刊行年→2020年→2018年→2017年→2016年→2015年→2014年→2013年→2012年→2011年→2010年→2009年→2008年→2007年→2006年→2005年→2004年→2003年
令和3年(2021) |
渡辺茂子歌集『アネモネの風』2021年5月31日・不識書院刊・四六判◆かたくなに人に合はさず帰り来ぬ直立の電柱いくつ数へて |
令和2年(2020) |
河分武士歌集『光陰』2020年4月20日・好日社(宮川印刷)・A5判◆さざなみの湖の夕暮れ色をなし天の声するいのち惜しめと |
森田ひさゑ歌集『薫る風にいざなわれ』2020年3月31日・短歌薫風社(宮川印刷)・A5判◆反りをなし堀へなだるる城壁の石工の妙技伊賀上野城 |
令和元年(2019) |
渡辺茂子歌集『湖と青花』2019年9月14日・不識書院・四六判◆かなしみを研がむと湖に来たる日よ淡き水色のスカーフ巻きて |
小谷敏夫歌集『余呉春秋』2019年5月30日・好日社(宮川印刷)・A5判◆踊る踊るウインナーワルツをパーティに八十四歳誕生日の夜 |
小西久二郎歌集『現代短歌文庫146』2019年9月2日・砂子屋書房刊・B6判◆短詩型に大の男が全力をそそぐは馬鹿な事かもしれぬが |
谷口ゆき歌集『菜の花』2018年2月1日・やすらぎ短歌会(宮川印刷)・A5判◆プランターに目を見張る孫よ大根に声掛け育てし吾の誇りなる |
平成29年(2017) |
瀧沢宏子歌集『風の人』2017年12月1日・青磁社刊・A5判◆差し込める夕日に麦が照らされて穂より光を放ちはじめる |
磯島静江歌集『山に沈む陽』2017年3月31日・短歌薫風社(宮川印刷)・A5判◆足指の爪手入れして紅に染めおんなに少したし算をする |
平成28年(2016) |
小野みち子歌集『土の匂い』2016年8月1日・宮川印刷・A5判◆こつこつとしじま伝うは老鶏の餌を食む音か雪の明かりに |
平成27年(2015) |
岩根敏子歌集『泡(あぶく)』2015年4月20日・サンライズ出版刊・四六判◆たましひはみどりなるべし蛍火の水に映りて水に入りゆく |
橋場冨美子歌集『花いかだ』2015年4月20日・A5判・宮川印刷/好日社刊◆恙なき日々をいとしみ独り湯にもらいし柚子を三つ浮かせり |
高山正二歌集『湖北逍遥』2015年6月25日・宮川印刷・A5判◆季外れの子持諸子を炭火焼湖の恵みに手を合わせたり |
藤沢和子歌集『水辺のあそび』2015年7月21日・四六判・不識書院刊◆「なめのくじ」「あげのちょうちょ」など呟ける児の後になり先になりゆく |
平成26年(2014) |
雨森正高歌集『田舎医者のたはれうた』2014年6月19日・短歌研究社刊・A5判◆騙されぬと言ひしその子もまた騙し送りたるわれ罪深き医師 |
和歌山利三第2歌集『火宅のごとし』2014年6月10日・四六判・サンライズ出版◆真空管四つ点して「玉音」を聞きしは十九歳の我にありしか |
村島典子歌集『地上には春の雨ふる』2014年5月29日・ながらみ書房刊・四六判◆近江より吉野へ鳥よたつべしと花咲くまへの山が呼ぶなり |
川﨑綾子歌集『ガレの耳』2014年4月26日・フランス堂刊行・A5判◆教会の窓のひかりが落とす影 時間(とき)はしずかに床にひろがる |
小川華枝第2歌集『たかしまⅡ』2014年2月25日・A5判・宮川印刷/好日社発行◆軒先の杉玉のみどり褪せそめて城下町にも遅き春くる |
河分武士歌集『夢の山河』2014年3月1日・短歌研究社刊・A5判◆卓上に「詩吟に行きます」メモありて「先に寝ます」をその裏に書く |
柴田弥藏歌集『風狂戯歌』2014年2月10日・短歌研究社刊◆妻留守の堅く閉めあるジャムの蓋女といふは加減知らざり |
平成25年(2013) |
今西早代子歌集『綿雲』2013年7月15日・短歌研究社刊行・四六判◆だしじゃこの頭を残すわが猫も飢えいる子らも青き地球に |
中西時夫第2歌集『杣に生きて』2013年11月1日・短歌研究社刊・A5判◆「誰か来る」杉の高枝の枝打つに下見下ろせばかもしか四頭 |
竹井静歌集『百年の生(しょう)』2013年6月20日・好日社発行・宮川印刷所・A5判◆年の瀬の日暮れは早しコンビニの客の出入りのひと際せわし |
平成24年(2012) |
澤村敦子歌集『常夜灯』2012年12月3日・京都カルチャー出版刊・A5判◆入江跡の常夜灯に今日もたずねくる人あり通り雨にぬれつつ |
西村恭子歌集『花蘇芳』2012年11月21日・不識書院刊・好日叢書・B6判◆ゆったりと南湖をめぐる船の上風に吹かるるむすめとわれら |
押谷盛利歌集『旅』2012年6月20日・シガユウ出版社発行・A5判◆薄紅を点せる桃の実にほひつつ夕餉やすらぐ甲斐の旅路は |
成宮建男歌集『鳰鳥と共に』2012年3月23日・短歌研究社刊・A5判◆昇り来る朝日に向かい生きるため「みんなの体操」足腰鍛う |
平成23年(2011) |
山田實歌集『玉の緒の春秋』2011年11月1日・宮川印刷所・好日叢書・B6判◆蒲生野に生まれ育ちて年老いぬ野守となりて玉の緒の春秋 |
田中ふみ歌集『かたかごの花』2011年7月29日・NHK学園発行・歌樹叢書・B6判◆ひっそりと木洩れ日に咲くかたかごを見つけしときめき人には告げず |
平成22年(2010) |
猪飼愛子歌集『温もり』2010年8月・中村太古舎刊・歌樹叢書・B6判◆教え子は七十四歳なりという信じ難かり顔を見つむる |
吉内尚彦歌集『湖北春秋』2010年6月8日・ながらみ書房刊・地中海叢書・B6判◆伊吹まで続く春野のひろがりをもてなしとして窓開け放つ |
三田村章子歌集『比叡山麓三丁目』2010年4月22日・青磁社刊・新かりん百叢書・A5判◆往き下り帰り上りて日日通るわが坂道の春夏秋冬 |
清水弘子歌集『長等山麓』2010年3月20日・短歌研究社刊・好日叢書・A5判◆ひぐらしの声しずまれる長等山一気に秋の気配につつまる |
藤沢和子歌集『あしたのあしたもあそぼ』1月26日・不識書院刊・好日叢書・B6判◆柔やわの小さき手に手を触れたれば日向ぼこして遊べる心地 |
平成21年(2009) |
中村ケンジ歌集『祖国復帰』2009年8月25日・池端印刷所発行・B6判◆戦争を許さぬ心を持ちて見るオキナワの海の青すぎる青 |
関谷末吉入選歌集『日野川』(投稿入選作品集)2009年5月10日・マルキ印刷刊・B6判◆農をする身でありながら福豆を買ひ来し妻と豆を褒めあふ |
木村正子歌集『惜春』2009年3月20日・短歌研究社刊・好日叢書・A5判◆雷鳴と共に目覚めて本堂を見廻る夫に従いいたり |
小西久二郎歌集『湖への祈り』2009年2月1日・短歌研究社刊・好日叢書・A5判◆ブルーギルに餌を取られず鮒釣るは至難のわざと思ひをりしに |
平成20年(2008) |
和歌山利三歌集『行方』2008年6月15日・文芸社刊・B6判◆名をなさぬ歌人にあれば幸として生き様つづる三十一文字 |
宇野幸男歌集『汀の和音』2008年5月・◆雪どけの墓のめぐりに蕗萌えて安らかならむいもうとの貌 |
平成19年(2007) |
森田茂男歌集『耀う』(写真と短歌)2007年9月1日・宮川印刷刊・A5判◆橋の景橋よりの景展がりて初夏の湖おおらかに見ゆ |
鑓田和子エッセイ集『風のあとさき』2007年8月25日・短歌研究社刊・B6判◆「Ⅰ、エッセイ」と「Ⅱ、歌集評及び一首鑑賞」前半エッセイ、後半は歌集評及び一首鑑賞、師の木俣修の短歌や大西民子の短歌への熱い想い。 |
藤居睦美歌集『北湖のほとり』2007年8月1日・宮川印刷所発行・好日叢書・B6判◆夜八時「捕物帳」を視る夫と歌誌読むわれのそれぞれの刻 |
西村恭子歌集『水辺』2007年7月30日・不識書院刊・B6判◆あたらしきま白き紙をひろげつつ裁ちおれば冬の光あつまる |
佐々木公子歌集『秋桜』2007年3月6日・だるま書房発行・B6判◆キリキリと身の裡痛みて覚むる夜 がんよ私を見捨て給えな |
薮紅美子歌集『キルシュの焼き菓子』2007年1月30日・青磁社刊・A5判◆最終のニュースの刻にしるす文赴任の夫へのならいとなりし |
平成18年(2006) |
押谷盛利歌集『乾坤』2006年11月15日・シガユウ出版社刊・B6判◆しんけんに生きて咲きゐる夾竹桃 余生なんかがあるもんか |
竹内彩歌集『憂きことの』2006年9月22日・短歌研究社刊・A5判◆グランドは乙女の頃の甘藷畑懐かしみつつスティックを振る |
室谷八重乃歌集『いぶき野』2006年9月3日・短歌新聞社刊・好日叢書・A5判◆ざんざらざら行き戻るがに揺れてゐる傾りを埋めし山吹の黄は |
清水はる歌集『木挽唄』2006年4月1日・宮川印刷所発行・好日叢書◆ころあひの腰掛石ある栗の木の下はわたしの気やすめの場所 |
社納幸子歌集『周防の海』2006年5月11日・短歌新聞社刊・好日叢書・B6判◆ふり向けば少年の声変りたり曼珠沙華咲く風の中なる |
平成17年(2005) |
村瀬幹子歌集『ひとひらの雲』2005年11月11日・短歌研究社刊・A5判◆この先のみどりの屋根は老人ホーム一つ手前で辻折れてゆく |
木村光子歌集『乳海』2005年6月20日・雁書館刊・潮音叢書・A5判◆痩せ土に抜きし五糎の雑草が二十糎の根を不適に引きずる |
佐治洋子歌集『 ヒト科の器』3月20日・青磁社刊・大阪歌人クラブ叢書・A5判◆タンゴなど踊りませんか ヒト人を殺める都市の午後の死角に |
粟津久子歌集『万寿峠』2005年1月15日・短歌研究社刊・好日叢書・A5判◆点てんと赤土もたげし霜柱一輪車にて押しつぶしゆく |
藤沢和子歌集『いっしょにあそぼ』2005年1月15日・不識書院刊・好日叢書・B6判◆手と足力をこめて「自分で」を連発しており大人に向きて |
平成16年(2004) |
鑓田和子歌集『砂の風韻』2004年12月25日・短歌研究社刊・波濤双書・A5判◆テトラポッドに砕け散る潮脈絡もあらぬに吾の胸は高鳴る |
前川登代子歌集『光の発端』2004年8月3日・短歌研究社刊・好日叢書・A5判◆ペンダントはずさんとして目を閉じぬ目は指先に移りてゆけり |
光明和香子歌集『縁(えにし)』2004年6月7日・短歌研究社刊・好日叢書・A5判◆つゆさめのまどろみの中浮び来る遠きとおき夜の牡丹江の部屋 |
木村諄子歌集『絆(きずな) 』2004年4月1日・短歌研究社刊・好日叢書・A5判◆芳洲の槙に隠れしわが家は鳥の囀りに囲まれており |
佐治信子歌集『白桃』2004年4月5日・短歌新聞社刊・好日叢書・B6判◆拭いてもなお拭いても取れかねる眼鏡の曇りのごときものもつ |
平成25年(2003) |
小野田孝子歌集『花の木』2003年11月27日・中村太古舎刊・地上叢書(非売品)◆青栗が落ちはじめたり夜明けやや晩くなり来し配達の路に |
谷井かつ子歌集『穴窯の炎』2003年10月10日・京都写研印刷刊◆駆け抜けて来し歳月はかにかくに恩師を送る轉(うたた)茫茫 |
若松恭三歌集『一粒萬倍』2003年9月30日・青磁社刊・好日叢書・A5判◆算盤の珠を指もて払い除けこの商談をご破算にする |
小潟水脈歌集『空(くう)に吸(す)はるる』2003年9月20日・青磁社刊・A5判◆人間(じんかん)距離といふものあるか同僚の背見て歩く駅まで五分 |
角田はる歌集『生かされて』2003年8月1日・短歌研究社刊・好日叢書・A5判◆売り上げは少なけれども子供等のわれ呼ぶ声に文具屋あける |
中西時夫歌集『杉の秀群』2003年6月3日・短歌研究社刊・好日叢書・A5判◆枝打ちに明日ゆかんと鉈を研ぐ棚にしまいし三丁の鉈 |
猪飼愛子歌集『せ勢らぎ』2003年5月・歌樹社刊・歌樹叢書(非売品)B6判◆保護司吾を職場仲間に伯母なりと少年言いて少しはにかむ |
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