術三日目石塊も輝きて見ゆ蒲公英も咲く(1606)
  • 湊智子湊智子(北秋田市)◆近詠・・・うんふんと鼻でこたえる十七歳この頃心見せずなりたり(1608)
  • 平口明子平口明子(京都市)◆近詠・・・愛知川の「愛(あい)」の字愛し(いとし)永源寺ダムの底なる曾祖母の里(1606)
  • 山田弘山田弘(京都市)◆近詠・・・観音像千一体のその一体に亡き妻の似て刻まれてあり(1605)
  • 永原みつむ永原みつむ(京都市)◆近詠・・・とり出だす木彫りの古きお雛さま遺影の夫のかたわらに置く(1607)
  • 朝子節子朝子節子(京都市)◆近詠・・・嫁らにも夫は年玉やれと言う茶碗洗いをなすのみなれど(1603)
  • 徳田幸枝徳田幸枝(京都市)◆近詠・・・一本のろう梅凛と境内に寒きなかにも心満ちたり(1605)
  • 筈井君榮筈井君榮(京都市)◆近詠・・・身の内の骨を繋げる金釘をわれ果てし後ペンダントにすと息子(こ)は(1601)
  • 沼田享子沼田享子(京都市)◆近詠・・・粳餅黄金餅(こがねもち)三重(みがさ)ね鏡餅供え小金に恵まれますよう(1603)
  • 奥田ユキエ奥田ユキエ(京都市)◆近詠・・・七十年振りの防潮林に松はなし堤防作られやしの木並ぶ(1602)
  • 片田和子片田和子(京都市)◆近詠・・・幾度の診察の上くだされたるその病名はぶどう膜炎(1604)
  • 大久保絢子大久保絢子(京都市)◆近詠・・・葵橋わたりて上賀茂神社横くねくね東へすぐきの畠に(1603)
  • 今井史子今井史子(京都市)◆近詠・・・負の一つある生活(くらし)こそ常なると今日の不満は言わず語らず(1602)
  • 八田弥須子八田弥須子(京都市)◆近詠・・・京・うめづ醸造祖神梅宮大社奉納樽に春日燦燦(1605)
  • 和田康子和田康子(京都市)◆近詠・・・肌寒き午後の野に出て蓬摘む百個の草餅涅槃会に供う(1605)
  • 高橋尋子高橋尋子(京都市)◆近詠・・・老境を強き意志もち暮らせるに屈託一つわれに寄りくる(1606)
  • 酒井れい子酒井れい子(京都市)◆近詠・・・たちまちに音のみ残し遠ざかるポルシェに見とるる老女が独り(1603)
  • 三上まさる三上まさる(京都市)◆近詠・・・咲き初めし梅の香漂う境内に息子らと食む長五郎餅(1604)
  • 水上澄子水上澄子(京都市)◆近詠・・・「上鴨署」風情ある名と思いいしが何時のまにやら「北警察署」(1405)
  • 本庄清子本庄清子(八幡市)◆近詠・・・年齢には勝てぬと思うこと多し物提ぐるときはた歩むとき(1604)
  • 牛尾千代子牛尾千代子(京都市)◆近詠・・・蓮華田を想い出しつつ通り過ぐ休耕田一面今オドリコソウ咲く(1607)
  • 川野なみこ川野なみこ(京都市)◆近詠・・・爆買いに軽侮の響きさはあれど男女格差のなき国の客(1605)
  • 片山晃一片山晃一(京都市)◆近詠・・・愛されし時の釦もまじりいて箱に古りゆく一生(ひとよ)のボタン(1605)
  • 人見よう子人見よう子(京都市)◆近詠・・・暖かい陽差す木椅子に君の影紅葉の彩り深き紅いろ(1602)
  • 吉田博之吉田博之(京都市)◆近詠・・・残雪に雨降る参道凛として建つ永平寺わが立つ寸時(1605)
  • 関口博美関口博美(敦賀市)◆近詠・・・急速に影の領域ましてゆく美術館にビアズリーの絵をみる(1605)
  • 藤戸紀代子藤戸紀代子(三方郡)◆近詠・・・何とかとひねりだすのも縁の下やむなきことも起きてくるもの(1405)
  • 片山正治片山正治(京都市)◆近詠・・・傘寿なるクラスメイトの年増なり絵手紙習ひて紙面をかざる(1605)
  • 大林ヒデ子大林ヒデ子(京都市)◆近詠・・・子と孫と曾孫と揃えば賑やかにお茶はこぼすし枕はとび来る(1402)
  • 嶋田久男嶋田久男(草津市)◆近詠・・・駅なかの立食ひ麺屋の扉開き匂ひがさつと襲ひきたれり(1602)
  • 中井悦子中井悦子(京都市)◆近詠・・・ぷにゅぷにゅのお腹つまめば「やめてんか、あんたと同じ」と言いそうな猫(1607)
  • 村上太伎子村上太伎子(宇治市)◆近詠・・・国策に揺るる葦にや「一人っ子」「二人子」或いは「産めよ増やせよ」(1604)
  • 西方陽西方陽(京都市)◆近詠・・・シワノビール使えばピピッと張り感が、続ければ効果が、個人差あり(1605)
  • 香川ヒサ香川ヒサ(豊中市)◆近詠・・・五十年代描きし映画にダイヤル式電話とタイプライターの音(1604)
  • 川本寿子川本寿子(西宮市)◆近詠・・・手触るればしだれ桜の先っぽに陽の温とさが絡まりており(1407)
  • 西本宥子西本宥子(大阪市)◆近詠・・・巻積雲、鱗、鰯、鯖、あっ甚兵衛鮫の追っ掛けっこ(1407)
  • 廣野智子廣野智子(吹田市)◆近詠・・・帯芯で作りしリュックサックにて衣類と茶碗も入れて帰国せし(1608)
  • 宇水純子宇水純子(寝屋川市)◆近詠・・・早春の空より雪が舞いおちる走れ頬っぺた走れまりちゃん(1603)
  • 福田久子福田久子(枚方市)◆近詠・・・歳末のデパ地下茶房にひっそりと媼四人の味わう蜜豆(1603)
  • 橋田政子橋田政子(高槻市)◆近詠・・・刃あつればたちまちひろがる香気なり小夏につながるふるさとの夏(1609)
  • 谷きよの谷きよの(茨木市)◆近詠・・・「おばあちゃま」言うなり家中かけまわりでんぐり返りに吾を迎うる(0108)
  • 久田泰子久田泰子(豊能郡)◆近詠・・・大人向子供向ある「三四郎」しんと静かな夜がはじまる(1601)
  • 今西早代子今西早代子(甲賀市)◆近詠・・・薔薇の字を確かめ確かめ書いている心に開く真紅の一輪(1603)
  • 丸山由紀子丸山由紀子(豊中市)◆近詠・・・プロ野球全日程表を切り抜きぬ「六甲おろし」口ずさみつつ(1605)
  • 八竹和子八竹和子(箕面市)◆近詠・・・私がいなくとも梅は満開に御玉杓子は蛙になりぬ(1405)
  • 石飛トミ子石飛トミ子(大田市)◆近詠・・・隠れ持つ野生に目覚め満月を獣となりて風の音聞く(1605)
  • 藪野悦子藪野悦子(大阪市)◆近詠・・・初詣一人意気込む深夜二時大阪駅にのけぞる湖西線は動きません(1603)
  • 椿原和子椿原和子(吹田市)◆近詠・・・遠方より来る友あり論語の書と縄文鏃置きてゆきたる(1608)
  • 大谷永安大谷永安(豊中市)◆近詠・・・明治神宮の森の深くに泉あり滾滾(こんこん)と湧く「清正の井戸」(1601)
  • 杉田富士子杉田富士子(京田辺市)◆近詠・・・手術終えし八十四の母に添い語り諭せる八十八の父(1608)
  • 家本文子家本文子(豊中市)◆近詠・・・ダ・ヴィンチのアンドロイドと会話なす自画像通りの髭に包まる(1604)
  • 林慶子林慶子(和歌山市)◆近詠・・・雨のあと強者となる白菜の大きく固く巻きゆかんとす(1601)
  • 麻田貴美子麻田貴美子(豊中市)◆近詠・・・ビルの間に出できし朝日はやもはや中空にあり地球が回る(1605)
  • 髙橋幸子髙橋幸子(和歌山市)◆近詠・・・オバマ氏が広島の地をたづねし日乖離といふ漢字を知りぬ(1609)
  • 木村霞木村霞(吹田市)◆近詠・・・水仙に今日は咲けよとささやけり三日同じき朝のあいさつ(1605)
  • 大藤圭子大藤圭子(吹田市)◆近詠・・・娘が言いし言葉そのまま吾も亡母(はは)に後悔いくつ母思いおり(1609)
  • 髙畑瑤子髙畑瑤子(大阪市)◆近詠・・・子を送り子を迎えたる森の道我が娘の姿は生き生き今も(1605)
  • 麓佳代子麓佳代子(伊丹市)◆近詠・・・「行て帰り」日本語片言可愛くも「いってらっしゃいお早ようお帰り」(1510)
  • 喜多尚子喜多尚子(宇治市)◆近詠・・・手に掛けて掴みて抱えて取り込んだ五人分の干し物を放つ(1609)
  • 橋本八重子橋本八重子(吹田市)◆近詠・・・「号」に呼ぶ冬の強風「番」に呼ぶ春の強風身構え違う(1605)
  • 福間和美福間和美(京都市)◆近詠・・・同室の同じ病の者同士情報交換の夜の洗面所(1803)
  • 四方悠喜四方悠喜(京都市)◆近詠・・・東海地震南海トラフと言はれつつ術なく水を蓄ふるのみ(1805)
  • 中島和子中島和子(京都市)◆近詠・・・コーヒーの香り残して子等帰る暮色の厨にしばし刻過ぐ(1806)
  • 井上和井上和(大津市)◆近詠・・・ひろげたる足指のいづれ吸盤をとりつけ駅の階段くだる(1805)
  • 堺操堺操(京都市)◆近詠・・・幾十年間違いのまま覚え来し 漢字一文字のみにあらずや(1806)
  • 鈴岡徳子鈴岡徳子(京都市)◆近詠・・・東風吹けば鍬打つ音の響き合う鉢の底なるわが集落は(1801)
  • 松原秀子松原秀子(大津市)◆近詠・・・秋の日に古稀の祝いの届きたり「宗薫手銀杏文緞子」の風呂敷(1801)
  • 宮崎慶子宮崎慶子(京都市)◆近詠・・・川瀬に鵜はへの字への字に羽広げ黒き立像陽を浴びており(1802)
  • 横川貴美子横川貴美子(京都市)◆近詠・・・二年まえ贈りしダッフル着てきたる孫と初冬の達磨寺に行く(1802)
  • 吉田邦子吉田邦子(京都市)◆近詠・・・みかん袋にSとMあり迷いつつSを買ったりMを買ったり(1801)
  • 渡辺節子渡辺節子(高槻市)◆近詠・・・床・畳張り替えたり青青と父の遺品の掛け軸を飾る(1806)
  • 辻倉幸子辻倉幸子(京都市)◆近詠・・・店先に棒鱈、数の子並べられ煽られながら年の瀬をゆく(1802)
  • 白井千里白井千里(城陽市)◆近詠・・・無人駅もホームの雪かく人来たりアルピコ鉄道の安全管理(1801)
  • 宇野かず子宇野かず子(京都市)◆近詠・・・古代埋むる地下都市ローマの土かつて踏みしめし吾股関節病む(1803)
  • 三嶋和子三嶋和子(向日市)◆近詠・・・大豆粥おせち白味噌並ぶ日も八時三十分リハビリ開始(1805)
  • 井上三貴井上三貴(宇治市)◆近詠・・・病む夫をわが病む腕に抱き起す他人(ひと)ごとでなき老老介助(1803)
  • 安井容子安井容子(京都市)◆近詠・・・FMを大音量に酔い痴れるガラス割れんかパバロッティの熱唱(1802)
  • 藤井泰子藤井泰子(京都市)◆近詠・・・ざらざらとぶら下がりてつらなりてうからやから 甘藷起こせば(1801)
  • 吉岡順子吉岡順子(京都市)◆近詠・・・二リットルの料理酒買いきてどんと置く使いきりたし時間いっぱい(1806)
  • 川﨑綾子川﨑綾子(栗東市)◆近詠・・・出世とはおおよそ遠き人にして自転車の風にポマード匂いき(1804)
  • 吉村えり子吉村えり子(京都市)◆近詠・・・黒豆を炊くは夫の十八番にてふっくらしわなし手出しはならじ(1803)
  • 山添睦代山添睦代(京都市)◆近詠・・・日の出かと一瞬いぶかる大夕焼け映えばえと照りしづしづと入る(1801)
  • 長谷川昭子長谷川昭子(宇治市)◆近詠・・・父と娘のつなぎたる手に花婿の白き手袋置かるる瞬間(1804)
  • 西風泰子西風泰子(京都市)◆近詠・・・青海波どどーんと北斎崩したりじっと観る眼の奥に富士たつ(1803)
  • 堤純子堤純子(宇治市)◆近詠・・・ひそやかに何処からともなく香のたちて控えめとなる金木犀(1803)
  • 関谷啓子関谷啓子(京都市)◆近詠・・・鈍色のガラス通してオーボエの音色聴きいるカフェ万理小路(1804)
  • 田中典子田中典子(京都市)◆近詠・・・茜さす朝日は樹々に冠を被せて秋色あざらかに見す(1801)
  • 清水泰子清水泰子(宇治市)◆近詠・・・阻むもの何ものもなき瑠璃紺の天上天下冴え渡る月(1801)
  • 新角多恵子新角多恵子(京都市)◆近詠・・・鰯でなく鯛かも知れぬ鱗ぐも半身隠るる山のむこうに(1803)
  • 後藤桂子後藤桂子(京都市)◆近詠・・・糠の匂い3LDKに広がりて初の筍(たかんな)小さきを茹でる(1806)
  • 近藤義江近藤義江(京都市)◆近詠・・・「曽我五郎」若き荒事見得を切る新橋之助の腹据わりおり(1802)
  • 田渕幸子田渕幸子(京都市)◆近詠・・・外壁に春日のさして塗装屋の作業着につくペンキの真白(1805)
  • 仁木淳子仁木淳子(京都市)◆近詠・・・嵐の後御苑歩めば倒木の根を人覗き猫匂ひ嗅ぐ(1801)
  • 佐川真理子佐川真理子(京都市)◆近詠・・・乾きたる言葉で切れて受話器おく今日はたっぷり庭に水撒き(1801)
  • 竹村理子竹村理子(八幡市)◆近詠・・・政党の離合集散今宵また魔女の闇鍋まぜ返されて(1801)
  • 寺田国男寺田国男(京都市)◆近詠・・・こんなにも眩しきものかのぼる陽は 正眼にボール蹴りし日ありて(18053)
  • 角谷喜代子角谷喜代子(高石市)◆近詠・・・美術館の夕さりの小さな庭に向き紅茶飲みおり 石蕗ひかる(1801)
  • 長谷静枝長谷静枝(鳥取県八頭郡)◆近詠・・・駅裏に新居構えて常に聞くジーゼルカーの音にも馴れぬ(1801)
  • 矢原千代香矢原千代香(吹田市)◆近詠・・・目覚むれば一面の雪ゆっくりと足跡つけてごみ捨てにゆく(1804)
  • 松村英子松村英子(米子市)◆近詠・・・何時からかわが心ふわふわ軽くなる何事にもさして動ぜず(1803)
  • 坊城妙海坊城妙海(京都市)◆近詠・・・骨折し明日は手術と迫れるに糠床のかぶら気にする母は(1805)
  • 大石うめの大石うめの(大阪市)◆近詠・・・節分の豆九十六個食ぶるは大変大変ゆっくりかみしむ(1805)
  • 岩間幸子岩間幸子(神戸市)◆近詠・・・栗の皮ひとり厨にむきてをりしばらく古里にこころあづけて(1801)
  • 賀勢田鶴子賀勢田鶴子(高槻市)◆近詠・・・こわさずに置いておこうかベランダの横のくもの巣が朝日に光る(1806)
  • 内田恒子内田恒子(高槻市)◆近詠・・・おっとりと物言う人の花鋏ためらいのなく枝葉剪りゆく(1803)
  • 宇戸孝子宇戸孝子(高槻市)◆近詠・・・絵本のなかのおっとり優しいおばあさんになりたいけれど大声出してる(1802)
  • 坂和生子坂和生子(たつの市)◆近詠・・・わらび蕗こごみぜんまい売られをりすずこはいまだ先のことなり(すずこ=熊笹の竹の子)(1806)
  • 和田真由和田真由(小野市)◆近詠・・・九時を過ぎ宴会終わる忖度とぬるい笑いとお酌ばかりで(1802)
  • 石田昭政石田昭政(神戸市)◆近詠・・・心まで素足になってせせらぎに足をひたせり盛夏の余韻(1801)
  • 丸山世紀子丸山世紀子(神戸市)◆近詠・・・肺炎の横這いとう数値示されて「横這いですよ」と念をおされぬ(1804)
  • 延原佐知子延原佐知子(芦屋市)◆近詠・・・夕光り何におそれる花の道椿の花枝影のひた添う(1805)
  • 横手麗子横手麗子(神戸市)◆近詠・・・固定電話の声のトーンに確かめる生活(たつき)ありよう安堵するなり(1806)
  • 大野洋子大野洋子(神戸市)◆近詠・・・陽光に「もうはるだね」の会話ありあなたを好きか嫌いはもういい(1804)
  • 相馬とみ子相馬とみ子(神戸市)◆近詠・・・名簿には名前はあれども好日誌のどこにも作品があらぬ見つからぬ(1806)
  • 山岡美穂子山岡美穂子(今治市)◆近詠・・・夕陽受け犬との散歩のんびりとどの人も犬も幸せにみえ(1806)
  • 西村恭子西村恭子(大津市)◆近詠・・・甘酒を啜りておれば思い出す生駒あざ美という歌人ありき(0804)
  • 木本洋子木本洋子(近江八幡市)◆近詠・・・今もなお処理方法さえ手さぐりという原発事故の廃炉への道(1805)
  • 濱田啓子濱田啓子(京都市)◆近詠・・・高齢のホームドクターの摺り足にお大事にと声掛け帰る(1804)
  • 樋口淳一郎樋口淳一郎(高松市)◆近詠・・・測量士Kがどこからか現れそう今日は敦賀に雪ふり頻る(1804)
  • 宮田洋三宮田洋三(阿寒郡鶴居村)◆近詠・・・腰痛もホモ・エレクトスなるがゆへ身の丈少し低くなりをり(1803)
  • 若林恵子若林恵子(胎内市)◆近詠・・・わが心病みし記録を君に読む 土蔵の扉を開けるように(1804)
  • 芦谷清子芦谷清子(宍粟市)◆近詠・・・インスタ映えせずともよろし寒き夜は具だくさんなる粕汁つくる(1803)
  • 田渕和子田渕和子(宍粟市)◆近詠・・・薪ストーブ使ふ友よりもらひ来し灰の灰汁煮のこんにやく美味し(1805)
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